「あぶく銭」の意味と使い方とは?類語や関連することわざも紹介

「あぶく銭」とは「苦労せず手に入れた金銭」のことです。宝くじやパチンコでもうけたもの、給付金や還付金など思いがけず手に入る金銭はさまざまですが、これらをすべて「あぶく銭」と表現しても良いのでしょうか?

今回は「あぶく銭」の意味や使い方、関連することわざや類語について解説。英語表現についても紹介します。

「あぶく銭」の意味とは?

「あぶく銭」は「苦労せず手に入れた金銭」

「あぶく銭」とは、「苦労せずに手に入れた金銭」のこと。「あぶく」とは「あわ(泡)」のことをさし、「あぶく銭」は漢字では「泡銭」と書きます。

特に苦労もしないで手に入れたり正当ではない方法で手に入れたりした金銭は、すぐに使ってしまい泡のようになくなってしまうという意味から、そのような金銭を「あぶく銭」と言います。

「あぶく銭」の使い方と例文

給付金や還付金は「あぶく銭」ではない

以前から契約している保険の給付金や年末調整での税金還付金など、給料以外に思いがけず手に入るので「あぶく銭」と思いがちです。しかし、これらには背景に手に入る理由があるため、実は「あぶく銭」ではなく「臨時収入」のひとつです。

「あぶく銭」は悪いお金とは限らない

「あぶく銭」と聞くと、特に苦労することもなく楽して手に入れたという印象を受けるため、あまり良いイメージを受けません。しかし、正当な方法で手に入れたものではあっても「あぶく銭」と表現することがあります。

人からもらったお金や拾って正当な手続き後に手に入ったお金なども「あぶく銭」と言えます。また、パチンコや競馬などの公営ギャンブルで大きく当たったり、めったに買わない宝くじで高額当せんがでたりなどの場合も「あぶく銭」と言えるでしょう。

パチンコが「あぶく銭」とは限らない

パチンコや競馬など公営ギャンブルで大きくもうけたことを「あぶく銭」と表現する場合もあると紹介しましたが、これはあくまで苦労しないで手に入れた場合です。何度も足を運び、どうやったら当たるのかを研究したり努力したりしてようやく当たったような場合は、「あぶく銭」ではないと言えます。しかし、ギャンブルで得たお金は一般的には「あぶく銭」という印象を受けてしまうことが多いでしょう。

「あぶく銭」を使った例文

  • 「あぶく銭」が入ったので欲しかった洋服を何着も購入した。
  • どうせ「あぶく銭」だからパーッと使ってしまおう。
  • 暇つぶしに行ったパチンコで思いがけず勝って「あぶく銭」が入ったよ。

「あぶく銭」に関連することわざ

ことわざ「悪銭身に付かず」

「悪銭身に付かず」は、「不当な方法で手にした金銭は、ついどうでも良いことに使ってしまって手元に残らないものだ」という意味のことわざ。

「汗水流して働いた労力で正当なお金を得ることは大切である」という教訓としての意味合いで使います。ここで言う悪銭は窃盗やギャンブルなどで手に入れた、いわゆる「あぶく銭」のことです。

「あぶく銭」の類語・類義語は?

「丸もうけ」は「元手なくすべてもうけになること」

「丸もうけ」とは、「元手がかからず収入のすべてが自分のものになること」という意味。「丸」には「まるい」などの他に「全部」や「すべて」という意味があります。商売には最初に商品を仕入れたりする元手が必要ですが、最初の元手がかからなかったり少なかったりして、売り上げのほとんどが自分の収入になる状態を「丸もうけ」と言います。

「あぶく銭」はそもそも元手がかからず何の苦労もなく手に入れたお金のことですが、「丸もうけ」は何かしら売買が発生した場合に使うことの多い言葉です。

例文
  • バッグが高値で売れたけど、もらい物だったから丸もうけです。
  • 知り合いが捨てようとした皿をもらったら高価なものだったので丸もうけした気分だ。

「悪銭」は「不正な方法で手にした金銭」

「悪銭」とは、「悪事など不正な方法で手にした金銭」のこと。窃盗や賭け事など一般的に良くないとされていることで手にした金銭を「悪銭」と言います。また、「品質の良くない紙幣や貨幣」のことも同じく「悪銭」です。

「不正な方法で手に入れた金銭」という意味での「悪銭」は「あぶく銭」と同じだと言えます。しかし、「あぶく銭」には正当な方法で手に入れた金銭でも特に苦労をしていないものも含まれているのが大きな違いです。

例文

悪銭身に付かずと言うし、まじめに働こう。

「棚ぼた」は「幸運が舞い込むこと」

「棚ぼた(たなぼた)」とは、「思いがけず幸運が舞い込んでくること」という意味。「棚からぼたもち」ということわざを略したもので、棚から落ちてきたぼたもちが開いていた口に入る様子から、思いがけなく幸運がやってくることを表現した言葉です。

砂糖が貴重品だった昔は、甘いお菓子であるぼたもちもまた貴重品であったため、思いがけず庶民の口に入ることは大変な幸運だったのでしょう。

「あぶく銭」は苦労せず手に入れた金銭をさしていますが、「棚ぼた」は金銭に限らず幸運全般をさします。

例文

商店街の福引で旅行が当たるなんて棚ぼただね。

「あぶく銭」の英語表現は?

「あぶく銭」は英語で「easy money」

「あぶく銭」は英語表現では「easy money」が適しています。「easy money」とは「簡単に手にいれた金銭」という意味のフレーズです。「不正に得た」という意味は持たないため、厳密には「あぶく銭」とはニュアンスが違いますが、一般的に「あぶく銭」や「悪銭」という意味のフレーズとして使われています。

例文

Easy come easy go
意味:悪銭身に付かず(簡単に手に入れたものは簡単になくなる)

まとめ

「あぶく銭(泡銭)」とは「特に苦労もせず楽して手に入れた金銭」を意味する言葉です。あまり良い印象の言葉ではありませんが、すべてが「悪銭」ではなく正当に手に入れた場合でも「あぶく銭」と言われるものもあります。窃盗や賭け事など一般的に悪銭とされるものはもちろん、人からもらうなど自分では何もしないで手に入れた金銭も「あぶく銭」と表現します。

思いがけず手に入った金銭をラッキーと感じて「あぶく銭」だと思ってしまうと、気軽にあっという間に使ってしまうものです。気が大きくなって持っている「あぶく銭」以上に使ってしまうこともあるため、注意しましょう。