「ビジネスライク」は否定的な意味?使い方の例文と類語・対義語も

「ビジネスライク」はカタカナ語の中でも、最も生活に浸透した一つではないでしょうか?能率が良く事務的という意味で使われますが、状況によっては否定的なニュアンスで使われる言葉でもあります。今回は社会人としても押さえておきたい「ビジネスライク」の使い方や類語、また服装についてご紹介します。

「ビジネスライク」の意味と語源とは?

「ビジネスライク」の意味は「実務的な」

「ビジネスライク」とは、「実務的な」「事務的な」「能率的でテキパキした」などの意味を持ち形容動詞です。わかりやすく言うと、仕事だとスッパリ割り切って、職業的に話をしたりものごとを進めていくことを指します。つまり、個人的な感情や意見を含めず、テキパキと淡々とものごとを処理していくような姿や話し方を「ビジネスライク」と呼んでいます。

「ビジネスライク」のメリットは余計な感情が不必要

「ビジネスライク」の特徴は事務的でテキパキとしているという点です。つまり、行動や口調に無駄がなく、相手に余計な感情を移入することもなく、業務に集中できることです。

他人のトラブルを自分の事のように抱えることもなく、第三者として冷静に見ることができるため、余計なストレスを背負うことも少ないです。そのため「ビジネスライク」に振舞うことで、大量の仕事を能率的にこなせるというメリットがあると言えます。

「ビジネスライク」の語源は英語の「business-like」

「ビジネスライク」は英語の「business-like」が語源となるカタカナ語です。同じく「businesslike」と続けて表記する場合もありますが、どちらも正しい表記となります。

英語の「like」には「〇〇に似た」「〇〇のような」という意味があり、頭に「business」を付けることで「ビジネスのような」つまり、遊び事やカジュアルではない「実務的で能率的な」という意味で使われるようになりました。もちろん、英語圏でも同様のフレーズを同じ意味で使います。

「ビジネスライク」の使い方と例文

「ビジネスライク」は否定的なニュアンスでも使われる

通常の解釈であれば、「ビジネスライク」は「ビジネスライクで仕事がはかどる」「ビジネスライクな対応が素晴らしい」など、褒め言葉や肯定的な意味で使われるのが当然です。しかし「ビジネスライク」を使う状況の中には「ビジネスライクで好感が持てない」「話し方がつっけんどんでビジネスライクだ」などように、否定的な使い方をすることがあります。

たとえば、接客業やホスピタリティ系のサービス産業では、人との心地よいコミュニケーションを保つことが何よりも重要です。つまり、事務的で心のこもっていないように見える「ビジネスライク」の対応は求められていないということになります。ここで「ビジネスライク」に不満が出てきてしまい、否定的なニュアンスとなって放たれてしまうというオチです。

つまり「ビジネスライク」を否定的に使う時は、状況的に「ビジネスライク」が求められていない場合です。職場の同僚や友人など、親身になる必要がある関係で「ビジネスライク」は辛いものがあるでしょう。

「ビジネスライク〇〇」とも使う

「ビジネスライク」は単体で使う場合が多いですが、現代では「ビジネスライク」の意味を利用して「ビジネスライク〇〇」というように使うことも増えてきました。「ビジネスライク」の後にカタカナ語の名詞を付けて、一つの熟語表現として活用されています。

たとえば、「ビジネスライク・マナー(社会人としてのマナー)」や「ビジネスライク・ディスカッション(実務的な会話)」「ビジネスライク・トーン(事務的な口調)」などのように使われています。

「ビジネスライク」を使った例文

  • 彼女には初めて会ったが、非常にビジネスライクで驚いた。
  • 地域を回る営業ではビジネスライクの対応は求められていない。
  • 今回のプレゼンは会社のロゴTシャツではなく、ビジネスライクな服装で行こう。
  • ビジネスライクな口調には唖然としたが、新人としては期待できる逸材である。
  • 家ではのんびりと優しい父親でも、職場ではかなりのビジネスライクになる。

「ビジネスライク」の類語と対義語は?

