「万死に値する」の意味とは?類語や語源の中国語・注意点も解説

「万死に値する」という言葉は、日常会話ではあまり使われません。語源が漫画やアニメのセリフだと思っている人もいるようです。実際には、中国語で昔から使われている言い回しが元になっています。気軽に使える意味ではないため、使い方をしっかり確認しましょう。また、類語や対義語もご紹介します。

「万死に値する」の意味とは

「万死に値する」の意味は「何度も死刑になるほど罪が重い」

「万死に値する(ばんしにあたいする)」の意味は「何度も死刑になるほど罪が重い」です。実際には何度も死ぬことは不可能ですので、比喩表現だと言えるでしょう。また、それ程までに重い罪を犯した相手が「憎い」という意味合いを含むこともあります。

「万死」はここでは「何度も死ぬ」という意味で使われています。

「値する」は「それほどの価値がある」という意味のため、ネガティブな意味である「万死」に続くことに違和感を覚える人もいるでしょう。しかし、慣用句のように浸透している言い回しですので、誤用の心配はありません。

「万死に値する」の語源は中国語「罪該万死」

「万死に値する」の語源は、中国語の「罪該万死」です。

中国では古風な言い回しだとされていて、歴史ドラマのセリフに使われています。皇帝が家臣を怒ったり、家臣が自分の罪を「私の罪は万死に値します」と謝罪したりするようです。

「万死に値する」の使い方と例文

「万死に値する」は非道さへの怒りを表す

「万死に値する」は、非道な行いに対して怒ったり、非難したりする際に使用します。残酷な事件の報道や、政治家同士の非難・批判でよく見られます。

例文
  • 身勝手な理由で殺人を続けた犯人の罪は万死に値すると言えるでしょう。
  • 国民の期待を裏切り不正に手を染めるなんて、万死に値する。

「万死に値する」はアニメ・漫画のセリフに使われる

アニメや漫画、ドラマなどのフィクション作品のセリフでも「万死に値する」は使われています。日常的に使わない言い回しのため、フィクション作品が元ネタの流行語だと勘違いしている人もいるようです。

語源の中国語の四字熟語と同じく、王族や貴族などの位の高い人物のセリフでよく見られます。また、知的で高慢なキャラクター性を分かりやすく伝えるために、口癖になることもあります。

自分の罪を「万死に値する」として反省を表現する

反省する気持ちを強調するために、自分の失敗や間違いを罪と例え「万死に値する」を使うこともあります。深い反省を伝えられますが「大げさすぎてウソっぽい」「教養があることを自慢しているようだ」と感じる人がいる可能性もあります。相手の年齢や性格を考えて使う必要がある表現です。

例文
万死に値する失態だったと存じております。まことに申し訳ございません。

単純に憎い・腹が立つ相手に使われることもある

「万死に値する」は、単純に嫌いで憎い相手や、腹が立った程度で使われることもあります。

一般的に「何度も死刑にするほど」とはとても思えないようなことに「万死に値する」を使うと、心が狭い・常識がないと思われる可能性があります。この使い方は避けた方が無難でしょう。

例文
  • ひどい料理で食材を無駄にするなんて万死に値するぞ。
  • この店はいつも品切ればかり。万死に値するな。

「万死に値する」は軽率に使うべきではない

「万死に値する」は軽率に使うべきではないと言えるでしょう。その理由は3つあります。

  • 意味が過激なため。
    「万死に値する」は死んでいいと決めつける過激な意味の言葉です。相手を精神的に傷つけたり、発言者に対するイメージが悪くなったりする可能性があります。
  • 辞書に載らない言葉のため。
    「万死」「値する」と別れた言葉は載っていても「万死に値する」の形で掲載する辞書は見つかりませんでした。その分、知名度が下がるため、相手に通じないことも考えられます。
  • セリフっぽいと誤解されることがあるため。
    セリフで使用されることが多いため「真剣な場面なのにアニメキャラのセリフを言うの?」という誤解を生むかもしれません。相手が若いほど注意が必要です。

「万死に値する」の類語とは

「万死に値する」の類語は「地獄に落ちろ」

「万死に値する」のように、死を望むほど相手を非難する言葉が「地獄に落ちろ」です。

「地獄(じごく)」とは、生前に悪いことをした罪深い人が、死後に罰を受ける場所だとされています(宗教によっては、死者の国というだけで罰を受ける場所ではありません)

「万死に値する」と同じで、軽率に使うことは避けた方が良いでしょう。

「万死に値する」の対義語とは

「万死に値する」の対義語は「罪を憎んで人を憎まず」

「万死に値する」と反対の意味を持つことわざが「罪を憎んで人を憎まず」です。「犯した罪を憎んでも、その人自身を憎んではいけない」という意味です。

儒教の言葉が語源だとされていますが、キリスト教の聖書にも似た言い回し(罪を憎んでも人を憎まず)があります。

例文
そこまで言うと、ただの罵倒だ。「罪を憎んで人を憎まず」と言うだろう。

まとめ

「万死に値する」は「何度も死刑になるほど罪が重い」という意味で、非道なことへの怒りを表す言葉です。自分の失敗に対して使い、深い反省を表現することもあります。

過激な非難の言葉のため、軽率に使うのは避けた方が良いでしょう。