「雄雌を決する(しゆうをけっする)」は、ビジネスやスポーツの試合などの「戦いのシーンで」勝ち負けを決める時に使われることわざです。「雌」と「雄」という語句がつかわれていますが「どっちが先にくるの?」と疑問に思うこともるでしょう。
ここでは「雌雄を決する」の意味と語源の他、言葉の使い方と例文、類語をわかりやすくご紹介します。
「雌雄を決する」の意味と語源とは?
「雌雄を決する」の意味は「決着をつけること」
「雌雄を決する」とは「決着をつけること」を意味し、物事に対して「戦うことで勝ち負けを決めること」、そして「結果として優劣を見極めること」を指します。また、同じ意味で言い回しを少し変え「雌雄を決す」とも表現します。
「雌」「雄」どっちが先にくる?
「雌雄を決する」は「雌(メス)」が先で「雄(オス)」が後となります。
「雌雄」には3つの意味があり、1つ目は言葉通り「メスとオス」、2つ目は「弱者と強者」3つ目は「勝敗・勝ち負け」となります。
「雌雄を決する」の場合は、3つ目の「勝敗・勝ち負け」の意味をとって使われています。
「雌雄を決する」の語源は史記「項羽本紀」
「雌雄を決する」とは、中国の歴史書「史記・項羽本紀」に語源を持つ言葉です。
この中に「できることならば、ライバルである漢王との戦いの場で、ぜひとも勝ち負けの優劣をつけたいものである」と述べている一説があります。この時に使われた表現が「雌雄を決する」です。
「雌雄を決する」の使い方と例文
一般的な話し合いに使うのはちょっと大げさ?
「雌雄を決する」は、物事での決着を付けたり、戦うことで勝敗をつけることを表します。そのため、ごく一般的な話し合いや社内ミーティングに対して使うのは、やや大げさな言い回しになってしまうことがあります。
たとえば、以下の例文で言葉が与える印象を比べてみましょう。
- 週末のミーティングでと雌雄を決することになった(激しい言い争いが予想される)
- 週末のミーティングで話し合いをすることになった(一般的な話し合い)
しかし、これが組合や本社などに対して、激しい攻防戦が予想されるものだとしたら、使い方としては正しくなります。
「雌雄を決する」は物事の難しいとりきめや、激しい言い争いなどが予想される時に、確固たる心持で臨むような状況で用いるようにしましょう。
「雌雄を決する」は差別用語ではない
「雌雄」は人間界では女性と男性のことですが、「雌雄を決する」という表現においては、力や権力の優劣に関して、どちらが劣っているという明確な定義はありません。
一般的に考えれば、男性の方が力は強かったり、女性の方が忍耐強かったりと、生まれ持って備わった優劣は人それぞれでしょう。たとえ「雌雄」が男女のたとえだとしても、直接的に女性を非難するような差別用語として認識するのは適切ではないと言えます。
「雌雄を決する」を使った例文
- 県大会の決勝戦ともあって、雌雄を決する試合が期待される。
- 新人との成績争いでは、本気で雌雄を決するつもりだ。
- 雌雄を決するも何も、本人が現れなければどうしようもない。
- 国会では、双方の議員が雌雄を決する場面がみられる。
- 今日こそ、雌雄を決する勢いで、取引先に契約交渉にいくぞ。
- 婚約者の両親に良く思われていないが、雌雄を決して結婚を許してもらうつもりだ。
「雌雄を決する」の類語とは?
決着をつけることを意味する「ケリをつける」
「ケリをつける」とは決着をつけることを意味し、勝負事や話し合いなどにおいて、はっきりと答えを出すことを指します。容易には決めかねる事柄に対して結論を出して、事態に結末をつける時に使われる言葉です。
「雌雄を決する」とはほぼ同義語となりますが、「けり」とは和歌や短歌で使われる「助動詞が語源」となるため、ちょっとした語勢の違いがあるかもしれません。
- カネを貸した相手とけりをつけるつもりだ。
- 気の合わなかった部長とケリをつけて会社をやめた。
是非を明確にすることを意味する「白黒はっきりさせる」
「白黒は切りさせる」は、物事の是と非を明らかにすることを意味します。たとえば、有罪が無罪か、正しいか正しくないか、間違っているか正解か、というように事柄の性質を切り分けて答えを出すという意味で使われます。
「白黒はっきりさせる」には「戦って勝敗を決める」ことだけではなく、道義的な観点から善悪の切り分けをする時にも使われます。そのため「雌雄を決する」より「白黒はっきりさせる」の方が、使える幅が広いと言えるでしょう。
- 別れるのか、別れないのか、白黒はっきりさせようじゃないか。
- 合格通知が届き、白黒はっきりできたので気持ちはスッキリしている。
まとめ
「雌雄を決する(しゆうをけっする)」とは、戦いをもって勝敗を決めること、優劣を決めるために決着をつけること、という意味があります。表記する時に「どっちが先?」と迷ってしまいがちですが、このことわざに関しては「雌(めす)」が先で「雄(おす)」が後になります。
「雌雄を決する」はスポーツの試合やビジネスでの勝ち負け、またプライベートでの決着事に対して広く使われます。やや堅苦しいニュアンスがあるため、ビジネスで意を決して戦いに臨む姿勢を表す時に使うと良いでしょう。