「良かったです」「良かったですね」という言い方は、ほっとした時や相づちなどで使うことが多いのではないでしょうか。しかしビジネスの取引先や目上の人に「良かったです」を使ってもよいのかどうか、不安を感じる人もいるかもしれません。
「良かったです」の正しい敬語の使い方や他の言い換え方について、解説します。
「良かったです」は敬語?
「良かったです」はそもそも正しい敬語といえるのでしょうか?まずは「良かったです」を分解して意味を確認してみましょう。
「良かったです」は「良い」の過去形の丁寧語
「良かったです」は「良い」の過去形「良かった」に、丁寧語「です」をつけた敬語表現です。「良い」は「好ましい状態・差支えない状態・十分な状態」という意味です。「良かったです」は丁寧語として正しい敬語表現ですが、使う相手によっては失礼になる場合があります。
例えば会社内において、同僚や親しい先輩ほどの間柄であれば「です」をつけた丁寧語で問題ありません。しかし上司や上役の人、ビジネスの取引先の関係者などに対しては、「です」よりもさらに丁寧な言い方である「ございます」をつけた言い方をするのが適切です。
より丁寧な言い方は「よろしゅうございました」「ようございました」
「良かったです」のより丁寧な敬語表現は、「よろしゅうございました」「ようございました」です。「良かったでございます」とは言わないので気をつけましょう。
しかし現代では「よろしゅうございます」「ようございます」は馴染みのない言葉になってきており、上から目線のようであるなど、かえって失礼な印象を与える可能性があります。それでは「良かったです」のより丁寧で適切な言い方は、どのようなものがあるのでしょうか?
「良かったです」の類語や言い換え方
「良かったです」をより丁寧に伝える表現は、状況によってさまざまなものがあります。シチュエーションごとに類語や言い換え方を説明します。
相手の行いや状況に対しては「よろしかったですね」
自分の行いではなく、相手の行いや状況に対して「それは良かったです」という同調の意を表したい時は、「良い」を「よろしい」と言い換える言い回し方があります。会話例を用いて紹介します。
【例1】
- 上司「昨日はぎりぎり終電に間に合ったよ」
- 部下 〇「それはよろしかったですね」 △「それはようございましたね」 ✖「それはよかったですね」
相手の状況について嬉しい気持ちを伝える時は「嬉しく思います」「それは何よりです」
相手の状況に対して喜びの気持ちやいたわりの気持ちを伝えたい時は「嬉しく思います」や「何よりです」という言い方があります。
【例1】
- 上司「部長に昇進することになったよ」
- 部下 〇「それはおめでとうございます。私も嬉しく思います」 ✖「それは良かったです。私も嬉しいです」
【例2】
- 上司「妻の退院が決まったよ」
- 部下 〇「無事に退院されて何よりでございます」 ✖「それは良かったですね」
※「何より」は「他の何にもまさってありがたい」という意味の表現です。
自分の行いや状況に対しては「安心いたしました」
自分の行いや状況を目上の人に褒めてもらった時などに「良かった、ほっとした」と伝えたい時は「安心いたしました」という言い方があります。
【例1】
- 上司「昨日のスピーチは良くできていたね」
- 部下 〇「ありがとうございます。安心いたしました」 ✖「よかったです。安心しました」
自分の嬉しい気持ちを伝える時は「嬉しく思います」
「お話しできて良かったです」「お会いできて良かったです」など、嬉しい気持ちを伝えたい時は「嬉しい」や「光栄です」を用いるとよいでしょう。
【例1】
- 部下から上司へ 〇「今日はお話しができたことを嬉しく思います」「今日はお話しができて光栄です」 ✖「今日はお話しができて良かったです」
また取引先などに嬉しい気持ちを伝えたい場合は「光栄に存じます」「有難く存じます」「嬉しく存じます」などど「存じます」という言い方もあります。
「良かったです」の英語表現
日本語の「良かったです」と同じように、英語の「良かったです」という表現も状況に応じてさまざまな言い方があります。
それは良かった、という相づちの英語表現
- Good for you.
- That’s a good thing.
- That’s good.
- That’s great.
- That’s wonderful.
それが聞けてうれしい(良かった)という英語表現
- Glad to hear that.
- I’m glad to hear that.
- I’m happy to hear that.
- That’s good to hear.
- Good to hear!
ほっとした・安心した(良かった)という英語表現
- That’s a relief.
- I’m relieved to hear that.
まとめ
「良かったです」は正しい敬語表現ですが、ビジネスシーンでは状況に応じて言い換えが必要です。周囲の人がよく使う言葉であっても、実は間違っていることがあります。耳で聞いて違和感を覚える言い回しがあったら、使い方を確認してみましょう。
小さな確認の積み重ねをぜひとも大切にしてみてください。