「ビジネスライク」の類語は「お役所的な」「合理的」など

「ビジネスライク」の類語には、「お役所的な」「無味乾燥の」「ドライな」などが挙げられます。「ビジネスライク」は冷淡で他人に深入りしないように振舞うのが基本であるため、「抑揚のない」「クール」なども類語としては適切でしょう。

一方、肯定的な意味を持つ「類語」としては「合理的」「効率的」なども「ビジネスライク」を言い換える言葉として置き換えが可能です。会話の趣旨やカラーに合わせて適切な類語に言い換えてみて下さい。

例文
  • 彼女の対応はビジネスライクだ。
  • 彼女の対応はお役所的だ。
  • 彼女の対応は無味乾燥だ。
  • 彼女の対応はクールだ。
  • 彼女の対応は合理的だ。

「ビジネスライク」の対義語は「親身」

「ビジネスライク」の対義語は、温かな心遣いをもって相手に接するさまを表す「親身(しんみ)」です。冷淡で事務的なさまとは逆に、優しい気遣いと思いやりを持って対応し、立場に立ってものごとを考えることを意味します。読んで字のごとく「親の身になって」相手のことを考え、必要であれば深入りをして助けてあげるようなことを「親身」と言います。

例文
  • ちょっとは親身になって相手のことを考えたらどう?
  • トラブルに巻き込まれている部下に対し、親身になって相談に乗ってあげた。

「ビジネスライク」な服装とは?

「ビジネスライク」な服装でのタブーを心得る

「ビジネスライク」な服装で気を付けたいのは、まず「ビジネスライク」で着用するべきではない服装を知っておくことです。「ビジネスライク」の服装でのタブーは、「ジーンス」「襟なしのシャツ」「ポロシャツ」の3つです。ショートパンツやタンクトップなどは言うまでもなく「カジュアル」となりますので気を付けましょう。

「ジーンズ」はオシャレなジャケットと併せると、ややビジネスライクっぽく着こなせるのが特徴ですが、ジーンズ生地は「労働者」「ブルーワーカー」「鉱山労働者」のための素材であるため、たとえ「ビジネスライク」であっても適切ではありません。

また「襟」とは「襟を正す」という意味で相手に敬意を表す大切なアイテムです。「襟なし」は基本的に相手に失礼にあたり、ビジネスシーンには向いていません。「ポロシャツ」はスポーツ用の服装となりますので、こちらも注意したいところです。

「ビジネスライク」な服装の基本例

「ビジネスライク」の服装とは、男性ならオフィスカジュアルと呼ばれる「ジャケット」「ストライプやカラーの襟付きシャツ」「落ち着いた色のスラックス」「チノパンツ」など、また女性も男性と同じような装いで、プラス「膝が隠れる程度のスカート」「スラックス」「デザインが控えめなアンサンブル」なども良いでしょう。

気を付けたい点は服装の色使いです。男性も女性も、ショッキングピンクや赤、黄色など、原色で派手なカラーは避け、オフホワイトやグレー、カラー色でも薄い水色など落ち着きのある色を選びましょう。あくまで仕事で着用する服装であるということを忘れないようにすることが大切です。

まとめ

「ビジネスライク(business-like)」とは「事務的な」「能率的な」「実務的でテキパキした」という意味のカタカナ語です。学生時代までは何とか通用した甘えやカジュアルな対応とは反対に、時間を無駄にせず淡々と業務だけを遂行するような姿や口調を意味します。

「ビジネスライク」は、言ってみれば社会人ともなれば当たり前のマナーであり、初対面の人や大量の業務を効率的にこなしていくために必要な概念でもあります。時としてネガティブなニュアンスで使われることもありますが、この場合は「ビジネスライク」な対応が不適切な環境であることが予想されます。

また、相手がそのつもりではなくても、受け手にとっては「ビジネスライクだなんて、失礼な」と誤解されてしまうこともあります。ぜひ、使い方には気をつけましょう。