「佳い」の読み方は「よい」です。日常的にはあまり使われない表現ですが、年賀状や小説で見ることがあります。誤字だと勘違いしてしまうと、恥ずかしい思いや、失礼な返事をしてしまう可能性があります。今のうちに意味や使い方を確認しましょう。また、「善い」「好い」のような類語との違いもご説明します。
「佳い」の意味と読み方
「佳い(よい)」の意味とは「形が整い美しい」
「佳い(よい)」の意味は「すっきりと形が整い、美しいこと」です。人にも物にも使えるポジティブな言葉です。
辞書や辞典によっては「佳い」は「良い」とまとめて説明されています。「良い」は「他より優れていて望ましい」という意味です。形の美しさも「優れている」と言えますので、「佳い」で言えることは「良い」と言っても間違いにはなりません。
「佳い」は「嘉い」の代用字として「めでたい」という意味もある
「佳い」は「嘉い(よい)」の代用字のため、「めでたい」という意味も持っています。
代用字とは、常用漢字表にない字の代わりに使う漢字のことです。日常的に使う漢字がまとめられたものを常用漢字表と言います。「嘉」は日常的に使う漢字ではないとされたので、代わりに「か」という音読みが同じ漢字の「佳」を使います。
ただし、常用漢字としての「佳」は「よ」という読み方をしません。このように「常用漢字表にある漢字だが、読み方は表にない」ものが「表外読み」です。新聞や公的な文章では表外読みは使わないのが原則です。
「佳い」の使い方と例文
「佳い女」「佳い男」は均整の取れた美しい人
「佳い女(よいおんな)」「佳い男(よいおとこ)」は心身ともに整った美しい人に使われる褒め言葉です。美しさだけでなく、上品であるという意味合いが含まれることもあります。
「佳」を使った類語に「佳人(かじん)」があります。意味は「上品で美しい女性」です。漢字だけ見ると性別を問わず使えるように感じる人もいるかもしれませんが、女性だけに向ける褒め言葉ですので注意しましょう。
- あの着物を着こなせるような佳い女になりたい。
- 母に薦められたお見合い相手は、切れ長の目が印象的な佳い男だった。
「佳い年」「佳いお年」は年末年始の挨拶に使う
「佳い」を「めでたい」という意味で使う表現が「佳い年」や「佳いお年」です。年末年始の挨拶で見る機会があるでしょう。
- 年始に使う挨拶
今年も佳い年になりますように。
新しい年がより佳き年でありますよう、お祈り申し上げます。 - 年末に使う挨拶
佳いお年を!
佳いお年をお迎えください。
どれも「良い」と書いても同じ意味合いで使えます。しかし「佳い」を使うことで、新年のめでたさを祝う気持ちを、より強く表現できます。
日常的なやり取りなら「良い」か「よい」の方が無難
美しさやめでたさを表現できる「佳い」ですが、日常的なやり取りに使うのは避けた方がよいでしょう。先ほどお伝えしましたように「佳い」は表外読みのため学校で習いません。そのため、文章を読む相手が「佳い」を知らず、誤字だと誤解されてしまう可能性があります。
「良い」や「よい」に言い換えるのが簡単です。また、伝えたい意味を持つ言葉に言い換えるという方法もあります。
- 満天の星を堪能できる佳い夜だ。
→満天の星を堪能できる良い夜(or 美しい夜)だ。 - 占い結果によると、今日はとても佳い一日になるようだ。
→占い結果によると、今日はとても良い一日(or めでたい一日)になるようだ。
「佳い」と「良い」「善い」「好い」の違い
「佳い」と他の「よい」の違いは「形が整っている」という意味
「佳い」だけでなく、「善い」「好い」も「良い」に含まれています。共通する意味は「他より優れていて望ましい」ですが、「良い」以外には意味に差があります。
- 【佳い】 形が整っている。見た目が美しい。( 嘉の代用で「めでたい」)
- 【善い】 物事が正しい。道徳的である。
- 【好い】 感じが良くて好ましい。親しい。都合がよい。
紛らわしく感じる場合は、漢字の意味から連想すると覚えやすいかもしれません。
「良い」には全ての意味が含まれている
「よい」と読む漢字が多く、どれを使うか悩んでしまったときは「良い」を使いましょう。「他より優れていて望ましい」という意味の「良い」は、全ての「よい」の表記に使うことが可能です。また、多くの人に意味が通じる分かりやすい文章になる効果も期待できます。
今までお伝えした「よい」以外にも「良い」で表現できる言葉があります。代表的なものをご紹介します。
- 【吉い】 縁起がよい。めでたい。
- 【嘉い】 めでたい。(「佳」で代用するのが一般的)
- 【淑い】 物静かで上品。おしとやか。
まとめ
「佳い」は「形が整って美しい」という意味です。また「嘉」の代用字として「めでたい」という意味でも使います。
「佳い」は誉め言葉やおめでたい挨拶といった「相手の好意」に満ちた表現です。意味をしっかり理解して言葉を受け取り、お礼や返事ができるようにしましょう。