「秋霜烈日」は、刑罰などの厳しさのたとえとして使われる四字熟語です。検察官バッジの呼称としても知られています。しばしば社会面の記事やスピーチなどで用いられることがあり、その由来や使い方が気になるという人もいるでしょう。
この記事では、「秋霜烈日」の意味や由来、使い方と例文を紹介します。あわせて類語・対義語と英語表現についても解説します。
「秋霜烈日」の意味とは?
「秋霜烈日」の意味は「刑罰などが厳しいことの形容」
「秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)」とは、刑罰や権威、威力などが厳しく、ごまかしなどを許さず、また、おごそかであることを気候にたとえて形容する四字熟語です。
「秋霜」とは「秋の霜(しも)」のことで、「烈日」とは「強い日差し」の意です。秋の冷たい霜と、夏の厳しい日差しを対比させることで、気候の厳しさを表現しているのが「秋霜烈日」です。
転じて、刑罰や統制などが厳しいことを表す語として比喩的に用いられます。たとえば刑罰の厳しい裁定を「秋霜烈日の裁定」と表現します。
「秋霜烈日」は「検察官バッジ」のデザインの呼称でもある
「秋霜烈日」は、刑罰などの厳かさを表す意から、「検察官記章」のデザインに対する呼称としても用いられています。検察官記章とは、日本の検察官がつけるバッジのことです。バッジそのものを「秋霜烈日」と呼ぶこともあります。
そのデザインとは、中央の太陽の周りに菊の白い花弁と金色の葉があしらわれたもので、烈日と霜を見立てているとされます。
「秋霜烈日」の語源・由来とは?
「秋霜」と「烈日」の二字熟語が語源
「秋霜烈日」は、「秋霜」と「烈日」の二つの熟語を合わせた四字熟語です。そのため、「秋霜烈日」の語源・由来は「秋霜」と「烈日」であるといえます。
「秋霜」とは「秋の霜」という意味ですが、秋の霜が草木を枯らす厳しいものであることから、この語自体にもともと刑罰や権威の厳しさをたとえる意味があります。「烈日」とは、強く照りつける太陽を意味し、激しい勢いをたとえる語としても使われる語です。
以上のような、対比的な語である「秋霜」と「烈日」を合わせることで、より一層、物事の厳しさを表現する四字熟語が成立したものです。
「秋霜烈日」の使い方と例文
「秋霜烈日」は権力や刑罰などが厳しいことをたとえて使う
「秋霜烈日」は、権力や刑罰などがひどく厳しいことのたとえとして用いられます。
- 裁判官は、秋霜烈日な厳しい判決を述べた
- 検察の追求は秋霜烈日なもので、逃れることは不可能だと思えた
「秋霜烈日」は厳しく確固とした意思のたとえとしても使う
「秋霜烈日」は、厳しい刑罰などのほかにも、厳しく確固とした意志を示す言葉としても用いられます。
- 戦国時代の武将は秋霜烈日の厳しさを持っていた
- 秋霜烈日な検事の姿勢から司法に対する国民の信頼が生まれるといえる
「秋霜烈日」の類語と対義語は?
「秋霜烈日」の類語「志操堅固(しそうけんご)」
「秋霜烈日」の類語には「志操堅固(しそうけんご)」があります。志や主義、考えなどを固く守って変えないさまを表します。
「志操」とは、考えや主義などを守って変えないことを意味し、「堅固」とは、固くしっかりしていることという意味です。
「志操堅固」の堅固さには、「秋霜烈日」が表す意思の厳しさとの共通点があります。たとえば「秋霜烈日な検事の姿勢」は「志操堅固な検事の姿勢」と言い換えることができます。
対義語は「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」
「秋霜烈日」の対義語には「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」があります。「春風」とは春の風という意味で、「駘蕩」とは春ののどかな様子、のびのびしたさまの意です。
気候の厳しさを表す「秋霜烈日」の反対に、おだやかな気候を表す「春風駘蕩」があります。「秋霜烈日」は刑罰などの厳しさのたとえに用いられるのに対し、「春風駘蕩」は温和で穏やかな人柄のたとえとして用いられます。
「秋霜烈日」を英語で表現すると?
「秋霜烈日」は英語で「severity」
「秋霜烈日」の英語表現は「厳しさ、厳格さ、厳密さ」という意味の名詞に置き換えることができます。代表的なものに「severity」があり、他には「rigorousness」「sternness」などとも表現されます。
「秋霜烈日の如き」という意味では、形容詞である「severe」「rigorous」「stern」などが用いられ、「厳しい、厳格な、厳密な」という意味になります。
「検事は秋霜烈日の如き論告を行った」は「The prosecutor made a rigorous argument.」と表現します。
まとめ
「秋霜烈日」とは、植物を枯らす秋の霜の厳しさと、真夏の太陽が照りつける厳しさとを対比させて、気候の厳しさを表現する四字熟語です。転じて、刑罰や権威の厳しさをたとえる語として用いられています。
そのことから、日本の検察官がつけるバッジのデザインに「秋霜烈日」の意匠が取り入れられ、そのデザインやバッジそのものの呼称としても用いられています。