「情け(なさけ)」とは「思いやり」を意味し、古語としても使用されていた言葉です。「情けをかける」「情けない」などの使い方をし、有名なことわざには「情けは人のためならず」があります。この記事では「情け」の意味や読み方、使い方と例文、類語・英語表現も解説しますので、ぜひ正しく理解しておきましょう。
「情け」の意味とは?
「情け」の意味は”思いやり・人情”
「情け」の意味は、“思いやり・人情”です。他人をいたわる気持ちを表す言葉です。「男女の恋心」という意味もありますが、多くの場合で「思いやり」「人情」を意味する言葉として使用されます。
たとえば、「情けを受ける」という例文。例文の場合、「思いやりを他人から受ける」ことを意味している文章となります。
「情け」の読み方は”なさけ”
「情け」の読み方は“なさけ”です。
「情け」は古語で”風情”を意味する
「情け」には古語としての意味もあります。古語として使用する場合、「思いやり」や「男女間の恋心」という意味の他に、「風情」という意味も含まれています。たとえば、「情け深し」という使い方。
上記の使い方だと、「思いやりが深い」または「趣を感じる心が深い」という意味になります。
「情けは人のためならず」の意味は”人への情けは自分に返ってくること”
「情け」を使ったことわざに、「情けは人のためならず」があります。「情けは人の為ならず」とも表し、「人にかけた情けは、結局自分に良い報いとして返ってくること」という意味をもちます。
よくある間違いとして「情けは人のためならず」は、「情けをかけてしまっては、その人のためにならない」という意味だという意見がありますが、意味が異なるため注意しましょう。
「情け」の使い方と例文とは?
「情けは人のためならず」は人に優しくするときに使う
「人にかけた情けは、めぐって自分へと返ってくること」を意味する「情けはひとのためならず」という言葉。「情けは人のためならず」は他人に優しくするときに使えます。たとえば、「先日、困っていた旅行客を案内したんだ。情けは人のためならずって言うしね」のような使い方ができます。
「情けない」は”思いやりがないこと”を表す
「情け」を使った「情けない」は、「思いやりがないこと」を意味します。「情け容赦(ようしゃ)ない」とも表すことができ、「思いやりがない状況」で使用されます。たとえば、「弱者を標的にするなど、情けない政策だ」という例文。
上記の例文だと、「弱者を標的にするなど、思いやりがなく無情な政策だ」という意味になります。また、「思いやりがない」という意味の他に、「みじめ」「嘆かわしい」という意味もあります。たとえば、「部下に情けない姿をみせるわけにいかないと、踏ん張った」という例文。
上記の例文では「情けない」が「みじめ」を意味しており、「部下にみじめな姿をみせるわけにはいかないと、踏ん張った」という文章になります。
「情けをかける」は相手を気遣う言葉
「情けをかける」とは、「相手を気遣うこと」を意味する言葉です。相手を思いやったり、親切な対応をしたりする他に、相手をあわれんでいる状況でも使われます。
- 1度敗れた相手に情けをかけられることほど、屈辱的なことはない
- 恵まれない境遇にいる友へ、情けをかける
「情け無用」は”思いやりが不必要な状況”で使う
「情け無用」とは、「思いやりや人情が不必要なこと」を意味する言葉です。「なさけむよう」と読み、「情け」をかける必要がない状況で使用されます。たとえば、「情け無用の攻撃で相手を打ち負かす」という例文。
上記の例文だと、「人情など感じないような攻撃をして、相手を打ち負かす」という意味になり、容赦なく攻撃している文章になります。
「情け」の類語と英語表現とは?
「情け」の類語は”優しさ”
「情け」の類語には“優しさ”や“人情”が当てはまります。たとえば、「みず知らずの人が困っており、つい情けをかけてしまった」という例文。上記の文章を類語でいいかえると、「みず知らずの人が困っており、つい優しくしてしまった」となります。
「情け」は英語で”Kindness”
「情け」の英語表現には“Kindness”が当てはまります。「Kindness」とは”思いやり・親切”を意味する言葉で、「Kindness is never wasted」という例文の場合、”親切は決して無駄にはならない”という意味になります。
「思いやり」を意味する「Sympathy」も「情け」の英語表現に当てはまりますが、「同情」という意味も含まれているため、使用する場合は「Sympathy」が「情け」という意味になるよう前後の文章に注意しましょう。
まとめ
「情け」とは「思いやり」や「男女の恋心」を意味する言葉です。「情けをかける」や「情けない」のような使い方をし、ことわざでは「情けは人のためならず」があります。類語には「優しさ」や「心情」が当てはまるため、「情け」が伝わらない状況で言い換えてみましょう。