書類を記入するときに「雇用形態」という項目が用意されていることがあります。何を書くべきか、困ってしまった経験はないでしょうか?今回は、雇用形態とは何を指しているのか、どのような種類があるのかを紹介します。
雇用形態とは?
雇用形態とは雇用契約をする際の種別
「雇用形態」の意味は、「雇用契約をする際の種別」です。例えば「正社員」や「契約社員」、「パート」などがあります。
分け方が法律などで具体的に決められているわけではなく、会社や個人によって、さまざまな雇用形態があります。例えば厚生労働省では、「さまざまな雇用形態」として以下のような紹介をしています。
- 派遣労働者
- 契約社員(有期労働契約)
- パートタイム労働者
- 短時間正社員
- 業務委託(請負)契約を結んで働いている人
- 家内労働者
- 在宅ワーカー
同じ名前でも会社によって内容は様々で、例えば「正社員であればボーナスがあるが、契約社員にはない」と決まっている会社もあれば、「同じ正社員でもボーナスがない」という会社もあります。今回は、一般的にどのような分け方で使われることが多いのかを紹介しています。
何らかの書類で雇用区分を書くときに、雇用区分の選択肢が用意されていることもあります。ここで紹介したものが記載されていなかった場合には、本記事の説明から見て近いものを選択するか、書類の提出先に問い合わせるとよいでしょう。
正社員と正社員以外の分け方とは?
雇用期間の定めがあるかどうかで分ける
雇用区分は、「雇用期間の定めがあるかないか」で、正社員と正社員以外にわけられることが多いです。法律では、雇用区分の分け方を詳しく規定してはいませんが、雇用期間が決まっている契約と決まっていない契約では、使う法律がいくつか異なるようになっており、実際の会社でも分ける必要性が出てきます。
そのため、一般的には、雇用期間の定めがない正社員と、定めのある契約社員やパートなどに雇用区分を分けて、会社で管理しています。
正社員は正規雇用、英語ではプロパー
一般的には雇用期間が決まっていない社員を「正社員」といいますが、会社や手続きによって、違う言い方をすることがあります。例えば、「正規雇用」や「正規職員」、英語を用いて「プロパー社員」と言う場合もあります。
英語で「プロパー」とは「正しいもの」や「適切なもの」という意味の言葉で、「正社員」という意味ではありませんが、「正社員」や「新卒から働いている社員」などを指して使う会社が多いです。
正社員以外は、契約社員、パート、アルバイト
雇用契約の期間が決まっている時には、「契約社員」や「パート」、「アルバイト」などの雇用区分を使っている会社が多いです。「非正規雇用」ということもあります。
「契約社員」と「パート」、「アルバイト」の違いは、会社によりますが、一般的には勤務時間や働く人によって使い分けられています。例えば、フルタイムで責任の度合いがパートやアルバイトよりも少し高いのが「契約社員」、主に主婦層が短時間で働く場合が「パート」、学生が短時間で働く場合が「アルバイト」と使われていたりします。
雇用区分は会社によって異なりますので、自分の雇用区分については、求職活動中に確認した求人情報や、雇用契約書に記載されていますので、確認しましょう。
契約による分け方とは?
契約期間の定めがあるかどうかで、雇用区分をわける場合もありますが、契約の種類によって決まる雇用区分もあります。ここでは契約の種類によって分けられる雇用区分を紹介します。
正社員やパートなどの直接雇用
一番多いのは、正社員、契約社員、パートなど、会社と個人が直接「雇用契約」を結ぶ場合です。直接雇用契約を結ぶことを「直接雇用」と呼ぶこともありますが、雇用区分としては「正社員」や「契約社員」などの、先ほど紹介したものを使うことが一般的です。
派遣会社と雇用契約をする派遣
会社と直接雇用契約を結ばない働き方の1つに「派遣」があります。派遣とは、派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社とは別の会社で仕事をします。働く会社と直接雇用契約を結ばないのが特徴です。
雇用区分を聞かれた状況にもよりますが、派遣として働いている人は、雇用区分をは「派遣」と答えることが多いです。
業務委託契約をする請負や委任
会社に雇われて働くための契約が「雇用契約」ですが、「業務委託契約」などの別の契約を結んで働く場合もあります。「業務委託」とは、「○○という仕事を〇日までにやってください」などのように、具体的に業務を行うことを個別に契約する働き方です。契約の種類が「請負契約」であれば「請負」ですし、「(準)委任契約」であれば「委任」です。
「請負」か「委任」かについては、自分が会社と結んだ契約の名前を確認しましょう。「請負」や「委任」は、雇用区分に含まれない場合もあります。法律上は、「請負」や「委任」は、自営業の一種ですので、雇用区分の選択肢に「請負」や「委任」がない場合は「自営業」と記載します。
定年後に再雇用するときの雇用区分とは?
定年後の再雇用では嘱託社員
少し特殊な雇用区分に「嘱託」があります。定年後に会社で再雇用するときに雇用区分を「嘱託社員」とするよう会社で決まっている場合があり、その場合も雇用区分が「嘱託」です。
会社によって、嘱託社員の契約内容や、契約期間は異なります。正社員と同じような待遇の場合もあれば、仕事が簡単になる分、給与が安くなることもありますし、ボーナスが出なくなる場合など、様々です。
定年後の再雇用であれば、すべて嘱託となるわけではなく、会社の制度や任せる仕事内容によって「契約社員」や「パート」などに変わることもあります。
役員や自営業の雇用形態の書き方とは?
役員や自営業は「役員」「自営業」と記載する
会社に雇われて働いてはいませんが、会社の役員や、自営業の方なども、「雇用形態」を聞かれることがあります。雇用されていないと感じるかもしれませんが、「役員」や「自営業」と書くのが一般的です。
まとめ
「雇用形態」とは、雇用契約を結ぶ際に使う種別です。「正社員」や「契約社員」などがよく使われていますが、「雇用形態」の分け方や、名前の使い方に決まりはありません。一般的には、契約期間の定めの有無や、会社と結ぶ契約の内容などで、雇用区分が分けられています。「雇用契約」を結んでいない人でも「雇用形態」を問われる場面がありますので、「役員」や「自営業」など、回答先の求めるものに応じて記入するとよいでしょう。