「口は災いの元」とは「迂闊な発言が災難を招くこと」を意味することわざです。似た表現の「口は禍の門」を誤用だと勘違いしている人もいるでしょう。この記事では「口は災いの元」の意味や使い方の例文、似た意味をもつ四字熟語を解説します。くわえて「口は災いの元」の類語・対義語や英語表現も解説しましょう。
ことわざ「口は災いの元」の意味とは?
「口は災いの元」の意味は「災難を招くこと」
「口は災いの元(くちはわざわいのもと)」とは「迂闊な発言は災難を招くことがある」を意味することわざです。つい口にしてしまった言葉により、思いもよらない結果を招いてしまうことを表します。
「口は禍の門」も間違いではない
「口は災いの元」と似た表現に「口は禍の門(くちはわざわいのかど)」がありますが、どちらも間違いではありません。他にも「口は禍の元」とも表し、いずれも「迂闊な発言は災難を招くことがある」という意味で使われます。
また、「口は禍の門」は「くちはわざわいのもん」と読まれることがあるため、覚えておきましょう。
「口は災いの元」の使い方と例文
「口は災いの元」は仕事や日常シーンで使える
「口は災いの元」は仕事や日常生活で使用できます。「不用意な発言は控えよう」という戒めとして使用されるため、発言により失敗したシーンや、失敗しないよう気をつけるシーンで使用しましょう。
「口は災いの元」を座右の銘とする人も
「迂闊な発言は災難を招くことがある」を意味する「口は災いの元」を、座右の銘とする人もいます。不用意な発言がきっかけで対人関係が悪くなったり、相手に叱られてしまったりする経験があるため、後悔しないためにも座右の銘に定めているのです。
「口は災いの元」を使った例文
- 口は災いの元であると、今回の件で学んだ。
- 不用意な口出しはやめておいた方がいいよ、口は災いの元と言うだろう。
- 口は災いの元だと分かっているのに、ついつい口をだしてしまう。
- 誰が聞き耳を立てているか分からないだろう?口は災いの元だよ。
「口は災いの元」の類語・対義語
「口は災いの元」の類語は「舌は禍の根」
「口は災いの元」と似た意味をもつ言葉(類語)には「舌は禍の根(したはわざわいのね)」が当てはまります。「舌は禍の根」とは「言葉は災いをまねく元であること」を意味することわざです。不用意な発言をつつしむべきだという戒めとして使用しましょう。
・舌は禍の根とも言うのだから、いたるところに口を挟むのはやめておこう。
・失言で大失敗したわたしは、舌は禍の根という言葉を忘れないだろう。
似た意味の四字熟語「駟不及舌」
「口は災いの元」と似た意味をもつ四字熟語には、「駟不及舌(しふきゅうぜつ)」が当てはまります。「駟不及舌」とは「口は慎むべき」を意味する四字熟語です。「駟」が「4頭の馬にひかせた馬車」を意味しており、1度口からでた言葉は「駟」で追いかけても追いつけないことから「口を慎むべき」という意味で使われています。
「口は災いの元」の対義語は「言い勝ち功名」
「口は災いの元」と反対の意味をもつ言葉(対義語)には「言い勝ち功名(いいがちこうみょう)」が当てはまります。「言い勝ち功名」とは「たくさん言葉にしたほうが勝つこと」を意味することわざです。
「口は災いの元」とは反対に、言葉を発することで有利な状況へもっていくことを表します。
・言い勝ち功名と言うほどだから、とりあえず口にしてみよう。
・言い勝ち功名で支持を得ただけで、政策自体が優れているとは言い難い。
ことわざ「口は災いの元」と仏教の関係
仏教では戒めの1つとされる
仏教では守らなければならない規則があり、それを反した10種の罪を「十悪(じゅうあく)」と呼びます。「十悪」のなかには言葉を発することによる罪が4つあります。
妄語(もうご)…嘘偽りをいうこと。
綺語(きご)…真実に反して飾ったことをいうこと。
悪口(あっく)…悪口をいうこと。
両舌(りょうぜつ)…矛盾したことをいうこと。
「口は災いの元」という言葉そのものは仏教用語ではありません。しかし、言葉が原因で良い結果も悪い結果も招くようになるとされており、仏教徒が守るべきルールとして定められています。
「口は災いの元」の英語表現とは?
英語では「The mouth is the source of all disaster」
「口は災いの元」の英語表現には「The mouth is the source of all disaster」が適しています。「The mouth is the source of all disaster」とは「口はすべての災いの元である」を意味する表現で、「口は災いの元」であることを表せます。
まとめ
「口は災いの元」とは「迂闊な発言は災難を招くことがある」を意味することわざです。不用意な発言をしないように、という戒めとして使用されます。「口は禍の門」や「口は禍の元」とも表しますが、いずれも誤用ではありません。
類語には「舌は禍の根」が当てはまるため、言い換えてみましょう。
・仕事で大きな損失をだしてしまい、口は災いの元という言葉を痛感した。
・友人に余計な一言をいってしまった。口は災いの元とはこのことだ。