ビジネスメールでよく使われる言葉に「またの機会に」がありますが、言葉に隠れた意味を理解し正しい使い方をしていますか?
今回は「またの機会に」を使った状況別での例文をはじめ、恋愛における意味、類語や英語表現を紹介しています。言葉の迷路に迷い込まないよう、ここでクリアにしておきましょう。
「またの機会に」の意味・類語
「またの機会に」とは「目下のところ状況により行動を取りやめる」
「またの機会に」とは「目下のところ状況により行動を取りやめる」「今の段階では導入しない」という意味があります。
類語は「今回は見送る」など
類語にあたる言葉は「今回は見送る」「次の機会に」などがあります。
「追加発注の件、どうなりましたか?」
「今回は見送ることといたします。よろしくお願いいたします。」
状況によっては「今回は見送る」という言葉がストレートに響く場合もあるでしょう。相手や立場に合わせて適切な類語を使い分けるようにしましょう。
「またの機会に」はビジネスで欠かせない
ビジネスシーンでよく使われる言葉の一つが「またの機会に」ですが、ビジネスではどのように用いられているのでしょうか?
やんわりと断るときのベストワード
社会人になると仕事関係でビジネスの勧誘はもちろん、仕事に絡むイベントや食事に一方的に誘われることもあることでしょう。自分が前向きに考えているなら話は別ですが、仕事での立場や上下関係を考えると、仕方なく「OK」の返事を出してしまうことも考えられます。
「またの機会は」大切なビジネスシーンにおいて相手に角が立たず失礼のないように断るときに威力を発揮します。
「またの機会に」の言葉の裏には「今回は無理です」という「申し訳ない」気持ちの他、日にちや事項を明らかにしないことで、目下の状況から離れるための言葉として上手に機能します。やんわりと相手に断る時のベストワードが「またの機会に」なのです。
「またとない機会」は意味が異なる
ちなみに似た言葉で「またとない機会」がありますが、「またの機会」とは意味が異なるため使い分けに注意が必要です。
「またとない機会」は「もう二度とないチャンス」という意味です。広く言えば「絶好の機会」「ちょうどよい時期」「ベストのタイミング」「最高のチャンス」を表しています。四字熟語の「千載一遇」を使って「千載一遇のチャンス」と表現しても良いでしょう。
「またとない機会」は折がよく頃合いがちょうどよいピッタリの時期であり、「またの機会に」とは意味が異なります。職場や仕事先で混同しないように留意しましょう。
ビジネスメールの敬語を使った返信例
それではビジネスメールで使われる「またの機会に」の例文を敬語に気を付けながら挙げていきましょう。
「またの機会にぜひお願いいたします」の使い方
ビジネスでの訪問日の調整や商談の日にち設定など幅広く使うことができます。「急ぎではないが未来のいつかにお願いできれば問題ない」という時にちょうどよい言葉でしょう。
「本日は予定が詰まっており訪問することができません」
「承知しました。またの機会にぜひお願いいたします」
「機会がありましたら是非お願いいたします」の使い方
「今の状況下では厳しいが今後チャンスがあればお願いしたい」という時に使います。この場合は「是非」が「お願いします」を強調しているため、「もし機会があれば」と相手の状況を考慮しながらお願いするさまがうかがわれます。
「保険の新商品が出ました。訪問させていただいてもよろしいでしょうか?」
「機会がありましたら是非お願いいたします」
「またの機会をお待ちしております」の使い方
「次のチャンスを心から願っている」「今度の機会を待ち望んでいる」という時に使われます。「またの機会にお願いします」という「依頼の表現」ではなく「またの機会をお待ちしています」という自主的な感情が表れているため、丁寧でかつ脈のある言葉であると言えるでしょう。
「今回はすべて売り切れとなってしまいました」
「それでは、またの機会をお待ちしております」
「またの機会を楽しみにしております」の使い方
「次の機会が来るのが楽しみです」という時に使いましょう。相手もこの言葉を受けて嬉しい気持ちになるに違いありません。
「弊社で食事会、参加できないということで承知しました」
「またの機会を楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします」
恋愛で脈なし?傷つけない断り方
「またの機会に」は恋愛でのやりとりでもよく使われる言葉です。おおむね「断り」の連絡をする際に登場しますが、どのような意味が隠れているのでしょうか?
「またの機会に」は社交辞令
恋愛で勝つも負けるも人生のうちです。相手を思いやる気持ち、傷つけたくない気持ちがあるからこそ「またの機会に」という言葉があることを理解しておきましょう。
デートや食事の約束をしようとメールで連絡を取った時「またの機会に」という言葉が返ってきたら、それは今回は用事でダメだということではなく、残念ながら「ごめんんさい」の意味であることがほとんどのようです。
もし相手に好意があって、今回は用事があってどうしても誘いを断らなくてはならない場合、おそらく「今回は用事があるので、来週はどうですか?」という前向きな返信が来るに違いありません。今回は「脈なし」ということで受け止めたほうが良いでしょう。
「またの機会に」に返信すると?
それでも「またの機会に」という言葉にめげず「それでは、いつがいいですか?」と返信したとしましょう。すると心を強打されたような残酷なメッセージが返ってくる可能性があります。
「あなたに興味がありません」
「他に好きな人がいます」
相手は「またの機会に」という社交令を使って断っているのに「全く理解していない」と思い「それなら正直に」と事の真相を明らかにするメッセージを送ることがあります。恋愛は楽しいものであり、かつ残酷であるものなのです。
恋愛における「またの機会に」は社交辞令でお断りの表現になることがほとんどです。現在恋愛中の方は傷口を広げないように言葉の裏に隠されている意味をくみとるようにしましょう。
「またの機会に」を英語で何という?
最後は「またの機会に」の英語表現についてです。中国語表現も交えて紹介しましょう。
英語では「another time」
「またの機会に」の英語はとてもシンプルです。「another time」「another chance」「another occasion」などを使いましょう。
- Hopefully another chance!
- Maybe another time!
またの機会にぜひ!
中国語では「下次有机会再说」
ちなみに中国語で「またの機会に」は「下次有机会再说」となりビジネスメールや日常会話で広く使われています。多彩になるつつある日本での社会生活に役立ててみて下さい。
まとめ
恋愛における「またの機会に」は残念ながら社交辞令で「ごめんなさい」の意味であることが多いですが、ビジネスシーンでは状況によって「心から待っている」という意味を含むこともあるようです。
言葉は受け取る側の気持ちや感情によってもカタチを変える不思議なツールです。ことに「またの機会に」は相手の心理や考えを見抜いて言葉の意味をくみとる努力が必要のようです。