「講じる」とは3つの意味をもつ言葉で、主に「考えて行う」という意味で使われます。似た表現の「講ずる」は「講じる」と意味は同じ。口語か文語かで使い分けることがあります。
この記事では「講じる」の3つの意味や古語としての意味、使い方の例文、類語への言い換えを解説します。くわえて「講じる」の英語表現も解説しましょう。
「講じる」の意味とは?
「講じる」の意味は3つある
「講じる(こうじる)」とは3つの意味をもつ言葉です。1つ目が「書物や学問について説き聞かせること」を、2つ目が「問題を解決するために考え、その手段を行うこと」を、3つ目が「和解すること」をそれぞれ意味します。
3つ目の「和解すること」という意味で使う場合、「講じる」ではなく「媾じる」と表すこともあります。
古語では「作品をよむ」を意味する
「講じる」を古語として使う場合、「講義する」という意味の他に「詩や歌を披露する会で、詩歌をよむこと」という意味もあります。古語では「講ずる」と書いて「かうずる」と読み、「問題を解決するために考え、行うこと」や「和解すること」という意味では使われません。
講ずる(かうずる)
- 書物や学問について説き聞かせること。講義すること。
- 詩や歌を披露する会で詩歌をよむこと。
「講じる」と「講ずる」の違いとは?
「講じる」と「講ずる」の意味は同じ
「講じる」と「講ずる」の意味に違いはありません。辞書で「講じる」を調べると「講ずるに同じ」と記載されているため、「施策を講じる」でも「施策を講ずる」でも「行政機関が策を考えて実施すること」という意味で使用されます。
口語では「講じる」を、文語では「講ずる」を使う
「講じる」と「講ずる」の意味に違いはありませんが、場合によっては使い分けられます。日常生活やビジネスシーンでの会話には「講じる」が、会話ではなく文章で表すときには「講ずる」が使用される傾向にあります。
文語には必ず「講ずる」を使用するという決まりはありませんが、「講じる」と「講ずる」では「講ずる」の方が堅苦しい印象を与えるため、「講ずる」が使用されるのです。
「講じる」の使い方と例文
主に「考えて行う」という意味で使う
「講じる」には3つの意味があることを説明しましたが、主に「問題を解決するために考え、行う」という意味で使われます。問題解決にむけて単に「計画」するのではなく、計画を「実行」することを表します。
「施策を講じる」や「手立てを講じる」のように使いましょう。
「措置を講じる」「手段を講じる」のように表す
「講じる」の使い方には「措置を講じる」や「手段を講じる」があります。「措置を講じる」は「解決するための必要な手段をとること」を、「手段を講じる」は「目的を達成するための方法をとること」をそれぞれ意味します。
どちらも問題解決にむけて考えた手段を、実行する状況で使用しましょう。
・安全のためには必要な措置を講じる必要がある。
・最終手段を講じるしかないと判断したのだ。
「策を講じる」は「策を考える」こと
「講じる」の使い方の1つが「策を講じる」です。「策を講じる」とは「物事がうまくいくように考えること」を意味する言葉です。「措置を講じる」や「手段を講じる」では「考えて実行する」という意味で「講じる」が使われていましたが、「策を講じる」では「考える」という意味でのみ使用されるため、注意しましょう。
・前例のない、思い切った策を講じたらしい。
・こうなることを予測して、策を講じていたのだ。
「講じる」を使った例文
- どんな手段を講じてでも、感染を止めなくてはならない。
- 有効な手立てを講じることができなかった。
- なんの策も講じなかった、政府のせいである。
「講じる」の類語・言い換え方
「講じる」の類語は「実行」
「講じる」と似た意味をもつ言葉(類語)には「実行」や「実践」が当てはまります。「実行」は「考えたり計画したりしたことを、実際に行うこと」を、「実践」は「正しいと考えていることや理想としていることを、実際に自分で行うこと」をそれぞれ意味します。
「講じる」と「実行」「実践」は「実際に行う」という意味が共通しているため、「講じる」が「考えて、実際に行動にうつすこと」を意味する場合は言い換えてみましょう。
「レクチャー」への言い換えも可能
「講じる」を「講義すること」という意味で使う場合、「レクチャー」へ言い換えることができます。「レクチャー」とは「講義」や「講演」を意味する言葉で、学問や技芸などを教える状況で使われます。
「講じる」の英語表現とは?
「講じる」は英語で「Take」
「講じる」の英語表現には「Take」が適しています。「Take」には複数の意味があり、その1つに「講じる」があります。「Take measures(策を講じる)」のように「Take」のあとに単語を加えて使いましょう。
We have to take measures.
意味:対策を講じる必要がある。
まとめ
「講じる」とは3つの意味をもつ言葉で、主に「問題を解決するために考え、その手段を行うこと」という意味で使われます。「策を講じる」や「措置を講じる」のように使われ、類語には「実行」や「レクチャー」が当てはまります。
「講じる」と同じ意味をもつ「講ずる」ですが、どちらを使うのかによって相手に与える印象が異なるため、文語と口語で使い分けましょう。
講じる(こうじる)