「矮小(わいしょう)」は形や見栄えなどが小さく、背の低いものに対して使われる言葉です。ビジネスシーンでも「矮小化」という表現でよく使いますが、どのような意味があるのでしょうか。今回は「矮小」や「矮小化」の意味のほか、「卑小」との違い、言い換えができる類語・対義語についてご紹介します。
「矮小」の意味とは?
「矮小」の意味は”丈が低くちっぽけなこと”
「矮小」の意味は、“丈が低くちっぽけであること”です。全体的に形や見かけが小さく、たわいないものごとを表す言葉です。もともと「矮小」の「矮」は背の低い人を意味し、低いことや短いことを表す漢字です。その「矮」に「小」を重ねて、丈の低さや小ささを強調する言葉として使われています。
また、「矮小」は考えやアイデア、思考や行動力などが貧弱でたわいもない、ちっぽけでつまらないという時にも使われます。
「矮小化」はものごとを小さくすること
「矮小化」とは、“ものごとを小さくし、こぢんまりとすること”を意味します。ビジネス環境では「問題を矮小化する・規模を矮小化する・人員を矮小化する」などのように使い、改善に向けて大きなものを小さくするという意味で使われます。
- 問題を矮小化して、解決を急ごう。
- 事業の規模を矮小化することで、人員整理と経費節減を目指す。
「矮小」と「卑小」の違いとは?
「卑小」とは”卑しくて心が狭いこと”
「矮小」と似た言葉に「卑小(ひしょう)」があります。「卑しい」に「小さい」と書きますが、「卑小」の意味は”根性が卑しくて、心が狭いこと・取るに足りない小さなこと”となります。
「矮小」と「卑小」の違いは”卑しさ”があるかどうか
「矮小」にも「卑小」と同じような意味がありますが、「卑小」は”考えが卑しく見苦しい・根性が下劣・けち臭い”というニュアンスがあるのが特徴です。「矮小」には”卑しさ”がほとんど含まれていないため、その点で意味や使い方が「矮小」とはやや異なります。
- 部下の卑小な考えには飽き飽きする。
- ビュッフェをこっそり持ち帰るなんて、何だか卑小な行動だ。
「矮小」の使い方と例文とは?
「矮小」はちっちゃな何かを指す時に使う
「矮小」は通常、人や物質などに対して、丈が低くちっぽけであるという意味で使われます。たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんは非常に小さいですが「矮小ひなからだ」「矮小な手足」などのように表現することもできます。
また、夜空の星や妖精などに「矮小」を使えば、文学的なイメージを醸し出すこともできるでしょう。その他、「矮小の置物」「矮小の盆栽」など、「矮小」が使える対象物は範囲が広いです。多用や濫用は避けた方が良いですが、適切な場面で使うと文章にオリジナリティが出ることが期待できます。
ビジネスシーンでは「矮小な考え」「矮小なアイデア」にも
「矮小」は日頃の生活ではあまり使う機会がありませんが、ビジネスシーンでは「考え」や「アイデア」など対して使うことができます。
たとえば、職場での会議で出た意見に対して「矮小な考え」「矮小なアイデア」などの表現を使うことがあります。イベント企画や販促、マーケティングに関するミーティングなどで、取るに足らないような小さなアイデアが出た時などに用いてみましょう。
「矮小」を使った例文
「矮小」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 何と矮小なのだろう。ちっちゃなオタマジャクシが川面を泳いでいる。
- 部長が求めているのは、矮小な考えではない。スケールが大きく斬新なアイデアだ。
- 今回の企画では、つまらない意見や矮小な提案は避けるようにして下さい。
- 今晩は、矮小な星が夜空いっぱいに広がる。
- 生まれた時は矮小であったが、今では背丈もあり筋肉質な体つきになった。
「矮小」の類語とは?
「矮小」の類語は”矮躯(わいく)”
「矮躯(わいく)」とは、背の低い体や身の丈が小さいことを意味する言葉です。
ちんちくりんな体や小人のことを表し、主に人間や動物、植物の体つきや見かけに対して使われます。「矮躯」の「躯」は身体や体という意味もありますが、植物の幹を表すこともあります。「矮小」はアイデアや考えがとりとめもなく小さいという意味も持ち合わせますが、「矮躯」の場合は「体つき」など見かけのみとなります。
「チビ」も口語で使うことが多い類語
「チビ」は小さいものや背の低い人を意味します。「チビ」は”禿びる(ちびる)”が名詞化した語句で、もともと先が擦り切れて短いという意味を持つ言葉です。一般的に「ちびっ子」や「ちび鉛筆」など、背丈が低い人やものに対して使われます。「矮小」とは異なり、口語で使われることが多い言葉です。
「矮小」の類語を使った例文
「矮小」の類語を使った例文をご紹介しましょう。
- 少女はどう見ても矮躯であるが、情熱と根性を秘めている。
- この下駄、チビで可愛いね。
「矮小」の対義語とは?
「矮小」の対義語は”巨大”や”壮大”
「矮小」の対義語は”巨大”や”壮大”などです。背丈や規模、スケールなどが大きいことを表す言葉で、物質的なものだけではなく、目に見えない考えやアイデア、主張や態度、景色や夢などにも使えます。
- 水族館で巨大な深海魚を見た。
- 壮大な夢を語りながら、壮大に呑み明かした。
まとめ
「矮小(わいしょう)」とは、丈が低く小さなことやちっちゃなこと、またその様子を表す言葉です。ものごとが小さいことだけではなく、考えや主張など、思考やアイデアがとりとめもない、またはちっちゃいということにも使える便利な言葉です。
似た言葉に「卑小」がありますが、「矮小」と比べて卑しくとりとめもないというニュアンス含むため、文章の内容によって使い分けが必要です。この機会に「矮小」をマスターして、ビジネスメールや手紙などで活用していきましょう。