生え抜きとは、会社に入社し長年所属している人に「生え抜き社員」と使ったり、野球などスポーツチームに長年所属する選手に「生え抜き選手」のように使ったりする言葉です。
今回は「生え抜き」という言葉の意味や語源、使い方や類語「プロパー」「生粋」との違いについて解説。併せて英語での表現も紹介します。
「生え抜き」の意味と語源は?
「生え抜き」の意味は「生まれた地で育った人」
「生え抜き」は「生まれた地で育ち成長している人」のことをさす言葉です。生まれ育った地から離れたことがなく、その地で大人になるまで成長した人はもちろん、そのまま同じ地で生活をし続けている人のことをさします。
「組織や会社に所属し続ける人」も「生え抜き」
「生え抜き」のもうひとつの意味は、「組織や会社などに入って所属し続けている人」です。会社はもちろん、野球やサッカーなどのスポーツチームに、最初からずっと変わらず転職や移籍をしないで所属している人のことをさします。
「生え抜き」の語源は「自然のままつらぬく」
「生え抜き」の「生」には、「いきる」や「いのち」などの意味の他に「自然のままである」「生まれたままである」という意味があります。また、「抜き」には「中のものを取り出す」などの意味の他に「つらぬくこと」や「攻略すること」という意味があります。
この二つの意味を合わせ「自然のままでつらぬくこと」という意味から、生まれた地で育ちそのまま同じ地に住み続けることや、同じ会社や組織などに最初から所属し続ける人のことを「生え抜き」と表現します。
「生え抜き」の使い方と例文
「生え抜き」は生まれ育った場所について使う
「生え抜き」を生まれ育った場所について使う場合、その地で生まれ育った人をさします。「彼は生え抜きの東京人である」と表現した場合、東京で生まれ東京で育った人という意味です。
「生え抜き」は会社や野球チームでは「ずっと所属している人」に使う
会社で「生え抜き」を使う場合は、中途採用ではなく新卒で入社してからずっと同じ会社に勤めている人をさし、「生え抜きの社員」などと呼びます。
野球やサッカーのようなスポーツ団体で使う場合は、入団後に一度も他のチームに移籍をせず所属し続ける選手のことを「生え抜き選手」と呼びます。また、特にサッカーチームの場合は、下部組織であるジュニアユースチームからトップのプロチームまで昇格して所属し続ける選手のことを、一般的に「生え抜き選手」と言います。
「生え抜き」を使った例文
- 彼は生え抜きの江戸っ子です
- 私が勤める会社は生え抜き社員が多く家族のような雰囲気だ
- 応援している野球チームの生え抜き選手が海外に移籍すると聞いて驚いた
- あのサッカーチームには、ユースから所属している生え抜き選手がたくさんいます
「生え抜き」の類語は?
「生え抜き」の類語①「プロパー」
会社などで使われることの多い「プロパー」は、「適切な」や「ふさわしいこと」といった意味を持つ英語の「proper(プロパー)」とは少しニュアンスが違う和製英語です。学問などで専門の人や専攻している人などをさしたり、新卒で入社以来ずっとその会社に所属している社員のことをさして「プロパー社員」と使用したりします。
「生え抜き社員」は、新卒で入社して以来その会社にずっと所属し続けている社員のことをさしており、「プロパー社員」とした場合はほぼ同じ意味の言葉と言えます。しかし「プロパー」には、出向や外部から派遣された社員などと区別して「正社員である」という意味合いも含まれており、「生え抜き」とはニュアンスが違うのが特徴です。
「生え抜き」の類語「プロパー」を使った例文
- 頑張ればプロパー社員から社長までのぼりつめることも可能だ
- 経理部の彼はプロパーなので過去のデータにも詳しいです
- 彼女は経営学プロパーだから、困ったときも頼りになります
「生え抜き」の類語②「生粋」
「生粋(きっすい)」は「何も混じっていないこと」という意味。「自然のまま」「生まれたまま」という意味の「生」と、「混じっていない」という意味の「粋」を合わせ、「自然のままに他のものが全く混じっていないこと」を表しています。
生まれ育った地について言及する場合、その地で生まれ育ち混じりけがないという意味で「生粋の関西人」などと使用します。生まれ育った地について使う場合には、「生え抜き」のひとつ目の意味とほぼ同じです。
また、「混じりけがない」という意味から趣味や嗜好が一貫しているという意味で「生粋のファン」などと使われることもあります。
「生え抜き」の類語「生粋」を使った例文
- 彼は生粋の江戸っ子だ
- 彼女は毎週のように地元サッカーチームを応援に行く生粋のファンらしい
「生え抜き」の英語表現は?
「生え抜き」は英語で「native-born」「trueborn」
「生え抜き」は英語で「native-born」や「trueborn」などで表現できます。どちらも「生まれながらの」や「生粋の」という意味でも使えるフレーズです。「生まれ育った」という意味の「born and bred」も「生え抜き」という意味合いのフレーズとして使えます。また、「career」には「生涯」や「生涯の仕事」といった意味があり、生え抜きというニュアンスで使える単語です。
まとめ
「生え抜き」とは「生まれた地で育ち生活をし続けている人」という意味と、「組織や会社などに最初から入って所属し続ける人」という意味があります。類語である「プロパー」は新卒で入社してそのまま在籍している社員のことをさす和製英語で、「生え抜き」とほぼ同じ意味合いで使われる言葉ですが、「プロパー」には「正社員である」というニュアンスも含まれているので、注意して使い分けましょう。