「有料職業紹介事業」とは?手数料と費用・資本金と外国人雇用も

転職ブームの昨今、「有料職業紹介事業」という言葉をメディアで頻繁に見聞きします。人材派遣と似たようなシステムがありますが、手数料や費用、設立時の資本金や外国人への対応などはどうなっているのでしょうか?ここでは「有料職業紹介事業」について、概要やシステムをわかりやすくご紹介します。

「有料職業紹介事業」とは?

「有料職業紹介事業」は有料の就職マッチングサービス

「有料職業紹介事業」とは、そもそも仕事を探している人と求人の募集をかけている企業を結ぶ「有料の就職マッチングサービス」のことをいいます。求職者の希望職種や所有する能力、経験などのデータをもとに、求人募集企業が求める適切な人材を探し、紹介する事業のことを「有料職業紹介事業」と呼んでいます。

一般的には「人材紹介会社」のことを指す

「有料職業紹介事業」とは、いわば「人材紹介会社」のことです。企業の風潮や方針で呼び方は異なりますが、「有料職業紹介事業」と同様に、求職者と企業とが希望データやインタビューなどを経て双方で合意し、「人材紹介会社」に手数料や費用を支払うというシステムになっています。

「有料職業紹介事業」で手数料・費用が発生するのは成功時

「有料職業紹介事業」を介して仕事を見つけたい時に、よくわからないのが「どの時点で費用が発生するのか」という点です。実際、手数料や費用が発生するのは、双方が合意して「仕事に就いた時点」、つまり正式に就職が決まり、給料の支払い義務が発生した時となります。

それでは、その手数料や費用は一体どうなっているのでしょうか?

「有料職業紹介事業」の手数料・費用はどうなってる?

手数料・費用の相場は「2つの手数料制」によって異なる

まず「有料職業紹介事業」としての仕組みの一つで理解しておきたいのが、「届出制手数料」と「上限手数料」という項目です。この二つが手数料・費用に関係してくる部分です。

「届出制手数料」の相場は10%から30%程度

1つ目の「届出制手数料」とは「有料職業紹介事業側から厚生労働大臣に届け出を出した金額が手数料として支払われるもの」です。一般的には「求職者の給料の10%から30%程度が相場」と言われていますが、逆に給料の50%を超えるような手数料を求めると、届け出は無効になってしまうため、双方が納得できる柔軟な金額を算出する必要があります。

「上限手数料」は10.5%が上限

2つ目の「上限手数料」とは「求職者が受け取る給料の10.5%相当額を上限とし、企業から有料職業紹介事業側に手数料として支払われる」ものです。「届出制手数料」は厚生労働省によって定められた規制に沿って決定されます。

「有料職業紹介事業」はどれくらいの資本金が必要?

「有料職業紹介事業」で必要な資本金は500万円

「有料職業紹介事業」を設立するにあたり、資本金での条件はあるのでしょうか?

まず「有料職業紹介事業」を始めるには、「有料職業紹介許認可」つまり「免許」を取得しなければなりません。その際に必要な金額は「500万円」です。

もう少し細かく説明すると、事業所の数が一つの場合は、事業所の資産総額から負債額を差し引いた額が最低でも「500万円」以上でなければなりません。この条件に加え、事業所が所有する「預貯金(または現預金)」が150万円以上であることが必要です。この時、預貯金の名義が事業を始めようとする者の自己名義であることを確認してください。

新規事業として始める場合は「負債額」を確認すべし

また「有料職業紹介事業」を設立する場合、すでに会社を所有していることもあるでしょう。たとえば、コンサルタント会社を営んでいる人が、第2のビジネスとして「有料職業紹介事業」を始める、というようなケースです。

このような場合に気を付けたいのが「金融機関への借入金額」です。もちろん「有料職業紹介事業」の設立で必要な資金を、金融機関に借入をするのは問題ありません。しかし、借入はあくまで「負債」となりますので、この時、負債額が保有資産を下回ることにならないように気を付けるようにして下さい。

「有料職業紹介事業者」の外国人の雇用は?

