「鷹揚」の意味や語源とは?使い方の例文や類語・対義語も解説

「鷹揚(おうよう)」とは性格や人柄がゆったりとしていることを表します。空を飛ぶ鷹(たか)のように堂々とした様子が語源になっていることを覚えておくと、言葉の意味を理解しやすいでしょう。

ここでは「鷹揚」の意味や使い方・例文を解説します。類語の「寛容」との違いや対義語、英語フレーズも参考にしてみてください。

「鷹揚」の意味・読み方・語源とは?

「鷹揚」の意味は”ゆったりとしていること・小事にこだわらないさま”

「鷹揚」の意味は、“ゆったりと構えていること・小さなことにこだわらないこと”です。心に余裕とゆとりがあり、目先の事だけにこだわらない様子を指しています。

「鷹揚」はせかせかと急がず、おっとりとして優雅、そして上品に振舞うことを意味し、自信に満ち溢れ、おおらかなさまを表す言葉となります。

「鷹揚」の読み方は”おうよう”

「鷹揚」の読み方は“おうよう”です。読み方が容易な漢字ではありませんが、「たかあげ」と訓読みしないように気をつけましょう。

「鷹揚」の語源は中国最古の詩集”詩経”

「鷹揚」の語源は中国最古の詩集「詩経」の中にありました。鷹が大空を堂々と飛揚するように、何事も恐れず依然と舞う部分があり、これが「鷹揚」の語源となっています。「鷹揚」とは、読んで字のごとく「鷹が飛揚すること」であり、つまり、鷹が空高く大空に上がり、ゆうゆうと優雅に舞う姿そのものなのです。

また、日本にはおおざっぱで度量が大きいことを表す「王様(おうよう)」という言葉があります。「王様」は中世期頃に使われた表現ですが、近世以降を境に同じ読み方である「鷹揚」が当て字として使われるようになったともいわれています。

「鷹揚」の使い方と例文とは?

「鷹揚」は人の態度や心のあり方を表す時に使う

「鷹揚」とは人の態度や性質、また心のあり方などを表す時に使います。人がゆったりとしていて、目先の小さなことにまどわされず、落ち着きのある状態の時に使うのがベストです。おおらかで、どっしりとして度量の大きさや、心持ちの広さを表すので、相手を褒める意図で使うこともあります。

「鷹揚な態度」「鷹揚な人」などゆったりと構えた様子に使う

「鷹揚で」よく使う言い回しは、”鷹揚な態度”や”鷹揚な人”などですが、その他に「鷹揚に構える・鷹揚に微笑む・鷹揚な人柄・鷹揚で愛嬌のある」など数多くあります。

実際に「鷹揚な人・鷹揚な人柄・鷹揚な性格」などのように、相手の長所を挙げる時に使うことも多いです。

「鷹揚」を使った例文

「鷹揚」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 頭を下げて謝罪をしたら、鷹揚に許しをくれた。
  • 鷹揚に構える姿は、さすが芸歴30年の証である。
  • 部長はたとえ突然のトラブルが起きても、鷹揚とした態度で解決策を導いていく人だ。
  • 鷹揚な性格であるため、職場でも高評価を得ている。
  • 仕事でミスをした私に「何だ、そんなことか」と鷹揚に笑った。

「鷹揚」の類語とは?

「寛容」は言い換えに使える類語

「鷹揚」に似た言葉に“寛容”があります。「寛容」とは、広い心を持ち、他人の言動をよく受け入れることを意味します。「寛」という字には、気持ちや心が広く大きい、という意味があります。

「心の余裕がある」と言いたいときには、「鷹揚」を「寛容」に言い換えることができます。

「溶々たる・太っ腹・寛大」も類語

「鷹揚」の類語や言い換えには“溶々たる・太っ腹・寛大”などが挙げられます。

「溶々たる」は、どっしりとして広い心を持った態度や様子、「太っ腹」は度量が大きく細かいことを気にしないこと、また「寛大」はのんびりとして、態度や性格がおおらかであることを表しています。

中でも「太っ腹」を使う時は、普通の人ならノーと言いそうな依頼や申し出を、ドンと構えた調子で引き受けるような器の大きさを表す時に使います。

「鷹揚」の対義語とは?

「鷹揚」の対義語は”小心・臆病・内気”

「鷹揚」の対義語となる言葉は“小心・臆病・内気”などが挙げられます。「小心」や「気が小さい」はものごとの小さなことにとらわれて、気にしてしまうこと。「臆病」はものごとにびくびくとするさま、「内気」は内にこもることです。

「小胆」には相手を小馬鹿にするニュアンスも

「小胆」は思考や行動が小さく、肝が小さいことを表す時に使われます。「小胆」という表現は、やや相手を子馬鹿にしたようなニュアンスで伝わってしまうことがあります。誰でも「肝っ玉が小さい」と言われて喜ぶ人はいない、ということを留意しておきましょう。

「鷹揚」の英語フレーズとは?

「鷹揚」は英語で”easygoing”や”laid-back”

「鷹揚」を英語で言う時は“easygoing”“laid-back”が最も適切でしょう。「easygoing」は性格や人柄、ライフスタイルがゆったりとしていて、付き合いやすいタイプの人を指し、「laid-back」もおおらかで小言にこだわらない性格や性質を表しています。もちろん、どちらも悪い意味を全く含まない表現となります。

また、「鷹揚」は日本語独特の表現となるため、文脈によってはこれらの表現がアンマッチなこともあります。上手に意訳をしながら、適切な単語を探すようにすることが大切です。

「鷹揚」を使った英語例文

「鷹揚」を使った英語例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 彼は優しく鷹揚な性格である。
    He is kind and easygoing.
  • 私は取引先の相手と鷹揚な態度で話した。
    I talked to one of my clients nice and easy.
  • 部長は鷹揚に笑うと、すぐに社内から出て行った。
    My boss has left after he fully smiled.

まとめ

「鷹揚」の読み方は「おうよう」で、「鷹が大空に高く上がるように、小さな物にこだわらず、ゆったりと、おおらかな態度であること、またはその様子」を指す言葉です。せっかちで物事に急ぐような姿ではなく、物腰がやわらかく、度量の大きな性格や性質、人柄を意味します。

リクルートシーンや他人に自分のことを説明する時でも、「自分は鷹揚な人柄だと言われます」と言えば、「おおらかで心持ちの広い人」とアピールすることもできるでしょう。褒め言葉の一つ「鷹揚」を上手に使って、笑顔あるコミュニケーションをクリエイトしていって下さい。