「箸にも棒にもかからない」はごく日常的に使われることわざの一つです。ある事柄に対して話にもならないような状況で用いられ、ビジネスシーンでもよく使われるため、正しい意味を把握しておくことが大切です。ここでは「箸にも棒にもかからない」の意味と語源、使い方と例文、類語を解説させていただきます。
「箸にも棒にもかからない」の意味と語源は?
「箸にも棒にもかからない」の意味は「あまりにひどいこと」
「箸にも棒にもかからない」とは、ものごとの有り様があまりにもひどいことを意味します。あるものごとがあり、状態やあんばいなどがどうにもこうにも手が付けられない、また話のもならないような状況で使われる言葉です。
また、現代では転じて「何のとりえもない」「使いものにならない」という意味で使われることが多く、どう考えても取り扱いができないことを表すことわざとして用いられています。
「箸にも棒にもかからない」の語源は「箸でも棒でも持てない」
「箸にも棒にもかからない」の語源は、このことわざの一字一句が示す通りです。ものごとが、たとえ小さな箸でも大きな棒でも引っかかることがないくらい、どうにも扱えないことを例えたことわざとなります。
そして「どうにもこうにも扱いにくい」「ものごとがひどい様子」また「とりえがない」という意味合いで使われるようになった背景があります。
「箸にも棒にもかからない」の使い方と例文
「箸にも棒にもかからない」は見当違いや無謀である時に使う
「箸にも棒にもかからない」は、日常生活では意外と使う機会の多いことわざの一つでもあります。
例えば、日常生活なら実力を大幅に上回る学校を受験しようと試みたり、誰が見ても高嶺の花である人にごく一般の人が交際を申し込んだりするような時に「見当違いである」「無謀である」といったニュアンスを込めて使うことがあります。
もちろん、「箸にも棒にもかからない」と言われても、何らかのチャンスで成功を勝ち取ることもあるかもしれません。しかし、一般的に見て見当はずれのように映る場合は、「箸にも棒にもかからない」という表現を使って無謀であることを表すことがあります。
ビジネスでは企画書やレジュメに対して使う
「箸にも棒にもかからない」はごく一般的な日常生活に限らず、ビジネス環境でも使われることがあります。
例えば、デザインやイベントの企画書などでは、期待と大幅に外れたり、希望内容に対して見当はずれであることもあるでしょう。この時に「箸にも棒にもかからない」という表現を使って、あまりにも酷い内容であることを表すこともできます。
また、就職試験では送られてきたレジュメに対し、能力や経験などが求めるレベルに達していないこともあるでしょう。そのような際に、レジュメに対し「箸にも棒にもかからない」と表現することもあります。
「箸にも棒にもかからない」は使う相手に気を付ける
「箸にも棒にもかからない」とは、「ひどい様子」や「とりえがない」ことを包括的に表すことわざです。そのため、面と向かって使う時には、相手が心地よく感じ受けない場合もあるでしょう。
もちろん、日常的な会話の中で冗談交じりに使う場合は良いですが、初対面の人やシリアスな場面で使う場合は、相手の気持ちや自分の立場をよく考慮してから使うようにした方が懸命です。
「箸にも棒にもかからない」を使った例文
- この企画書は箸にも棒にもかからないほどひどい。
- 今の学力では、志望校は箸にも棒にもかからないと言われた。
- 経験がないと箸にも棒にもかからないと言われ、下積み生活を10年続けた。
- 箸にも棒にもかからないと言われたが、アイドル並みの美女に交際を申し込んだ。
「箸にも棒にもかからない」の類語表現とは?
「箸にも棒にもかからない」の類語は「見込みがない」
「箸にも棒にもかからない」の類語表現として適切なのは「見込みがない」です。
状態がひどく、どうにもこうにも取り扱うことができずことを意味する表現です。「見込みがない」は可能性が極めて低いことを示し、どうしようも無い状態やほぼお手上げ状態で使われることが多く、「箸にも棒にもかからない」に代わるストレートな表現として使われています。
- 相撲部屋に入所したいが、慎重が極めて低いため見込みはない。
- 合格の見込みがないと言われたが、記念受験として志望校を受けることにした。
ことわざでの類語は「煮ても焼いても食えない」
ことわざで「箸にも棒にもかからない」と言い換えのできるのは「煮ても焼いても食えない」です。
食材の状態がひどく、煮たり焼いたりといったあらゆる調理方法を用いてもどうしようもないことを例えたことわざで、比喩的にものごとの質や人の能力対して「使いものにならない」「どうしようもない」というニュアンスで使われます。
- 新人が提出した企画案は煮ても焼いても食えない。
- 3歳の娘が作った泥団子。気持ちは嬉しいが、やはり煮ても焼いても食えない。
まとめ
「箸にも棒にもかからない」は、二つの小さな箸にも、大きな棒ですらもひっかることがないほど、ものごとがひどい様子を表し、人に対しては「とりえがない」という意味で使われることわざです。普段から無意識のうちに使っている「端にも棒にもかからない」でも、語源を知ると「なるほど」と納得する人も多いと思いのではないでしょうか?
ビジネスシーンでも企画や仕事の出来具合に対して「箸にも棒にもかからない」という表現を使うことがあります。厳しい評価ではありますが、前向きに受け取ることも大切なのかもしれません。