社会人になってからよく見聞きする言葉に「ディベート」があります。話し合いや討論という意味合いで使われますが、正しい意味や「ディスカッション」との違いは何でしょうか?
ここでは「ディベート」の英語表記と意味、使い方と例文、ディスカッションとの違い、またディベートのやり方や流れなどを紹介させていただきます。
「ディベート」の意味と語源とは?
「ディベート」の意味は”討論会・熟考する・論争”
「ディベート」の意味は、“討論会・熟考する・論争”です。あるテーマや課題に対し賛成と反対とに分かれ、公開で討論を行うことを指します。「ディベート」は短時間で結論を出すような話し合いではなく、さまざまな観点から互いの意見を主張し、論理的に議論を投じるスタイルを意味します。
また「ディベート」は「討論会」そのものを指す場合もあれば、「討論する」という動詞を意味することもあります。純粋に意見を交換するのではなく、長い時間をかけて思案し、議論していく場所、または議論をすることを「ディベート」と言います。
「ディベート」の語源は英語の”debate”
「ディベート」は英語で“debate”と表記します。
そもそも「debate」は古期フランス語で「dis(分けて)」と「battuo(打つ)」を組み合わせて出来た「debatr(争う」が語源とされています。
「ディベート」の使い方で気を付ける点と例文とは?
「ディベート」を”口論”や”口喧嘩”という意味で使わない
テレビ番組や国会の討論会などでは、二つの派閥やグループに分かれて、激しく意見を主張する場面を見ることがあります。この段階ですでに「口論や口喧嘩との区別がつかない」と困惑してしまうこともあるでしょう。
「口論」は「ディベート」のように論理に基づいてお互いの意見を主張するものではなく、些細なことやつまらないことがが原因で、言い争いや口喧嘩することを指します。「ディベート」が方向性を失い、「口論」に発展してしまうことはあるかもしれませんが、基本的に「ディベート」という言葉を「口論」や「口喧嘩」というニュアンスで使うのは適切ではありません。
「ディベート」と「ディスカッション」の違い
「ディベート」と似た言葉に「ディスカッション(discussion)」がありますが、この二つの言葉には異なる意味合いがあります。
「ディスカッション」の場合は、激しい討論や議論はもちろん、企業や組織で行われる小規模な話し合いや意見交換も含まれます。基本的に「ディスカッション」は、テーマを決めて個人的な意見や考えを出し合い、最終的な答えや結論を導くための話合いをすることを意味します。つまり、「ディスカッション」は「ディベート」と比べて意見の主張だけに偏ることがなく、自由に話しをすることができるのが特徴です。
また「ディスカッション」では、必ずしも意見が二つに分かれることはありません。3つ、4つ、またそれ以上の意見が挙げられることもあります。「ディベート」と「ディスカッション」の意味をそれぞれ理解して、正しく使うようにして下さい。
「ディベート」を使った例文
「ディベート」を使った例文をご紹介しましょう。
- 国会でのディベートは白熱したものであった。
- ディベートの課題は動物保護への過熱化についてである。
- 単なるディスカッションかと思いきや、論理に基づいたディベートへと発展した。
「ディベート」の流れと3つの重要事項とは?
「ディベート」のやり方と流れ
- 情報収集
「ディベート」を始める前の準備として、テーマに関する情報収集をしておきましょう。 - 立論
二つの派閥のうち、肯定側から「立論」を始めます。現状における課題や問題点(またはそれに対する解決策)などを挙げながら、意見を広げていきます。 - 反対尋問
肯定側の立論に対し、否定側が意見や主張を述べていきます。反対尋問ですから、相手が主張する内容が本当に実行されるのか、その方法で問題は解決されるのかを問いただしていきます。 - 反説
肯定側が否定側の質問に対して答えたり、反対意見を述べていきます。否定側の意見に対し「間違っている」「それは違う」という主張をしながら、正当性を説明するように議論を続けていきます。 - 最終弁論
ここで二つの派閥がそれぞれの最終弁論を行います。どちらも、観客に説得するように議論をしていきますが、双方とも「こちらの意見や主張が正しい、勝っている」という断固とした態度を持って締めくくるようにします。
重要事項① ディベートのルールを守る
「ディベート」にはある程度のルールがあります。
双方が平等に意見を述べることができるように、それぞれ3分から5分の時間制限を設ける、相手側の発言した主張や反対意見をメモにとっておく、またテーマとかけ離れた議論は持ち出さない、などがあります。
重要事項② テーマに沿って議論を進める
「ディベート」は考えが相対する二つの派閥やグループが、一つのテーマに沿って意見をぶつけ合い、それを見ている観客(第三者)を説得するように進めていきます。つまり、二つの派閥同士が純粋に意見をぶつけ合うのではなく、観客や視聴者に語りかけるように、納得してもらうように、わかりやすく、論理的に進めていくことが大切です。
需要事項③ ディベートでは人を説得する3要素を意識
「ディベート」は観客を説得することが目的とされますが、人を説得させるには3つの要素「ロゴス(論理)、パトス(感情・感動・情熱)、エトス(信頼・安心)」が必要だと言われています。ディベートを行う時は、これらの3要素を意識しながら、熱意を持って進めていきましょう。
まとめ
「ディベート」は「討論会」「討論する」「熟考する」「論争」などの意味を持つカタカナ語です。「ディスカッション」と「ディベート」の異なる点は、「ディスカッション」は「意見交換」の要素を含むのに対し「ディベート」はそうでないことが挙げられます。
「ディベート」はテーマに沿って論理的に議論をしていくのが特徴ですが、「ディベート」を行う際は事前に情報収集を行い、主張に対する理由や背景を明確にしておくことが大切です。観客に説得してもらうことが目的であることを忘れず、主張を論理的に、また熱く感情を持って語ることができるように、主張内容をまとめて本番に臨むようにしましょう。