「れっきとした」の意味は?漢字「列記とした」や類語・例文も解説

「れっきとした」は”れっきとした店”や”れっきとした事実”など、正しいことや世間に認められている状態を表す時に使われます。今回は「れっきとした」の2つの意味や語源、使い方をご紹介。漢字表記の「列記とした」が正しいのかどうか、類語もご紹介します。

「れっきとした」の意味とは?

「れっきとした」の意味は「正真正銘明らかである」

「れっきとした」の意味は、“正真正銘明らかであること・人やものごとが由緒正しく確かなこと”です。つまり、対象であるものが世間的にも認められ、また明白であることを表す言葉です。

「れっきとした」は、人やものごとにおいて疑う根拠もなく確固としたさまを意味し、見まがうことや間違いがないことを示す時に使われます。つまり、「偽物ではなく本物」であるのが「れっきとした」の軸となる意味となります。

「身分が高く家柄が良い」の意味もある

前述した意味に加えて「れっきとした」には“身分が高くて家柄が良い”というような意味も持ち合わせています。たとえば、「れっきとした華族」や「れっきとした役職」などのように、一般的な身分より高貴に位置し、階級が高いというニュアンスで使われます。

「列記とした」と漢字表記するのは誤り

「れっきとした」の漢字表記でよくある間違いの一つに「列記とした」があります。「列記」とは並べて書き記すことを意味し、どちらかと言うと「列挙」に似たニュアンスを持つ言葉となります。メールを打つ時に誤って「列記とした」と漢字変換してしまわないように気をつけましょう。

「れっきとした」の漢字表記と語源とは?

「れっきとした」の正しい漢字は”歴とした”

「れっきとした」の正式な漢字表記は”歴とした”です。通常なら「れきとした」と読むのが正しくなりますが、語句の言い回しが少しややこしいと言えます。そこで、言いやすくするために「れ」と「き」の間に小さな「っ」を加えて「れっき」として読むようになりました。

「れっき」のように、文法上において言い回しを容易にするために、言葉を添加するプロセスを「促音添加(そくおんてんか)」と呼びます。「れっき」の他にも「真っ黒)・真っ先・どっちらける・追っ払う」などがあります。

「れっきとした」の語源は”歴”の意味にあり

「れっきとした」とは、”歴とする”という言葉が変化をしたものです。もともと「歴とする」には”明らかな・はっきりした”という意味があり、転じて「正真正銘の」また「先祖が明らかな由緒正しい家柄」という意味で使われるようになった背景があります。

「れっきとした」の使い方と例文とは?

「れっきとした」は太鼓判を押す時に使われる

「れっきとした」は日常生活でも比較的よく使われる表現の一つです。「れっきとした」は「偽物ではなく、正真正銘ホンモノであること」を示す言葉であるため、人物やものごとを称賛し「太鼓判を押す時」に好んで使われます。

世の中にはさまざまな人がいて、あらゆるモノに溢れています。そのため、本物と偽物がごちゃごちゃと入り混じっているような環境でもあると言えるでしょう。そのようなカオスの中で、「れっきとした」というフレーズを使って「世に認められた」「ホンモノ」という代名詞を捧げることができます。

「れっきとした」を使った例文

  • 彼は地元で広く尊敬される、れっきとした刀職人です。
  • れっきとした老舗料理店だから、味は間違いないだろう。
  • 調停裁判ではれっきとした証拠があることが、結果に大きく左右する。
  • 貧弱に見えるかもしれないが、これでも私はれっきとしたピアノ奏者だ。
  • ここは歴史的に価値のある宝が眠る、れっきとした美術館であるらしい。
  • リーダーというれっきとした肩書があるのだから、臆す必要はありません。

「れっきとした」の類語表現とは?

「紛れもなく」とは明らかで間違いなく

「紛れもなく(まぎれもなく)」とは、ものごとや事象が明らかで間違いがないという意味です。「紛う(まがう)」とは、他の物事と区別や判断がつかなくなるさまを意味し、「紛うことがない」つまり、区別がつき明白であることを示す言葉となります。似た意味を持つ言葉に「紛いものではなく」があります。

例文
  • これは紛れもなく本物のピカソの絵である。
  • 紛れもない事実だというのに、どうして信じてくれないのか?

「やんごとなき」とは身分や家柄が極めてに高い

「やんごとなき」とは、身分や家柄が極めて高く、非常に高貴であることを意味します。「れっきとした」の”先祖が明白で良い家柄”という意味での類語表現として使えるでしょう。

例文
  • 同僚はやんごとなく家柄の出身である。
  • 彼はやんごとき身分でありながら、無駄遣いせず小銭を貯る倹約家だ。

まとめ

「れっきとした」とは”正真正銘の・嘘偽りのない・世に認められた”などのように意味を持つ言葉です。正しい漢字表記は「歴とした」となり、「列記とした」は誤りとなるため、漢字変換の際は気を配るようにしましょう。

「れっきとした」は、相手やものごとに偽りがなく、本物であるということを証明する時にも用いられますが、加えて世間に認められていることを示す「太鼓判」の役割も果たしてくれます。ビジネスシーンでも信用性に関わる事象に対して「れっきとした」を上手に活用してみて下さい。