「弁明」は、説明をして理解してもらうこと。会社では弁明の文書を作成したり、行政手続きでは聴聞と弁明の機会などがあったりと、耳にすることも多い言葉です。
この記事では「弁明」の意味や使い方、似た言葉の「弁解」との使い分けも解説します。また、例文や類義語「釈明」「言い訳」、英語表現についても紹介しましょう。
「弁明」の意味とは?
「弁明」の意味は”事実を述べて理解を得ること”
「弁明」の意味は、“説明をして物事を相手に理解してもらうこと”です。読み方は「べんめい」です。「弁」には”物事を理解すること”という意味があり、「明」には「あかるい」の他に「はっきりとしたようす」や「道理のあきらかなようす」という意味があります。
「弁明」には言い訳や言い逃れのニュアンスはない
「弁明」によく似た言葉に「言い訳」「言い逃れ」があります。都合の悪いことをごまかしたり、責任をまぬがれようとする言葉ですが、「弁明」にはこうした言い訳や言い逃れのニュアンスは含まれません。
あくまで「説明をして物事を相手に理解してもらうこと」が「弁明」であり、この言葉自体に逃げるような意味はないことを覚えておきましょう。
「弁明」と「弁解」の違いとは?
「弁解」とは”説明し正当化すること”
「弁解」は”べんかい”と読み、「自分の行動の正当な理由を説明すること」という意味の言葉です。「弁」には”物事を理解し明らかにすること”や”言葉で言い表すこと”などの意味があり、「解」には”意味をとき理解すること・説明すること”などの意味があります。
「弁明」との大きな違いは”自分のミスを正当化するかどうか”
「弁解」とは、自分自身のミスや非には正当な理由があることを説明し、理解を得る場合に使う言葉です。ミスや非を正当化するというニュアンスも含むのが「弁明」との大きな違いです。
- そのような規則については知らなかったので弁解したが、聞き入れてもらえない
- 私に非があるのは明らかなので、弁解の余地がありません
「弁明」の使い方と例文とは?
言い逃れではなく事実を説明する場面で使う
「弁明」には、事実を述べてその物事や行動を相手に理解してもらうという意味合いが強く、言い逃れをするというニュアンスは含まれません。誤解されていたり正しく理解されていなかったりすることに対して、その是非を明らかにして理解を得るために事情を説明する場面で「弁明する」と使います。汚名をきせられて無実を主張する場合なども「弁明」です。
「弁明」を使った例文
- 誤解されているようなので弁明させてください
- 私のミスから発生したトラブルなので、弁明のしようがない
- 懲戒解雇を決定する前に、弁明する機会が与えられるべきだ
「弁明」の類語(類義語)とは?
「言い訳」とは”説明し理解してもらうこと”
「言い訳」とは、”その行動に至った事情や理由を説明し理解を求めること”という意味です。自分の行動に理由があることを説明することであり、謝罪の気持ちはあっても、どちらかというとその理由を理解してほしいという気持ちが強い状態をさしています。
「弁明」は説明して誤解を解くことというニュアンスが強いのに対し、「言い訳」は、説明することによって言い逃れや責任逃れをしているというニュアンスが強くなります。そのため、「言い訳」をした場合には相手にあまり良い印象に受け取ってはもらえず、さらに誤解を受けることにもなりかねないので注意したいところです。
- 彼はいつも言い訳ばかりしている
- 自分に非がわるのはわかっていても、つい言い訳をしてしまう
- 待ち合わせに遅れた彼が言い訳ばかりで謝ろうとしないのでケンカになってしまった
- 謝罪のつもりで説明をしたが、言い訳にしか聞こえないと言われた
「釈明」とは”誤解を解くために説明すること”
「釈明」は”しゃくめい”と読み、「誤解を受けた場合、その行動について理解をしてもらえるよう説明をすること」という意味の言葉です。「釈」には”言葉の意味を明らかにする”や”事情を説明して解きほぐす”という意味があります。「明」の”はっきりとした”や”道理のあきらかなようす”と合わせることで、自分の立場や事情などを理解してもらうことで誤解を解きたいという意味です。
「弁明」も”誤解を解くために説明して理解をしてもらうこと”という意味ですが、「弁明」は事実を説明して誤解を解くという部分が強いのに対し、「釈明」は誤解を受けたことに関しての理解を求める部分が強いのが特徴です。
- スクープ写真を撮られた俳優が釈明のために会見を開いた
- 誤解されたままだが釈明の機会すら与えられないのでどうすることもできない
「弁明」の英語表現とは?
「弁明」は英語で”explanation”
「弁明」は英語では“explanation”で表現できます。「説明」という意味の”explanation”ですが、「口頭での説明で物事や行動の理由を明らかにする」というニュアンスがあり、動詞である”explain”を使うことで「弁明する」と使うことができます。
また、理由や説明という意味を持つ「account」は、目上の人などに対しての弁明や申し開きというニュアンスで使えます。
- explanation of procedures(手順の説明)
- Let me explain myself(弁明させてください)
- account for oneself(弁明する)
まとめ
「弁明(べんめい)」は、物事の理由などを説明することで相手に理解を得ようとすることで、言い訳や言い逃れをしようというニュアンスはありません。
「釈明」は誤解を解くために説明することであり、「弁解」はミスや非を正当化するというニュアンスも含みます。また、「言い訳」は、説明することによって言い逃れや責任逃れをしているというニュアンスが強くなります。