「合縁奇縁」の意味とは?一期一会との違いと使い方・類語も解説

「合う縁、奇な縁」と書いて「合縁奇縁」という四字熟語があります。「人との縁」について言及するときに用いられますが、どのような意味が込められているのでしょうか。

今回は「合縁奇縁」の意味や使い方、類語を解説。間違えやすい「一期一会」との違いを含めてご紹介します。

「合縁奇縁」の意味と読み方とは?

「合縁奇縁」の意味は”人との相性は不思議な縁による”

「合縁奇縁」の意味は、“人が互いに気心が合うか合わないかは、摩訶不思議な縁による”ことです。つまり「人との相性は奇怪なもので、すでに決まっている・奇妙な巡り合わせによって人との相性が決まっている」というようなニュアンスを持つ言葉です。

もともと「縁」という漢字には”人と人を結び、努力や人力では到底変えられない不思議な力を持つもの”という意味があり、人の能力や知能を超越した不動の力が存在することを示しています。

「合縁奇縁」は、その縁に良し悪しがあるのは仕方がないことで、それに伴って人と人の気持ちが通じ合うのも縁、気持ちが通じ合わないのも縁、というような意味で使われる言葉となります。

「愛縁奇縁」「合縁機縁」と表記するケースも

「合縁奇縁」は、同じ意味で「愛縁奇縁」や「合縁機縁」と表記することもできます。最も一般的に使われるのは「合縁奇縁」ですが、主に男女の間柄を強調する時は「愛縁奇縁」、不思議な機会で得た縁を強調したい時は「合縁機縁」を使う傾向があります。

「合縁奇縁」の読み方は”あいえんきえん”

「合縁奇縁」の読み方は“あいえんきえん”です。間違って「ごうえん」と読んでしまったり、「縁(えん)」を「緑(みどり)」と誤読しないよう四字熟語として覚えておきましょう。

「合縁奇縁」の使い方と例文とは?

「合縁奇縁」はあらゆる人間関係に対して使える

「合縁奇縁」はあらゆる人間関係で”相性が良いか悪いかは既に決まっている”という事を表す言葉です。

たとえ血のつながった濃密な関係であっても、必ずしも相性が良いとは限らず、そうでは無い場合もあるでしょう。「合縁奇縁」は”相性は奇怪なもので、家族の関係でも良し悪しは変えることができない”という意味でも使うこともできます。

ビジネスシーンでは「良い縁」として使える

「合縁奇縁」とは、良い縁であること、悪い縁であることの両方の場合で使うことができますが、ビジネスシーンでは「良い縁」という意味で使うことができます。

たとえば、契約や商談の際に「合縁奇縁と言いますが、これも何かの縁です」のように使うことができます。

「合縁奇縁」は励ましの言葉としても使える

自分がどれだけ努力をしても好かれようと試みても、どうしても打ち解けることができないこともあるでしょう。

「なぜ、この人とは気が合わないのだろう?」と真剣に悩んでしまうこともあります。「合縁奇縁」が根本的に意味するところは”相性の良し悪しとは、奇怪ながらも元々決まっている”ということです。

つまり、誰かと仲が悪くて落ち込んでいる心優しい人がいるとすれば「それは仕方がないことで、すでに決まっている運命である」ということを「合縁奇縁」を使って伝えることもできます。

「合縁奇縁」を使った例文

「合縁奇縁」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • いつもケンカばかりしているお隣さんは、合縁奇縁の仲なのだろう。
  • 合縁奇縁な組み合わせとは、我が部長と私のことだ。
  • 30年来の友人である彼とは合縁奇縁なのか、しばらく会ってなくても会話が弾む。
  • 双子の兄とはそっくりだと言われるが、本人同士も合縁奇縁の間柄だと認識している。
  • 合縁奇縁と言われるように、チームの中でも気が全く合わない選手がいる。
  • 人生には合縁奇縁をひしひしと感じる場面に多く遭遇するものだ。

「合縁奇縁」と「一期一会」の違いとは?

「一期一会」は生涯で一度しかないと考えること

「一期一会」とは、茶道の心得を表現した語句で、同じようなお茶会でも粗末にせず、一生に一度のことであると考えること、また誠意を尽くして参加することという意味を持ちます。

「もう二度と会えないかもしれない」、「体験することができないかもしれない」という気持ちで、一度の出会いを大切にするべきだという教えを説いたものです。

「合縁奇縁」には一度きりの縁を大切にする意味は含まれない

「合縁奇縁」は”人と気持ちが通じ合うか合わないか、気が合うかあわないか”ということに焦点を当てているのが特徴です。「一期一会」のように一度きりの縁を大切にして誠意を尽くす、という意味は、「合縁奇縁」には直接的には含まれていません。

「合縁奇縁」の類語とは?

類語①「縁は異なもの味なもの」は男女の不可解な縁

「縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの)」とは、男女の間柄に対して使われる言葉で「縁はどこでどうつながるものか、非常に不可解で面白い」という意味を持ちます。男女の縁が理屈では到底説明できないようなことを表し、二人の結びつきが思いも寄らないような状況で使われます。

例文
  • 縁は異なもの味なもの。仲の悪かった同級生と来年結婚することになった。
  • 落とした財布を拾ったことが、交際に発展した。まさに縁は異なもの味なものである。

類語②「何事も縁」は世の中は縁でつながっている

「何事も縁(なにごともえん)」とは、世の中は縁でつながれいて、不思議なほど縁を軸に成り立っている」という意味を持つ言葉です。理屈や事情によらず、何事も縁で結ばれているということをたとえたことわざの一つとなります。おおむね、良縁を示す良い意味で使われることが多いです。

例文
  • アートには興味はないが、何事も縁というように足を運んでみるか。
  • 何事も縁で、仕事の取引先の社長は私の小学校時代の旧友だった。

まとめ

「合縁奇縁(あいえんきえん)」とは、”人と気が合うか合わないかは不思議な縁による”という意味を持つ四字熟語です。人には相性の良し悪しがあり、これは奇怪なものでもともと決まっているという意味で使われます。「縁」にはもともと「人の能力を超越した摩訶不思議な力」があり、人力や努力では変えることができないということを意味する言葉でもあります。

ビジネスシーンでは良い縁を意味する表現として、販売促進や営業エリアでも効果的に使うことができるでしょう。この機会に「合縁奇縁」の意味や使い方マスターしながら、改めて人との縁についても思いを巡らせていきましょう。