「する」の謙譲語と便利な謙譲表現はコレ!尊敬語と丁寧語も解説

「する」は動作一般を表す言葉です。ビジネスでも日常生活でも、一日に何度も使われますから、かえって意識することはないかもしれません。しかし、頻繁に使う言葉だからこそ、正しい使い方を知らないと、思わぬところで恥をかいたり、相手を不快にさせてしまったりといったことにもなりかねないのです。今回は、そんな「する」の謙譲語を中心に、ビジネスで役立つ表現から、尊敬語、丁寧語までをご紹介します。ぜひ役立ててください。

「する」の謙譲語と例文は?そもそもの意味は?

「する」の謙譲語は「いたす」

「する」の謙譲語は「いたす」です。漢字で書くと「致す」となります。

「いたす」を使った例文

「いたす」は実に様々な場面で使うことができます。例文を見てみましょう。

  • わが社の新しいメンバーをご紹介いたします。
  • お荷物をお預かりいたします。
  • 確認いたしますので少々お待ちください。
  • 承知いたしました。
  • 準備が完了いたしましたが、どうされますか。

意味は「動作一般を表す言葉」

「する」の意味は、「動作一般を表す言葉」です。

「いたす」以外のビジネスで使える謙譲表現

「する」の謙譲語は「いたす」ですが、これだけではうまく表現できないときもあります。そんなときに役立つ表現を二つご紹介します。

許可を取るときは「させていただく」

「させていただく」は「させてもらう」の謙譲表現です。何か許可を取りたい、させてほしいというときに使います。

たとえば、「ミーティングルームを利用したい」というときに、「ミーティングルームを利用いたしたい」と表現するのは不自然です。このような場合に、「させていただきたい」を使います。

この例では、「ミーティングルームを利用させていただきたい」となり、違和感なく、相手に許可を求める表現ができます。

「させていただきたい」は、「させていただけませんか」「させていただけないでしょうか」「させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」といった形で、よく用いられます。

「させていただく」は乱用しない

先ほども解説したとおり、「させていただく」は許可を得るときの表現です。しかし最近では、何かにつけて「させていただく」を使い、不適切な形になっているケースが多く見られます。

たとえば、次の例の「させていただく」はすべて不適切と考えられます。

  • それでは、発表を始めさせていただきます。
  • これから作品を紹介させていただきます。
  • ホテルの予約をさせていただきました。

誰かが特別に許可を与えたという特殊な状況でなければ、これらは自分の意思でしたことであって、「させていただいた」ものではありません。正しくは次のようになります。

  • それでは、発表を始めます。
  • これから作品を紹介したします。
  • ホテルの予約をいたしました。

「させていただく」を乱用すると相手に違和感や不快感を与えてしまいますから、適切な場面で使うことを心がけましょう。

何かを伝えるときは「お・ご~申し上げる」

「お・ご~申し上げる」は、相手に何かを伝えたいときに使える謙譲表現です。たとえば、「お願いします」は「お願いいたします」とも「お願い申し上げます」とも表現できます。

この形を使った表現には、次のようなものがあります。

  • ご依頼申し上げる
  • ご報告申し上げる
  • ご連絡申し上げる
  • ご案内申し上げる
  • お礼申し上げる
  • お詫び申し上げる など

「する」の尊敬語と丁寧語

謙譲語と合わせて、「する」の尊敬語と丁寧語も覚えておきましょう。

「する」の尊敬語は「なさる」「される」

尊敬語は相手の動作を敬っていう言葉で、「する」の尊敬語は、「なさる」「される」です。例文を見てみましょう。

  • お飲み物は何になさいますか。
  • よく釣りをなさるんですか。
  • ご家族を大切になさっているんですね。
  • 今夜の飲み会には参加されますか。
  • 週末は何をされていますか。
  • ご結婚されたと伺いました。

二つはほぼ同じように使うことができますが、「なさる」の方がより敬意の度合いが高いとされています。

また、「される」は受け身の表現と区別できないことがあります。たとえば、「Aさんは深刻な悩みを相談されたそうです」という文は、Aさんが誰かに相談したのか、それとも相談を受けたのかが判断できません。

これを「相談なさったそうです」とすれば、相談したのはAさんだとはっきりわかります。受け身と区別がつきづらい場合には「なさる」を使いましょう。

「する」の丁寧語は「します」

「する」の丁寧語は「します」です。

丁寧語は敬意の度合いは高くありませんが、自分の動作も相手の動作もいうことができます。どうしても謙譲語や尊敬語が出てこなかったときは、間違った敬語を使うよりは「します」といってしまった方がいいかもしれません。

まとめ

「する」の謙譲語は「いたす」です。それだけでは充分に意図を伝えられない場合には、「させていただく」や「お・ご~申し上げる」といった謙譲表現もあります。「する」は日常生活で非常によく使う言葉ですから、敬語表現はマスターしておきたいところです。尊敬語の「される」「なさる」や丁寧語の「します」と合わせて、場面に合わせて使い分けられるように、意味と使い方をしっかり押さえておきましょう。