「ウィット(wit)」は”ウィットに富む・ウィットに長ける”などのように使われる言葉です。思わず「うまい!」「さすが!」と言いたくなるような機転の利いた考えを示す言葉ですが、正しい意味を理解していますか?
ここでは「ウィット」の意味と、よく使う「ウィットに富む」の使い方と例文を紹介します。似た意味の「エスプリ」などの類語も解説しましょう。
「ウィット」の意味とは?
「ウィット」の意味は”機知・理解力”
「ウィット」の意味は、“機知や理解力”のことです。「ウィット」は賢さや優秀さを直接的に示すのではなく、どちらとと言えば、「とんち」や「機転」と言ったニュアンスが強いとなります。状況や相手に合わせて臨機応変に面白いアイデアが出る力、また、思いも寄らないような鋭い知恵をとっさに考えつく才能を表しています。
たとえば、「1+1=2」という当たり前の答えではなく、「1+1=田」といった捻りのきく冴えた答えをさらっと言ってのけるような才知、また「さすが!」「なるほど!」と思わず言ってしまうよう知力が「ウィット」です。また「機知にとんだ話」や「機知にとんだ人」を「ウィット」と呼ぶことがあります。
「ウィットに富む」はとんちと機転に溢れること
「ウィットに富む」とは、とんちや機転に溢れる、それらが花開いていることを意味します。もともと「ウィット」には”機知に富んだ人”という意味があります。
たとえば「ウィットに富んだ人」とは”とんちの才能や理解力、知恵や知力などが備わっている人”を指します。誰かに「あなたはウィットに富んでいる」と言われたら、それは「なかなか面白い答えだね」「頭が冴えてるね」と褒め言葉でもあるのです。
「ウィット」の使い方と例文
「ウィットに富んだ〇〇」はよく使う言い回し
「ウィット」はあらゆる環境において「ウィットに富む」という熟語表現で使われることが多い言葉です。前述でご説明したように「ウィットに富んだ人」なら”機転が利いて味のある答えが出せる人”、「ウィットに長けた人」なら”とんちや知力が誰よりもある人”という意味で使われます。
もともと「富む」はたくさん持っている、豊富にあるという意味があり、「ウィットい富む」で”ウィット(機知や知力)がたくさんある”となります。
「ウィット」は斬新なアイデアを求めるときに使われる
「ウィット」が使われるシチュエーションはさまざまありますが、最もよく用いられるのが「斬新で一味違ったアイデアを求める時」です。たとえば、プロジェクトやイベントの企画、新作商品のデザインなど、発想が愉快で独創性あるものを求める時に、「ウィットに富んだアイデア」「ウィットに溢れる企画」というように使うことがあります。
「ウィット」の軸となるものは、純粋な思い付きやひらめきで場合も多く、これらは一晩中考え込んでも浮かんでくるものではありません。だからこそ、企画やデザインなどのフィールドでは「ウィット」が意味する”捻りのあるアイデア”や”色彩の異なる考え”を求めるのでしょう。
「ウィット」を使った例文
- お隣さんは、ウィットに富んだデザインの家に住んでいる。
- ウィットに長けたアイデアを求めるのは、市場で顧客を独占したいためだ。
- 彼の商品企画は機知に富んだウィット溢れるものがばかりだ。
- 我が社の社訓はウィットに富んだ内容が多い。
- 彼はIQが高いだけではなく、捻りの利いた話し口調で人気がある。
「ウィット」の類語
「エスプリ」とは才気・知性
「エスプリ」はフランス語の「esprit」が語源のカタカナ語で才気や知性を意味する言葉です。鋭い精神や霊魂に通じる意味を持ち、機敏に働く才知や機知を表す時に使われます。
「ウィット」は英語「wit」が語源ですので、フランス語に言い換えると「エスプリ」となります。
- 社長はエスプリのきいた挨拶を行い、社員を奮い立たせた。
- 国会ではありきたりな意見だけではなく、エスプリを感じる鋭い意見も飛び出す。
「しゃれ」とは気のきいた面白い文句
「しゃれ」とは、人をわらわせるような気のきいた文句や、思わず吹き出してしまうような話を意味します。しゃれがきいてるとは、面白い内容を含んだラインや話を意味します。
- 今回はしゃれのある滑稽な舞台であった。
- 彼はしゃれを言うような人でははいが、今日は面白い話をしてくれた。
「ヒューマー」とはユーモア
「ヒューマー」とは英語の”humor”のことで「おかしみ・滑稽」を意味します。カタカナ語のユーモアとイコールにある言葉ですが、英語での発音が「ヒューマー」であるため、人によってはユーモアではなく「ヒューマー」をあえて好んで使うことがあります。
- 彼は知的ながらヒューマーのある人だ。
- 思ったよりヒューマーある映画だった。
「ウィット」の関連用語
「ウィットねじ」はJIS規格廃止後も業界で使用
ウィットねじとは山の部分の角度が55度のインチねじです。これに対して山角度が60度のねじをユニファイねじと言います。ウィットねじは英国のウィットウォースという人物が考え出したねじの一つで、1968にJIS規格は廃止されたものの、現在も業界で使用されているねじの一つとなります。
まとめ
「ウィット」は英語の「wit」が語源で、「機知・才能・理解力・機転の利く・とんち」、また「機知に富んだ人」という意味で使われ、純粋に頭が良くて物知りであるというだけではなく、「捻りの利いたアイデアを持つ人・状況に合わせて臨機応変に答えが出せる人」という意味で使われます。言ってみれば、とんちで有名な一休さんのイメージが最もわかりやすいでしょう。
「ウィット」でよく使われる言い回しは「ウィットに富んだ〇〇」という熟語表現です。斬新で驚きのある何かを追及しているシチュエーションで用いられることが多いので、ぜひ活用してみて下さい。