「先触れ(さきぶれ)」という言葉には意味が2つあり、また「前触れ」という似た言葉もありますが、正しく使うことができていますか?
この記事では「先触れ」の意味や使い方、「前触れ」との違いや類語表現を紹介。例文で解説しますので参考にしてみてください。「先触れ」の英語表現も解説します。
「先触れ」の意味や読み方とは?
「先触れ」の意味は”起こることを予感させるもの”
「先触れ」の意味は、“物事を事前に知らせること・後から起こることを予感させるもの”です。
「先触れ」の”触れ”には「広く一般に知らせること」という意味があり、「先」を加えることで”物事が起こる前に・前もって”知らせるという意味になります。
また、「後から起こることを予感させるもの」とは、”先触れ”に該当する出来事により、後から起こることが予感できることを表します。
「先触れ」の読み方は”さきぶれ”
「先触れ」の読み方は“さきぶれ”です。
「触れ」の字は”触れる(ふれる)”と読むことが多いため「さきふれ」とも読んでしまいがちですが、「さきぶれ」と覚えてしまいましょう。
「先触れ」の使い方と例文とは?
「先触れしておく」は”事前に知らせる”状況で使う
「先触れ」を”事前に知らせる”という意味で使う場合、「先触れしておく」のような使い方をします。
この例文は「入れ違いになるといけないから、伺うことを事前に知らせておいた」という意味になります。
「○○の先触れ」は”物事を予感する”状況で使う
「先触れ」を”後から起こることを予感させること”という意味で使う場合、「○○の先触れ」のような使い方をします。
この例文は、「笠雲の発生により大雨が予感されること」を意味します。
室町時代では「旅の書類」として使われていた
室町時代や江戸時代では、「先触れ」を”宿駅にあてた命令書”として使用していました。
「宿駅(しゅくえき)」とは、街道の要所にある宿を意味し、宿泊場所としてだけでなく物を運ぶための人や馬を用意するためにも使われます。
室町時代や江戸時代では、高い身分の人が旅行をするときに、宿駅へ「先触れ」を出して旅先での馬や人手を確保していたのです。
「先触れ」を使った例文
「先触れ」を使った例文をご紹介しましょう。
- 大きな仕事をふるときは、先触れしてくれないと困る
- 近くの港で、地震の先触れと言われているリュウグウノツカイがあがった
- 昔は太陽が欠ける日食のことを、不幸の先触れとして信じられていた
「先触れ」と「前触れ」の違い・使い分けとは?
「先触れ」と「前触れ」の意味は同じで言い換えも可能
「先触れ」の類語に当てはまるのが「前触れ(まえぶれ)」です。「前触れ」とは「事前に知らせること」、また「先に起こることを予想させるような出来事」を意味します。「先触れ」と同じで2つの意味を持ちます。
「先触れ」と「前触れ」は、意味に違いはありません。「先触れ」とおなじ状況で「前触れ」を使えます。たとえば、「大地震の先触れなのか?」は「大地震の前触れなのか?」と言い換えることができます。
先触れの類語「前触れ」を使った例文
先触れの類語「前触れ」を使った例文をご紹介しましょう。
- 幸運の前触れと言われている彩雲を見ることをできた
- 人の死はなんの前触れもなく訪れることもある
- 突然人が足りなくなると困るから、辞める時は前触れしてほしい
「予告・前兆」も先触れの類語
「予告・前兆」も”先触れ”の類語です。「先触れ」には2つの意味があると説明しましたが、1つ目の「物事を事前に知らせる」という意味では「予告」が類語に、2つ目の「後から起こることを予感させるもの」という意味では「前兆」が類語に当てはまります。
「先触れ」の類語:予告・前兆を使った例文
「先触れ」の類語”予告”や”前兆”を使った例文をご紹介しましょう。
- 「爆破時刻は、明日の正午だ」と予告された
- 予告通り、パーティーは盛大に幕をとじた
- 幸運が続くと、「悪いことが起こる前兆なのでは」と疑ってしまう
- 前兆もなく、突然彼はいなくなった[/box]
「先触れ」の英語表現とは?
「先触れ」は英語で”Harbinger”
「先触れ」の英語表現に該当するのが“Harbinger”です。「Harbinger」とは”先触れ・前兆”を意味し、「Harbinger of a new day(新たな時代の先触れ)」のような使い方をします。
しかし、「Harbinger」の意味である「先触れ」は「後から起こることを予感させること」のみを表しており、もう1つの「物事を事前に知らせること」という意味は含まれません。「物事を事前に知らせる」を表したいのであれば、「事前に」を意味する「Beforehand」「In advance」を使用しましょう。
まとめ
「先触れ」とは「物事を事前に知らせること」「後から起こることを予感させること」の2つの意味があります。「先触れしておく」「○○の先触れ」などの使い方をし、室町時代では「旅に関する命令書」として使用されていました。
類語である「前触れ」は、意味や使い方を「先触れ」と同じように使うことができるため、「先触れ」が伝わりにくい場合に言い換え使ってみましょう。