くだらない喧嘩と意味で広く使われる「痴話喧嘩」の言葉。主に恋人同士の言い争いや揉め事を表す時にも使われる四字熟語です。もちろん、警察への通報など必要がない程度の喧嘩を意味しますが「痴話」にはどのような意味があるのでしょうか?
ここでは「痴話喧嘩」の意味と使い方の例文の他、類語や仲直りのコツをご紹介します。
「痴話喧嘩」の意味とは?
「痴話喧嘩」の意味は「仲のいいカップルがする些細な喧嘩」
「痴話喧嘩」とは、仲の良い夫婦や恋人同士などがする些細な喧嘩を意味します。主に色恋の関係の間柄で使われる言葉で、言い合いや口喧嘩ではありながらも「ちょっとした喧嘩」というニュアンスを持つ言葉です。
そもそも「痴話」の「痴」には「おろか」という意味がありますが、広義では「些細な」「たわいもない」という意味も持ち合わせます。そして「痴話」になると「愛し合う人達がたわむれながらする話し」となります。
つまり、「痴話喧嘩」は仲の良いカップルがするちょっとした喧嘩で、重々しく責任問題に発展するような喧嘩ではないということです。
「痴話喧嘩」は通常「警察への通報が必要ない程度のもの」
「痴話喧嘩」を喧嘩のレベルでたとえるなら、一般的には警察への通報が必要ない程度です。そのため「ただの痴話喧嘩」という表現からは「大事ではない喧嘩」であることがわかります。
「痴話喧嘩」は、愛し合うもの同士が言い争いをしているだけだから、「最終的には何とか収まる」といった認識が見え隠れしています。そのため、周囲から見てどれだけ激しい口喧嘩でも「痴話喧嘩」と解釈することがほとんどのようです。
「痴話喧嘩」を使い方と例文
「痴話喧嘩」は仲直りすることを前提として使われる
「痴話喧嘩」とは「仲直りをすることが前提」で放たれる表現でもあります。つまり「仲がいいほど喧嘩をする」というように「いずれは中を取り戻し元通りになる」という概念を持って使われます。
「痴話喧嘩」は重大な事象が原因の場合には使わない
「痴話喧嘩」は夫婦や恋人同士など、主に男女間の色恋に関する言い争いを意味する表現で、その他、重大な事象が原因となる喧嘩を指す言葉ではありません。例外として「痴話喧嘩が発展して」となれば、話は別ですが「事件性のある喧嘩」に対しては使うのは不適切です。
「痴話喧嘩」は仲の良い夫婦や愛し合う恋人同士が「たわむれてする話」が原因で、ちょっとばかり喧嘩になる、いずれ収まる些細な喧嘩、といったニュアンスで使うのが適切となります。
「痴話喧嘩」を呆れた様子を皮肉って使う
「痴話喧嘩」は「まるで痴話喧嘩のよう」と言うように、周囲が見て呆れた状況を表す時に比喩的に使われることがあります。
たとえば、国会での答弁や会議でのディスカッションは真剣そのものです。しかし、真剣さゆえに、両者の意見がぶつかりあり、最終的には言い合いや揉め事に発展することはよくあります。
このような状況を含め、似たようなシチューエーションを皮肉って「まるで痴話喧嘩のようだ」と言い表すことがあります。やや小馬鹿にしたようなニュアンスを含む使い方となりますが、ビジネスシーンでも状況を揶揄する意図で用いることがあります。
「痴話喧嘩」を使ったビジネス・日常会話での例文
- 真面目な企画会議だというのに、結果的に痴話喧嘩のようになってしまった。
- 災害で非難をしなければならない状況で、痴話喧嘩をしている暇ではない。
- つまらぬ痴話喧嘩だから、警察に通報する必要はないよ。
- 痴話喧嘩も、ことが過ぎれば笑い話である。
「痴話喧嘩」の類語は?
類語「犬も食わない」は「程度が低いものごと」
「犬も食わない」とは、誰も望まない程度が低いものごとを表す言葉です。好き嫌いや好みに偏らず何でも食べる犬ですら手を伸ばさない、という意味があります。
「痴話喧嘩」と言い換える時は「犬も食わない話」とするのが適切です。しかし「犬も食わない」はもともと男女や色恋の関係に限らず、一般的に取るに足りないものごとに対しても用いることができるため、「痴話喧嘩」よりも広義で使われています。
- 夫婦喧嘩は犬も食わない。
- 犬も食わぬ企画案だと、上司にからかわれた。
「痴話喧嘩」仲直りのコツは?
「痴話喧嘩」だけに仲直りするのは案外カンタン
仲の良いカップルが乗り越えなければならないのが「痴話喧嘩」です。しかし、意外にも仲直りするのはカンタンで、いくつかのコツをおさえておけば怖くありません。以下に箇条書きで挙げてみます。
- 早めに謝る(相手を立てる)
- 自分の気持ちに素直になる(本当は愛している)
- 過去の楽しい思い出を振り返る(優しい気持ちに戻ろうとする)
- 目をつぶって深呼吸をする(冷静さを取り戻す)
- とりあえず寝る(喧嘩を中断する)
- 携帯のラインで普段通りに話しかける(相手に時間をあたえる)
ぜひ、上記のコツを心得て、二人の仲を一日でも早く修復させましょう。
「痴話喧嘩」のルール「後から話を持ち出さない」
もう一つ「痴話喧嘩」で大切なのは、「話を後から持ち出さない」ことです。前述した仲直りのコツを実践しても、傷口をひっかくようなことをしてしまっては元も子もありません。
「痴話喧嘩」は色恋や恋愛の間柄で感情が高まって、言い合いになることがほとんどです。「あの時〇〇って言ったじゃない」「あの時本当は〇〇だった」と、後から話をほじくりかえさないように努力しましょう。
「痴話喧嘩」を英語で表現すると?
「痴話喧嘩」は「a tiff」「a spat」などが適切
イギリスでは「a tiff」、またアメリカでは「a spat」などをよく使います。これらは一般的に「たわいもない喧嘩」という意味で使われますが、「痴話喧嘩」のようい恋愛を介しての意味合いを強調する時は「lover’s tiff」や「lover’s spat」とすると、より内容がクリアになります。
「痴話喧嘩」を使った英語例文
- I was not in the mood because we had an tiff in this morning.
何だか気分が乗らないんだ。今朝、痴話喧嘩をしたばかりでね。 - It sounded like lover’s spat when Boss and Tom were having discussion.
ボスとトムの話し合い、まるで痴話喧嘩みたいだったよ。
まとめ
「痴話喧嘩」とは仲の良いカップルがする些細な喧嘩のことで、「たわいもない喧嘩」「じきに収まる喧嘩」というようなニュアンスで使われます。
ビジネスシーンでも上司と部下が言い合いになったり、会議の場で口喧嘩になった時に、状況を揶揄する意図で「痴話喧嘩のよう」「まるで痴話喧嘩」というように比喩的に用いることがあります。
もちろん、痴話喧嘩で警察に通報することになるケースは少ないですが、くれぐれも行き過ぎた行動に走らないように気を付けたいものです。