「同伴」と聞くと水商売の方を思い出される方もいるでしょう。「同伴」には男女が連れ立って行くという意味があるので水商売での使い方は正しい使い方だと言えますが、「同伴」は親同伴や子供同伴など幅広く使われています。
今回は「同伴」の意味と使い方の他に、類語や英語表現などを例文と併せて解説します。
「同伴」の意味とは?
「同伴」の意味は”一緒に連れ立って行くこと”
「同伴」の意味は、“一緒に連れ立っていくこと”です。特に男女または夫婦が連れ立っていくことを指す場合に用いられることがあります。
ただし現代では男女の関係以外でも「同伴」は使われるようになり、一緒に連れ立つという意味であれば性別に関係なく使われています。
「同伴」の「伴」とは”ともなう”や”連れていく”という意味なら伴走や伴奏という言葉で使われています。また連れという意味で使われる時には「伴侶」といった言葉に使われています。
「同伴」の使い方と例文とは?
「子供同伴」とは”子供と一緒に行くこと”
「子供同伴」または「子供を同伴する」という表現は子供と一緒という意味ですが、子供同伴で行ける場所は限られていることもあり、子供同伴が許されるかどうかを判断しなくてはならないことがあります。
例えば、選挙の投票では公職選挙法の改正前は用事を除く子供同伴での投票が禁止されていましたが、選挙法が改正されて平成28年より子供同伴が許されるようになりました。
また、結婚式のようなイベントでは子供同伴が好まれないこともあります。招待状に「お子さんもどうぞ」といった文面があれば子供同伴でも問題はありませんが、そうした文面がない場合には子供を連れていくことを遠慮するか、子供同伴でも構わないかどうかを事前に先方に確認しましょう。
ホステスが使う「同伴」は”出勤前にお客と時間を過ごすこと”
水商売で使われる「同伴」とは、ホステスが自分の勤めるスナックやラウンジなどの出勤前に、お客と食事や買い物などをして時間を過ごし、そのままお客と一緒にお店に出勤することです。
同伴には、食事などをせずに店前でお客と待ち合わせて出勤する「店前同伴」や、営業前に時間を過ごしている途中で一緒にお店に行くことを決める「賭け同伴」もあります。
「同伴者」とは”同伴する人・思想的に共鳴した人”という意味
同伴する人という意味で「同伴者」という使い方がありますが、「同伴者」には思想的に共鳴した人という意味もあります。思想的に共鳴するとは相手の思想運動などに同意または賛同の意向を示すことですが、「同伴者」では思想的に共鳴するものの積極性は低く、協力をするといった程度にとどまります。「同調者」と言い換えることができるでしょう。
「同伴者文学」とは1920年代のロシア文学界の潮流
1920年代のロシアで、ソ連体制化の時代に社会主義革命(10月革命)に賛同しながらもプロレタリア的世界観には同調できない意向を示した文学の潮流のことです。ロシアの革命家トロツキー(1879-1940)の論文集「文学と革命」の中になる革命の「同伴者(ポプートチキ)」という言葉が由来です。
エセーニンやレオーノフ、フェージン、ピリニャークなどのタイプの異なる作家たちが同伴者文学の作家として知られています。
「同伴」を使った例文
「同伴」を使った例文をご紹介しましょう。
- 「夫に同伴して、主人の務める会社のパーティに出席した」
- 「父兄同伴とは保護者同伴という意味だよ」
- 「一人では心細いので、親友に同伴してもらえるように頼んだ」
- 「片思いの女性を見かけたが、同伴の男がいてショックだった」
「同伴」の類語とは?
類語①「随行」とは”目上の人に付いて行くこと”
「随行(ずいこう)」とは同伴のように連れ立っていくことなのですが、特に目上の人や地位の高いに付いて行く場合に用いられる言葉です。「お供する」などと言い換えられます。
- 「殿の外遊に随行する」
- 「随行員」
類語②「同行」とは”連れ立っていくこと”
「同行(どうこう)」は連れ立っていくことという意味ですが、主導的な立場の人がいて、その人に付いて行く状況で使われる言葉です。また「同行」は神仏に一緒に参詣することや一緒に仏道の修行をするという意味もあります。
「同伴」との違いは、「同伴」では連れ立つ人々の立場は同じと考えられる点で違います。
「取引先に行く部長に同行する」
類語③「帯同」とは”一緒についていくこと”
「帯同(たいどう)」とは一緒に連れていくことという意味の言葉です。つまり、主導者となる立場に人がいて他の誰かを連れていくという状況に使われます。また連れていく人数に決まりはありません。
「同伴」との違いは、「同伴」は主導者となるような立場の人はいず、複数人が一緒に連れ立って行動するときに用いられます。
「取引先に行く部下を帯同する」
「同伴」の英語表現とは?
「同伴する」は英語で”accompany”か”go with”
「同伴する」は英語で“accompany”という英単語が用いられます。日本語では「同伴」や「同行」など連れ立っていくという意味でも状況によって使い分けますが、「accompany」には同伴すると同行するの両方の意味があります。
“Mr. Suzuki was accompanied by his wife.”
「鈴木さんは奥さんを同伴していた」
くだけた日常会話でなら”accompany”よりは「go with」の方が馴染みのある表現でしょう。ビジネスシーンでも気心の知れた相手とならば「go with」を使って失礼になることはありません。
“I will go with you.” 「同伴」は本来では特に男女や夫婦が連れ立って行くという意味でしたが、親や子供など性別に関係なく人が連れ立って行く場合に使われています。ただ「同伴」という言葉には固い響きがあるだけでなく男女の関係を連想させることもあるので、誤解を生みたくない状況なら「一緒に行く」というくだけた言い回しを使った方がいいでしょう。
「同伴しよう」まとめ