「愚にもつかない」とは「馬鹿らしいこと」を意味する慣用句です。「愚にもつかない話」のように使いますが、なぜ「馬鹿らしいこと」を「愚にもつかない」と表すのか謎に思っている人もいるでしょう。この記事では「愚にもつかない」の由来・語源や例文を解説します。加えて類語への言い換え方や英語表現も解説しましょう。
「愚にもつかない」の意味とは?
「愚にもつかない」の意味は「馬鹿らしいこと」
「愚(ぐ)にもつかない」とは「馬鹿らしくて話にならないこと」を意味する慣用句です。読み方は「ぐにもつかない」で、漢字では「愚にも付かない」とも表します。馬鹿らしく話にならない状況で使われるため、良い印象を与える言葉ではありません。
「愚にもつかない」の由来・語源は「愚」にある
「愚にもつかない」の由来・語源は「愚」の意味にあります。「愚」とは訓読みで「おろか」と読むように、「馬鹿馬鹿しく、くだらないこと」を意味します。一方で「つかない」は「そこに定まっていないこと」を意味する言葉です。
つまり、2つの言葉をあわせた「愚にもつかない」は「愚かな話であると言えないほど愚かであること」を意味しています。
「愚にもつかない」の使い方と例文
馬鹿らしいと感じる状況で使う
「愚にもつかない」は「馬鹿らしい」や「取るに足らない」と感じる状況で使用します。たとえば、自分に対する悪い噂話が流れてきたとしましょう。どこの誰が言いだしたか分からない噂を馬鹿馬鹿しい、または取るに足らないと感じる状況で「愚にもつかない噂なんて信じるな」のように使用されます。
「愚にもつかない話」のように表す
「愚にもつかない」は「愚にもつかない話」や「愚にもつかない議論」のように、「愚にもつかない○○」の形で使用されます。「愚にもつかない話」や「愚にもつかない議論」は「馬鹿らしい話」や「馬鹿らしい議論」を表しています。
また、「愚にもつかない私」のように、人に対しても使用可能です。「愚にもつかない私」など自分に対して使用する場合は、「わざわざ取り上げる価値のない、つまらない私」と自分を下げる意味をもちます。相手へ使用すると、相手を価値のないものと見下すことになるため使用に注意しましょう。
「愚にもつかぬ」は古めかしい表現
「愚にもつかない」のやや古めかしい表現が「愚にもつかぬ」です。「つかない」と「つかぬ」はどちらも打消しを表しているため、意味自体に違いはありません。ただ、日常会話で「愚にもつかぬ話」のように使用すると、堅苦しい印象を与えることがあるため注意しましょう。
「愚にもつかない」を使った例文
- 愚にもつかない議論をしているが、なんの役に立つと言うのだ。
- 愚にもつかないことに、一々怒っていられるか。
- 愚にもつかない話題を取り上げているから、視聴者が離れていくのだろう。
- 愚にもつかない話に耳を傾ける暇はないよ。
「愚にもつかない」の類語とは?
「愚にもつかない」の類語「取るに足らない」
「愚にもつかない」と似た意味をもつ言葉(類語)には「取るに足らない」が当てはまります。「取るに足らない」とは「取り上げる価値がない」「議論に値しないほどつまらない」を意味する表現です。
「愚にもつかない」と「取るに足らない」は「それほどまでにつまらない」という意味が類似しているため、類語に適しています。
・取るに足らないことで悩んでいる暇はない。
・相手に嫌われているかどうかなんて、私には取るに足らないことだ。
「くだらない」への言い換えも可能
「愚にもつかない」は「くだらない」へも言い換えが可能です。「くだらない」とは「問題として取り上げるほどの価値がない」「つまらない」を意味する言葉です。「愚にもつかない」と「くだらない」は「つまらない」という意味が共通しているため、「くだらない話」や「くだらない私」へと言い換えてみましょう。
・一晩中、くだらない話で盛り上がっていた。
・そのようなくだらない事に夢中になる時間はない。
「愚にもつかない」の英語表現とは?
「愚にもつかない」は英語で「Nonsense」
「愚にもつかない」の英語表現には「Nonsense」が適しています。「Nonsense」とは「ばかげた」「つまらない」を意味する単語です。たとえば「Talk nonsense」という使い方だと「ばかげた話」という意味になり、「愚にもつかない話」であることを表せます。
・Don’t talk nonsense.
意味:愚にもつかない話をするな。
まとめ
「愚にもつかない」とは「馬鹿らしくて話にならないこと」を意味する慣用句です。「愚にもつかない話」や「愚にもつかない私」のように使用され、やや古めかしい表現では「愚にもつかぬ」とも表します。
類語には「取るに足らない」や「くだらない」が当てはまるため、言い換えてみましょう。
・愚にもつかぬ戯言を、真に受ける必要はない。
・愚にもつかぬ話をする暇があるのならば、手を動かしなさい。