「望外」とは、「望外の僥倖」や「望外の喜び」という風に慣用句的に用いられることの多い言葉です。日常会話よりもビジネスシーンでよく使われています。言葉自体にポジティブさがありつつ、どこか謙虚さもあり人に嫌な印象を与えません。今回はこの「望外」の意味や使い方の例文、類語や反対語、英語表現まで詳しく解説していきます。
「望外」とは?
「望外」の意味は”望んでいた以上の結果など”
「望外」の意味は、“望んでいた以上の良い結果であること・思いのほか”です。先ほども触れたようにポジティブな印象を与える言葉です。しかし自慢するようなニュアンスはなく、謙虚にその良い結果について喜んでいる様子を表します。
「望外」の読み方は”ぼうがい”
「望外」の読み方は、“ぼうがい”です。
「望外」の由来は”史記抄”の一文
「望外」の由来は、室町中期の曽呂たちによる講義録「史記抄(しきしょう)」の中で使われた以下の一文と言われています。
「かかる思いもよらぬ、望外なることぢゃとて」
この一文は、先ほど解説した「望外の僥倖」とほぼ同じ意味を表しています。
「望外の僥倖」の意味は”偶然に得る望んだ以上の幸運”
「望外」は、「望外の僥倖」と慣用句で使われることもあります。
「僥倖」は馴染みが薄く一見難しそうな言葉ですが、意味は「偶然得る幸運、幸運を願い待つ」です。
この意味から「望外の僥倖」は、「偶然に得る望んだ以上の幸運」を表します。「思いがけない幸せ」といったニュアンスもあるため、“幸運を得たときの喜びや幸せはとても大きい”といった印象を与えます。
「望外」の使い方と例文とは?
「望外の〇〇」といった形で使う
「望外」は単体で使うよりも、「望外の〇〇」と慣用句的に使う方が多いです。〇〇には、「望んでいた以上の良い結果」を組み合わせて使います。
「望外の喜び」はビジネスや将棋界でよく使う
「望外」を使った表現「望外の喜び」は、ビジネスシーンや将棋の世界によく登場します。それぞれは以下のように使われています。
- ビジネスシーンの場合
ビジネスシーンにおいて「望外の喜び」は、上司や先輩、取引先など目上の立場の人から褒められた時、または良くしてもらった時にお礼の言葉として使います。また就職活動中に内定をもらった企業に対しても使えます。企業側に対し、“お礼の気持ち”を伝えつつ“謙虚な姿勢”を印象付けさせることができるため、お礼状として重宝されている表現です。
- 将棋の世界の場合
将棋の世界において「望外の喜び」は、勝負に勝利したことに対し、決して相手に高圧的な態度を取らないよう謙遜するために使います。決まり文句のように使われている表現です。
「望外」を使った例文
「望外」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「この度は内定をいただき、私としては望外の喜びです」
- 「現在の実力からは望外の結果としか言えません」
- 「目を瞑り、僕は望外の幸せに浸っている」
- 「望外の出世に驚きを隠せない」
- 「今回の作品は望外の出来なため、コンクールに出そうと思っている」
- 「僕は望外の幸運に恵まれ、有名舞台の主役を獲得した」
- 「負け試合だと言われていたのに、勝つという望外の結果に選手は心から喜んでいる」
「望外」の類語と反対語とは?
「望外」の類義は”予想を上回る・想像以上・期待以上”
- 「予想を上回る」
- 「想像以上」
- 「期待以上」
この3つの言葉はすべて、「望外」の”望んでいた以上の結果であること“と似た意味を持っています。ただ「予想を上回る」と「想像以上」には、対象になるものが”良い結果“と限定されていません。
「望外」の反対語は”期待以下”
「期待以下」の意味は「望みをかけていたことが自分の考え以下の結果であった」です。「望外」とは反対の意味を表します。基本的に悪い意味で使われるので、そういった部分でもネガティブさがあり「望外」の反対語と言えます。
「望外」の英語表現とは?
「望外」の英語表現は”unexpected”
「望外」を英単語1つで表現する場合、”予期しない“や”意外な“を意味する形容詞“unexpected”を使うといいでしょう。ニュアンスは少し違いますが、”自分の予想とは違う“という意味は表現できます。
- “It was an unexpected honor.”
→「望外の名誉だった」
「more than I can dream of」でも表現できる
また、“〇〇を超える”や“〇〇以上のもの”を意味するイディオム「more than」を使った「more than I can dream of」でも表現できます。「望外」の対象は“of”の後に付け加えて使います。
- “She got more than she could dream of happiness.”
→「彼女は望外の幸せを手に入れた」
まとめ
「望外」は「望んでいた以上の結果であること」や「思いのほか」を表す、基本的に良い意味として使われる言葉です。日常会話の中よりも、「望外の喜び」という表現でビジネスや将棋の世界などによく登場します。
相手へのお礼や勝利の喜びを伝えつつ、謙虚さや謙遜している印象を与えることができるため、相手に不快な思いをさせません。就職活動などのお礼状にお勧めの言葉なので、使いこなせるようになっておきましょう。