「いつもどおりで」や「時間どおりで」などの使い方をする「どおりで」という言葉。日常会話でも良く使われますが、「どうりで」と混同する人も多く、表記には注意が必要です。
今回は、「どおりで」の意味や使い方、良く似た「どうりで」との違いについて解説します。併せて漢字や類語や英語表現についても紹介していきます。
「どおりで」の意味と漢字表記とは?
「どおりで」の意味は”同じ状態で”
「どおりで」の意味は、“すでにわかっている結果や予想される事柄と同じ状態で”ということです。「どおりで」は、それ単体ではなく別の単語を伴って使う接尾語です。接尾語とは、いつも他の単語の後ろに付く言葉。後ろに付くことでそこに意味を持たせます。
「予想どおりで」や「うわさどおりで」といった使い方をした場合、それぞれ前にある言葉に意味がつくため、「予想と同じ状態で・うわさと同じ状態で」といった意味になります。
「どおりで」を漢字では”通りで”と書く
「どおりで」を漢字で書く場合は“通りで”と表記します。「通」という漢字には、「とおる」や「届く」などの他に、「ある事柄に詳しい」や「わかっている」という意味があります。「その通りです」や「聞いた通り伝えます」という言い回しの場合、「それと同じ状態です」や「聞いたことと同じことを伝えます」という意味になります。
「どおりで」と「どうりで」の違いとは?
「どおりで」と「どうりで」は意味の異なる言葉
「いつもどおりで」と文章で表記するときに、「いつもどうりで」とどちらが正しいのか迷ったことはありませんか?「どおりで」と「どうりで」は、どちらが正しいということではなく、音や表記は似ていますが異なる意味をもつ別の言葉です。そのため意味によって使い分ける必要があります。
「どうりで(道理で)」とは”物事のあるべき道筋”
「どうりで」を漢字で書く場合は”道理で”になります。「道理」とは”物事のあるべき道筋”という意味。「どうりで」という言葉は、”理由があり当然の結果である”という意味の言葉です。
「いつも身だしなみを気にしている彼女。どうりで綺麗なわけだ。」や、「今夜は雪が降るらしい。どうりで寒いわけだ」などと、先に理由がありそれによって考えられる当然の結果だという表現の場合に用います。「どおりで綺麗なわけだ」や「どおりで寒いわけだ」としてしまうと間違った表記になります。「どおりで」と発音は同じため会話の中では気になりませんが、表記を間違えやすいため文章にする場合には注意が必要です。
「どおりで」の使い方と例文とは?
「どおりで」と「通りで」はどちらを使っても良い
「どおりで」は、そのまま平仮名でも「通りで」と漢字でもどちらを使ってもかまいません。ただし、「どうりで」や「道理で」と混同してしまうなら、「通りで」と漢字を用いた方が間違いにくくなります。
「どおりに」や「とおりで」などの言い回しがある
「どおりで」を使う場合、「いつもどおりにしましょう」や「そのとおりでお願いします」など、「どおりに」や「とおりで」とする場合もあります。前後の文脈によって言い回しが変わってきますが、意味は同じです。
「どおりで」を使った言い回しと例文
「どおりで」は接尾語のため、単体ではなく名詞など別の言葉に付けて使う言葉です。その言い回しや例文をご紹介しましょう。
- 昨夜は帰りが遅かったが、朝はいつもどおりに出発した。
- 先ほどの説明どおりで作業を進めてください。
- あの店の品揃えは、うわさどおりでした。
「どおりで」の類語とは?
「どおりで」の類語①「のように」「と同じで」
「どおりで」の類語には、“のように”や“と同じで”が当てはまります。名詞などに付けて用いる場合、「いつものように」や「いつもと同じで」とします。「どおりで」とほぼ同じ意味のため、どちらも「いつもどおりで」と言い換えることができます。
「どおりで」の類語②「そのままで」「変わらず」
「そのままで」や「変わらず」なども”どおりで”の類語として当てはまります。「いつものままで」や「いつもと変わらず」などの言い回しも「いつもどおりで」と同じ意味のため、言い換えることも可能です。
他にも、「あるがままに」や「その状態で」など、似た意味を持つ言葉が多くあります。
「いつもどおりです」の英語表記とは?
「いつもどおりです」は英語で”same as usual”
「いつもどおり」を英語で表現する場合は“same as usual”が当てはまります。挨拶で「How are you?」などと言われたときに「いつも通りです」という返事をするなら、「Same as usual」をフレーズとして覚えておくと便利です。
まとめ
「どおりで」は前に付く言葉に「同じ状態で」という意味を持たせる接尾語です。似た言葉の「どうりで」は「理由があって当然の結果だ」という意味。異なる意味を持つ別の言葉ですが、似ているため混同しやすいので注意しましょう。必要なら漢字で表記しても良いでしょう。