海外にいる外国人の採用は「現地の取次ぎ機関を利用」

日本の「有料職業紹介事業者」が海外にいる外国人を採用する時は、現地の取次ぎ機関を利用することになります。

「有料職業紹介事業者」は現地の取次ぎ機関と契約を結ぶ必要がありますが、その際に確認しなければならないのが、現地での活動が認められる書類、許可証などです。英語の場合は日本での正式な認可書類となるよう、日本語の訳を付けて提出してもらうようにして下さい。

取次ぎやインタビューなどが終了し、無事雇用契約を結んだ後は、適切な在留資格を取得して日本に呼び寄せとなります。

海外に住む外国人で、大学卒業の資格を持つ人は「技術・人文知識・国際事務(略して技術国という)」、また高校卒業の資格を持つ人は、「特定技能」と呼ば資格を取得します。

「海外から優秀な人材を呼び寄せたい」企業は急増

日本での雇用問題は年々深刻化しています。「適切な人材不足」「少子高齢化による若手の企業離れ」「多種多様化するライフスタイルの変化」などが原因となりますが、解決策として「海外から人材を招く」ことが挙げられます。

言葉や習慣の壁はありますが、求職者にとっては「有料職業紹介事業」を通してリクルート活動をすれば、ビザの申請や住居・保険などの手続きがスムーズな場合が非常に多いです。双方にメリットがある「外国人雇用」は、今や当たり前のリクルートプロセスにもなっているのです。

中でも、エンジニアやナースなどを始め、日本で最も不足しているエリアでは「アジア地域を中心に海外から優秀な人材を呼び寄せたい」と願う企業は急増していると言われています。

また、すでに日本に住んでいる外国人の場合は、日本在住の正式なビザを確認することが大前提です。

「人材派遣会社」や「ハローワーク」とはどう違う?

「人材派遣会社」と異なるのは「給料の出どころ」

「有料職業紹介事業」と「人材派遣会社」の大きな違いは「給料の出どころ」となります。つまり、給料が支払われる場所が異なるということです。

「人材派遣会社」を通して仕事をしている場合は、給料の支払いは「人材派遣会社」から、また「有料職業紹介事業者」を介して仕事を得た場合は、勤める企業から直接支払われます。

「ハローワーク・学校の就職斡旋センター」は「手数料・費用なし」

最初の項でも説明しましたが、「有料職業紹介事業」の第一の特徴は「有料」という点です。地元のハローワークや学校が運営する就職相談や就職あっせんセンターなどはどうなのでしょうか?

求職者と求人企業を結ぶ機能を果たしていますが、「有料職業紹介事業」と明らかに異なるのは「手数料や費用が発生しない」という点です。

仕事を獲得するまでのプロセスを簡単に説明すると、ハローワークや学校の就職斡旋センターから求人内容を提供し求職者を集めます。求職者は希望の仕事が見つかったらハローワークや学校の就職あっせんセンターの担当者にその旨を伝えます。担当者は電話やメール等で求職者のデータや履歴書などを送付します。後日面接日の連絡があり、合格すれば採用となります。

もちろん、これらの行程をすべて行っても、企業からハローワークや学校の就職斡旋センターへの手数料や費用は発生しません。

まとめ

「有料職業紹介事業」には「届出制手数料」と「上限手数料」の二つの設定があり、それぞれ企業から受け取るパーセンテージが異なります。

「有料職業紹介事業」には、ハイランク求人や通常メディアで掲載されない特別枠の求人も数多く存在します。求職者のメリットは有料求人が狙えること、また企業側のメリットはピンポイントで求める人材と出会えること、そして何といっても、有料職業紹介事業者と築き上げる「信頼関係」の上に成り立っていることです。

「求職者」「企業」そして「有料職業紹介事業」の3つの主役が、全てWinWinの関係になれるのは、どの立場から見ても魅力なのかもしれません。