「取り付く島もない」の意味とは?使い方の例文や類語・同義語も

「取り付く島もない」とは「頼れるところがないこと」を意味する慣用句です。言動が荒々しく不親切な相手へ使用される「取り付く島もない」ですが、「取り付く暇もない」は誤用だと知っていますか?

この記事では「取り付く島もない」の語源・由来や例文も解説します。加えて、類語(同義語)や英語表現も解説しましょう。

「取り付く島もない」の意味とは?

「取り付く島もない」の意味は「頼れるところがない」

「取り付く島もない」とは「頼れるところがないこと」を意味する慣用句です。助けてほしくて縋ろうとしても、相手の態度が冷たいせいで全く頼りにならないことを表します。

「取り付く島もない」の語源・由来は「航海」

「取り付く島もない」の語源・由来は「航海」にあります。「取り付く島もない」は航海に出た船が嵐にあう状況でできた言葉です。激しい嵐に見舞われたためどこか上陸できる島を探しますが、一向に見当たりません。

海の上で頼りになるはずの島が全く見つからないことから、「島」を「頼れるものの例え」として使うようになったのです。

「取り付く島もない」の使い方と例文

「取り付く島もない」はつっけんどんな相手へ使う

「取り付く島もない」はつっけんどんな相手へ使われます。「つっけんどんな相手」とは「態度や言葉が荒々しく、不親切な相手」を意味します。助けてほしくてお願いごとをしたり相談をしたりしても、相手の不親切な態度によりきっかけがつかめない状況で使いましょう。

「取り付く島がない」とも表す

「取り付く島もない」は「取り付く島がない」とも表します。「取り付く島もない」と「取り付く島がない」はどちらも辞書に記載された正しい表現で、意味や使い方に差はありません。

例文

・何とかしようと試みたが、下っ端のわたしには取り付く島がなかった。

・彼の表情をみていれば、取り付く島がないことくらい分かった。

「取り付く暇もない」は誤用

「取り付く島もない」を「取り付く暇もない」と表すのは誤用です。「島」と「暇」の音が似ていることから「取り付く暇もない」と誤用されるようになりました。

また、本来は「頼れるところがない」という意味で使われますが、「周りを頼る暇もない」という意味だと誤解が広まり、「取り付く暇がない」という誤用が定着してしまったのです。

「取り付く島もない」の例文

  • 知らないの一点張りで取り付く島もない。
  • 取り付く島もないとはこのことかと思うほど、拒絶された。
  • 取り付く島もなくこれ以上は無駄だと思ったため、引き下がることにした。

「取り付く島もない」の類語(同義語)と例文

「取り付く島もない」の類語①「けんもほろろ」

「取り付く島もない」の類語(同義語)には「けんもほろろ」が当てはまります。「けんもほろろ」とは「人の頼みごとを不愛想に断ること」を意味することわざです。

「取り付く島もない」と「けんもほろろ」は「不親切な態度でとりあわない様子」という意味が共通しているため、言い換えてみましょう。

例文

・同僚に助けをもとめたが、けんもほろろに突っぱねられた。

・今になって、けんもほろろに断ったことを後悔している。

「取り付く島もない」の類語②「にべもない」

「取り付く島もない」と似た意味をもつ言葉(類語)には「にべもない」も当てはまります。「にべもない」とは「愛想がないこと」を意味する言葉です。「にべもなく断る」のように使うことで、取り付く島がないことを表せます。

例文

・そんなことをしている時間はないと、にべもなく断られた。

・にべもない態度を続けたことで、彼もようやく諦めたようだ。

「取り付く島もない」の英語表現とは

「取り付く島もない」は英語で「Be left utterly helpless」

「取り付く島もない」の英語表現には「Be left utterly helpless」が適しています。「Be left utterly helpless」とは「完全に助けをえられない状況で放置されること」を意味するため、「取り付く島もない」状況であることを表せます。

例文

He is left utterly helpless.

意味:彼は取り付く島もないようだ

「島」を含む慣用句・ことわざを紹介

「島」を含む慣用句・ことわざの「鹿島立ち」

「取り付く島もない」以外にも「島」を含む慣用句やことわざがあります。その1つが「旅に出ること」を意味する「鹿島立ち(かしまだち)」です。

「取り付く島もない」では「島」を「頼れるものの例え」として使っていましたが、「鹿島立ち」の「島」は「鹿島神宮」という神社を表しています。

その昔、防人(要地を守備する兵士)や武士が旅立つとき、無事を祈って鹿島神宮に祈願していたことから「旅に出ること」という意味で「鹿島立ち」が使われるようになったのです。「鹿島立ち」以外にも「七尋(ななひろ)の島に八尋(やひろ)の船を隠す」や「三十振袖、四十島田(さんじゅうふりそで、しじゅうしまだ)」などの言葉があります。

・七尋の島に八尋の船を隠す…やっても無駄なことの例え。

・三十振袖、四十島田…女性が若づくりをすること。

まとめ

「取り付く島もない」とは「頼れるところがないこと」を意味する慣用句です。相手の不親切な態度のせいで、頼ることができない状況で使いましょう。類語には「けんもほろろ」や「にべもない」が当てはまるため、「取り付く島もない」以外の表現を使いたい状況で言い換えが可能です。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。