「子はかすがい」とは「子が夫婦を繋ぎとめること」を意味することわざです。「子はかすがい」を「嫌い」「嘘だ」と感じる人もいるため「いい意味として使えるのか?」という疑いもあるでしょう。本記事では「子はかすがい」の由来や例文、類語も解説します。加えて落語「子はかすがい」のあらすじや英語表現も解説します。
ことわざ「子はかすがい」の意味とは?
「子はかすがい」の意味は「子が夫婦を繋ぎとめる」
「子はかすがい」とは「子どもが夫婦の仲を繋ぎとめることの例え」を意味することわざです。長年連れそった夫婦でも時にはうまくいかないことがありますが、そんな夫婦仲を和ませ、縁を繋ぎとめるのは子どもであることを表します。
「子はかすがい」の”かすがい”は漢字で「鎹」
「子はかすがい」は漢字で「子は鎹」と表します。「かすがい」を「春日井」と表すのは誤用であるため、注意しましょう。また、「子は夫婦の鎹」という表現もありますが、意味や使い方に違いはありません。
「子はかすがい」の由来は「かすがい」にある
「子はかすがい」の由来は「かすがい」がもつ本来の意味にあります。「かすがい」とは「両端が曲がった大きな釘」を指す言葉で、木材と木材を繋ぎとめるために使われます。2つの物を繋ぎとめるという意味が転じて、「人と人とを繋ぎとめるもの」という意味で使われるようになりました。
「子はかすがい」は落語の演目の1つ
古典落語には「子はかすがい」を題材にした演目があります。大工として優れた腕をもつ熊五郎は、酒癖が悪いばかりに妻に愛想をつかされてしまいます。妻と息子の亀吉に出ていかれた熊五郎は心を入れ替えて働くようになり、3年がたつ頃には楽な暮らしを送るようになっていました。
ある日、偶然にも亀吉と再会した熊五郎は、亀吉にお小遣いを渡して翌日もう1度会う約束をします。「今日のことは2人の秘密だ」と熊五郎に言われた亀吉ですが、母にお金が見つかってしまい盗みを疑われてしまいます。
亀吉は隠し通すことを諦め、熊五郎と再会したことを母に打ち明けてしまいました。母は亀吉を怒ることもなく、心を入れ替えた熊五郎の様子を聞いて嬉しそうにします。翌日、約束通りに亀吉と落ち合う熊五郎。その場には妻も顔を出し、ぎくしゃくとした空気を見かねた亀吉が2人の仲を取り持って、無事によりを戻すことができたのです。
「子はかすがい」の使い方と例文
「子はかすがい」はいい意味で使われる
「子はかすがい」は子どもへの愛情が夫婦の仲を繋ぎとめることを例えているため、いい意味で使われます。たとえば、長い時間をともに過ごすにつれ、お互いの興味が薄れてきた夫婦がいるとしましょう。
しかし、出産や子育てを機に再びお互いを大切に思うことができたとします。子どもをきっかけに夫婦仲がよくなっていった上記のような状況は、まさに「子はかすがい」であることを表しています。
「子はかすがい」を「嘘」「嫌い」と捉える人も
「子はかすがい」ということわざを「嘘だ」「嫌いだ」と捉える人もいます。「子どもが夫婦の仲を繋ぎとめること」を意味する「子はかすがい」ですが、反対に子どもがいることで夫婦仲が悪くなったと感じる人もいるのです。
また、子どもは夫婦の仲を繋ぎとめるために存在するわけではないため、まるで子どもを道具かのように表す「子はかすがい」という表現を嫌う人もいます。いい意味で使ったつもりでも相手に不快感を与えることがあるため、使用には注意しましょう。
「子はかすがい」を使った例文
- 子は夫婦を繋ぎとめるための道具ではないため、子はかすがいという言葉が嫌いだ
- 子はかすがいなんて思わなくてもいいよう、お互いを大切にしていきたい
- 息子のおかげで妻とやり直せたことを思うと、まさに子はかすがいだ
「子はかすがい」の類語と英語表現
「子はかすがい」の類語は「縁の切れ目は子で繋ぐ」
「子はかすがい」と似た意味をもつ言葉(類語)には「縁の切れ目は子で繋ぐ」が当てはまります。「縁の切れ目は子で繋ぐ」とは「夫婦の仲が悪くなって別れることになっても、子どもが縁を繋いで結局別れないこと」を意味することわざです。
「子はかすがい」と「縁の切れ目は子で繋ぐ」はどちらも、子どもがきっかけで夫婦の仲が繋ぎとめられることを意味しているため、類語に当てはまります。
「子はかすがい」は英語で「A child a married couple together」
「子はかすがい」の英語表現には「A child a married couple together」が適しています。「A child a married couple together」とは「子どもが夫婦を結びつける」を意味する言葉で、「子どもが夫婦の仲を繋ぎとめること」を表せます。
まとめ
「子はかすがい」とは「子どもが夫婦の仲を繋ぎとめること」を意味することわざです。いい意味で使われる言葉ですが、人によっては「子はかすがい」を「嘘だ」「嫌い」と捉える人もいるため注意しましょう。
類語には「縁の切れ目は子で繋ぐ」が当てはまるため、他の表現を使いたい状況では言い換えることができます。
・娘の説得により別居中の妻が帰ってきてくれた。縁の切れ目は子で繋ぐとはよく言ったものだ
・縁の切れ目は子で繋ぐとは言うが、もちろん例外もあるだろう