世の中の考え方の流れを「風潮」と表現します。「社会の風潮」「時代の風潮」などと使いますが、「傾向」や「時流」「潮流」などとの違いがわかりにくい言葉かもしれません。
この記事では、「風潮」の意味や使い方と例文、類語との違いや英語表現などについてわかりやすく解説します。
「風潮」の意味と読み方とは?
「風潮」の意味は”移り変わる世の中の傾向”
「風潮」の意味は、“ある時代や社会に見られる物の考え方の傾向”のことです。どちらかといえば好ましくない傾向に対して使われることが多い言葉です。例えば「正直者が馬鹿を見るという風潮が広がっている」などの使い方です。
他に「時代の推移に伴って移り変わる世の中のさま」という意味でも使われます。「時代の風潮に迎合する」などの使い方です。いずれにしても、移り変わる世の中の傾向を表現する言葉が「風潮」です。
「風潮」の読み方は”ふうちょう”
「風潮」の読み方は“ふうちょう”です。「風土(ふうど)・風習(ふうしゅう)」など、「風」を”ふう”と読む熟語は多くあります。古来から日本語で「風」とは、目に見えないものを象徴する語でもあり、そのことから全体の雰囲気や傾向のことを表す語として使われています。
「かざしお」と読む「風潮」は”潮の流れ”という意味
「風潮」は”かざしお”と読むこともあります。「かざしお」と読む時の意味は、「風によって起こる潮の流れ」です。
風に吹かれて向きや勢いを変える自然現象である「かざしお」を「ふうちょう」と読む場合は、そのきままな自然現象を世の中の傾向を表す比喩表現として使われています。
「風潮」の使い方と例文とは?
「時代の風潮」「社会の風潮」はある時代や社会に見られる傾向に使う
「風潮」は、”ある時代や社会に見られる物の考え方の傾向”や”時代の推移に伴って移り変わる世の中(社会)のさま”という意味であるため、「時代の風潮」や「社会の風潮」といった言い回しが多く使われます。次のような例文です。
- 金で買えない物はないというバブル時代の風潮があった
- 「24時間働けますか」は昭和の時代の風潮を表すキャッチコピーだといえる
- 感染者を非難するような社会の風潮は慎むべきだとの声が挙がっている
- 強い者に忖度するという社会の風潮が広がっている
「風潮が高まる」とはその傾向が強まることを表す
その時のものの考え方の傾向が強まった時には「風潮が高まる」と表現されます。
- 閉塞的な社会情勢が続き、差別的な雰囲気や風潮が高まっている
- 消費意欲の減退が世界の風潮として高まっているとの指摘がある
- パンデミックが起こったことで、社会の連帯を求める風潮の高まりを感じる
「風潮」の類語や言い換え方とは?
時勢の動きという意味の「潮流」
「潮の流れ」を意味する「潮流(ちょうりゅう)」という言葉があります。「風潮」と同じく、実際の潮の流れの意味とともに、比喩的に”時勢の動き・時代の傾向”の意味も持ちます。
「時代の潮流に乗る」や「時代の潮流に逆らう」などと使われます。
時代の情勢という意味の「時流・時勢」
その時代の傾向・情勢や社会一般の風潮を「時流」といいます。「風潮」とも似た意味を持ちますが、「時流」の方がその時代の大きな流れや動きに着目した時に使われます。
また、「風潮」は好ましくない考え方の傾向などに対して揶揄する意味を含んで用いられることが多いですが、「時流」は中立的に使われます。「時流に乗る・時流に逆らう・時流を捉えた作品」などと使われます。
「時流」と同じ意味の類語として「時勢」や「トレンド」も挙げられます。
社会の流れという意味の「趨勢」
「趨勢(すうせい)」とは、社会などの全体の流れがある方向へと動く勢いのことをいいます。”戦局の趨勢を読む”や”世界の趨勢の変化”などと用いられ、流れが大きく変わる時などに用いられます。
「風潮」の言い換え方は”世の中の傾向”
「風潮」は”世の中の傾向”と言い換えることができます。「傾向」とは物事の考え方や態度が特定の方向に傾くことや、そうなりそうな形勢にあると判断されることという意味です。
「批判的な世論の傾向がみられる」「増加の傾向にある」などと用いられます。「世の中の傾向」と使われる時は、「風潮」に違い意味で使われます。
特定の考え方に世の中が大きく傾くことを「…という社会の風潮が高まる」と表現しますが、「…という世の中の傾向が高まる」と言い換えることができます。
「風潮」の英語表現とは?
「風潮」は英語で”trend”や”tide”
「風潮」の英語は“trend”です。「風潮」の他にも「傾向」などの意味があり、”tendency”とも表現できます。「世間の風潮」は英語で”the trend of the world”や”the tendency of society”です。
また「時代の推移に伴って移り変わる世の中のさま」といった”時流”の意味では「tide」や「current」も使われます。「時代の風潮に従う」は”go with the tide of the times”です。
まとめ
風に乗って動く潮の流れである「風潮(かざしお)」をたとえて「移り変わる世の中の傾向」のことを「風潮(ふうちょう)」と表現します。
社会全体の雰囲気や考え方の傾向を表す「風潮」には類語が多くあります。本文で紹介したもののほかにも「社会情勢・世論」などもあります。
特に、移ろいやすい社会の様相を揶揄したりする時には、「風潮」が用いられることが多いといえます。風に乗ってなびくものというイメージが「風潮」の語から感じられるためかもしれません。