「参照」とは資料を参考にするときなどによく見聞きされる言葉ですが、「参考」や「照会」など似た言葉もあって使い方に迷うことはありませんか。
今回は「参照」の意味と使い方、「参考」との違いや類語への言い換え表現を説明します。また英語表現と例文も紹介しますのでお役立てください。
「参照」の意味とは?
「参照」の意味は”照らし合わせて参考にすること”
「参照」の意味は、あることを知るために“いろいろと調べて照らし合わせて参考にすること”です。調べる過程で参考となる資料は複数あり場合に用いられて、それらを比べて見たり読んだりして参考にするという意味になります。
「参照」と「参考」の違いとは?
「参考」は自分の意見を決めるときに使われる
「参照」の言い換え表現として「参考」があります。「参考」の意味は、考えを決めるときに手がかりや助けになることで、具体的には他人の意見や他の資料や事例などがあります。
「参照」と「参考」では物事をより深く理解するために何かを調べることという共通の意味があるため「参考」は「参照」の言い換え表現として使えます。
ただし「参照」は調べる対象が文献類であり、「参考」のように人の意見は含まれていません。また「参考」は調べた内容を手がかりに自分の意見を決めるという意味も含まれるため、「参照」を「参考」に言い換えられても「参考」を「参照」に言い換えられないことがあります。
- 「先輩の意見を参考にする」
- 「この資料は次の企画作成に参考になりそうだ」
「参照」の使い方や例文とは?
人に参照してほしいときに「ご参照ください」と使う
人に何かを参照してほしいとお願いするときに「ご参照ください」と表現します。十分に丁寧な謙譲表現ですが、目上の人に対してさらに丁寧な表現を使いたい場合には「参照なさってください」や「参照していただきたく存じます」のような言い回しもあります。
これらの表現を使うシーンは、相手の手元にすでに参照してもらいたい資料などがある場合です。
- 「前回の会議の議事録をまとめましたのでご参照ください」
- 「資料①を参照していただきたく存じます」
「ご参照してください」は誤用
「ご参照ください」をより丁寧な表現にしようとして「ご参照してください」という表現が聞かれることがありますが、これは間違った表現です。「ご参照ください」は参照という名詞に接頭語の「ご」をつけて丁寧な表現にしたところに「する」を付けてサ行変格活用の動詞にして敬語として活用された表現です。
「ご参照してください」では「ご参照する」にさらに「する」を活用した「ください」が連結することになり動詞が重複します。そのため「ご参照してください」は誤用になります。
IT用語「参照渡し」は関数に変数と渡すときに使われる
コンピュータのプログラミングで関数に引数として変数を渡す方法のひとつを「参照渡し(さんしょうわたし)」と言います。
変数を渡す方法には「参照渡し」と「値渡し」があります。「参照渡し」では関数に渡す引数を変数のメモリ番地として渡すのに対して、「値渡し」ではそのコピーを渡します。
「参照」を使った例文
「参照」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「詳細は別紙参照のこと」
- 「詳しくは、参考資料をご参照ください」
- 「いくつかの辞書で引いた意味を参照にして、ようやくその言葉の意味がわかった」
- 「昨年度のデータを参照すると、次のようなことが予想されます」
「参照」の類語とは?
類語①「照会」は公な事柄を調べるときには置き換えられる
「照会」の意味は問い合わせて調べることです。その調べられる内容は私的なことではなく公になることが一般的で、問い合わせる対象も個人ではなく該当する情報を持っている機関や組織の場合に用いられる言葉ですので、「参照」が公の事柄を扱っている場合には「照会」に置き換えられます。
- 「〇〇会社の住所を照会する」
- 「身元を役所に照会する」
類語②「引用」は人の言葉や文章をそのまま用いること
「引用(いんよう)」とは、人の言葉や文章をそのまま自分の文章の中に引いて使うことです。引用される言葉や文章は、一語一句変えずに用いることがルールです。本文と引用部分の違いを明らかにするために、引用部分には“”や「」などの記号で括られます。
- 「参照」には引用のように原文をそのまま抜き出すという意味合いはありません。
- 「“普段から彼らのことを友人のようだ”と述べていた」
類語③「検索」は調べて探し出すこと
「検索」とは調べて探し出すことという意味です。「参照」にも調べるという意味合いが含まれていますが、複数の資料を比べるという意味が含まれています。一方「検索」には複数の資料や情報を見比べることはなく、必要とされる情報が見つかればその時点で調べる過程は終わります。
- 「検索サイトを使って言葉の意味を調べる」
- 「索引からキーワードを検索した」
「参照」の英語表現とは?
「参照」は英語で”reference”
「参照」は英語で“reference”と表現します。「reference」には意味という意味や、参考や照合という意味も含まれます。英語には参照や参考などの使い分けはないので、物事をより深く理解するための手がかりとなるもの一切のことを「reference」と表現します。
- “I will use the papers for reference.”
「その資料を参照する」 - “He makes reference to the how-to book.”
「彼はそのハウツウ本を参照した」
まとめ
「参照」とは何かを調べるときに手がかりとなる資料や情報を照らし合わせて参考にすることという意味です。「参考」や「照会」など似た意味の言葉がありますが、「参照」を理解する上のポイントは複数の資料や情報を比較するという点です。類義語の言葉の意味も併せて理解して正しい言葉遣いをするように心がけましょう。