「食」に「傷」と書いて「食傷」という言葉があります。普段の生活やビジネス環境では「食傷気味」という言い回しで用いられることが多いですが、一体どのような意味があるのでしょうか?
今回は「食傷」の意味や語源をはじめ、「食傷気味」の使い方や例文、類語表現等をご紹介します。
「食傷」の意味と語源とは?
「食傷」の意味①同じ食べ物に飽きること
「食傷」の意味は、“同じ食べ物を続けて食べることに飽きてしまうこと”です。たとえば、自分が好物の食べ物があり、それを継続的に食べてしまうことで、遂には嫌気が指してしまうことなどを指します。たとえ好物なものでも毎日休みなく食せば、普通なら飽きてしまうものです。
また、分かりやすい例を挙げれば、和食を食べ続ければ洋食が恋しくなる、ダイエットや習慣的な行いで野菜ばかり食べていれば、たまには肉類や魚類が恋しくなてっきます。このように、同じ食べ物にうんざりすることを「食傷」と言います。
「食傷」の意味②同じことの繰り返しに嫌気を感じること
「食傷」には“同じことの繰り返しで、飽き飽きしてしまうこと”という意味もあります。何度も何度も同じ作業やタスクを繰り返していると、たまには他のこともしてみたい、別の作業にチャレンジしてみたい、と思うことでしょう。また、ものごとや状態が同じで変わらないことだけではなく、人の言動や行動に代り映えがなく、そのような状態にほとほと嫌気が指すこともあります。そのような状況を指すのが「食傷」です。
「食傷」の語源は”食べ物で傷つく”
「食傷」とは、そもそも”食中毒・食当たり・お腹を壊す”という意味があり、現代でも「生ものを食べて食傷をした(生ものでお腹を壊した)」というような表現で使われる言葉です。
「食傷」の語源は”食べたことで身体が傷ついてしまう”という症状から生まれた言葉で、本来の意味「食当たり」から転じ、”同じものを食べ続けることに飽きる・同じことを繰り返しすることに嫌気が指す”という意味で使われるようになりました。
「食傷」の使い方と例文とは?
「食傷気味」は飽きの兆候が出てきた時に使う
「食傷」でよく使われるのは「食傷気味」という言い回しです。日常生活でもビジネスシーンでも”同じ物事を見聞きすることに飽き飽きし始めてきた・変化のない状態に接することに対しうんざりする傾向が出てきた”という意味で使われます。
「食傷気味」のは使い方は非常に幅広いです。たとえばビジネス会議で同じ議題が繰り返されたり、上司に同じことを言われ続けたりする時「同じことばかりで何だか疲れてきた」という気持ちを表したり、毎日同じ職場に行って、同じ顔を見ながら、同じ業務を繰り返すような状況なら「変化のないライフスタイルにだんだん飽きてきた」ということを表現することもできます。
「食傷」に”そのような傾向がある・そのような兆候が見られる”という意味の「気味」を付けることによって「完全なる食傷でないが、そのような傾向がある」ということを相手に伝えることができます。
「食傷気味」を使った例文
「食傷気味」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- この頃PTAミーティングで同じ課題が出口なく繰り返されている。正直言って食傷気味だ。
- 出世はしたが、報告書のハンコ押し、部下への小言など、職場生活に食傷気味である。
- 食傷気味なのは、椅子に座りっぱなしのコールセンターでの勤務が長いからだろう。
- テレビをつけても同じ話題ばかり。食傷気味というより、むしろストレスが溜まってきた。
- 食傷気味になる前に、ごろ寝ばかりの週末の過ごし方をちょっと変えようと思う。
「食傷」の類語とは?
「食傷」の類語表現”もう勘弁”や”いい加減にして”など
「食傷」の類語には“飽きる・飽き飽きする・うんざりする・嫌気が指す”などがありますが、その他、飽きに限界が来ていることを感情的に表すフレーズとして「もう勘弁」や「いい加減にして」などが挙げらます。
たとえば、「食傷気味である」という表現なら「もう勘弁という感じである・いい加減にしてという気持ちである」などのように言い換えることができます。
- 同じタスクばかりで食傷気味だ。
- 同じタスクばかりで飽き飽きしている。
- 同じタスクばかりでうんざりである。
- 同じタスクばかりでもう勘弁という感じだ。
- 同じタスクばかりでいい加減にしてと叫びたい。
「飽経風霜」は世の中の苦労を飽きるほど経験すること
「飽経風霜(ほうけいふうそう」」とは、厳しい世の中であらゆる辛い経験をし、困難や苦労を乗り越えた人は、世渡り上手で狡猾なことを意味します。人生における難儀や土壇場を飽きるほど体験し、生き方が上手になることを指す言葉です。「飽経」とは飽きるほど経験すること、「風霜」は辛苦や試練を意味します。
- あの寺のご住職は飽経風霜を絵にかいたような人物だ。
- 飽経風霜をまとめた自叙伝を出版した。
まとめ
「食傷気味」とは本来”食当たり・食中毒・お腹を壊す”という意味があり、「食べ物で身体に傷がつく」ことが由来となった言葉です。転じて「同じものばかりを食べ続けてうんざりする」「同じものごとに多く接することに飽き飽きする」といった意味でも使われるようになりました。
ビジネスシーンでは同じ課題や問題を繰り返し行っていることに疲れることもあるでしょう。仕事は同じことの繰り返しであることが多いですが、視点を変えることで別の方法やより良いプロセスに気付くこともあります。視点を変えたり、心をリフレッシュさせて「食傷」を回避していきましょう。