「くわばらくわばら(桑原桑原)」は古来から使われるおまじないです。近年ではドラマやアニメなどのフィクション作品でしか使われない死語だと思っている人もいるかもしれませんが、怖いおまじないなのでしょうか?
この記事では意味や語源・由来を解説。類語「つるかめつるかめ」「まんざいらくまんざいらく」や、英語のおまじないもご紹介します。
「くわばらくわばら」の意味とは?
「くわばらくわばら」の意味とは”雷や災難を避けるおまじない”
「くわばらくわばら」の意味は、“雷や災難を避けるために唱えるおまじないの呪文”です。もともとは雷・落雷除けでしたが、次第に怖いことや嫌なことなどの災難全般を避けるおまじないになりました。
「くわばらくわばら」の漢字表記は「桑原桑原」
「くわばらくわばら」を漢字で書く場合は「桑原桑原」になります。ただし、漢字表記はあまり使用されません。
「くわばらくわばら」は怖いおまじないではない?
「くわばらくわばら」と聞くと、呪いの言葉のような恐ろしいものをイメージする人は多いかもしれません。しかし、このおまじないはネガティブなものではないのです。
そもそも、おまじないは「まじない」に「お(御)」をつけた言葉です。意味は「神仏などの神秘的な存在の力を借りて、災いを避けて幸運を引き寄せる」です。基本的にはポジティブな意味合いでしか使われません。
「くわばらくわばら」も、雷・災難除けのためポジティブなおまじないに含まれます。
「くわばらくわばら」の語源は菅原道真に関係のある”桑原”という場所
「くわばらくわばら」の語源は諸説ありますが、有名なのは地名「桑原」です。
平安時代、京都中に激しい落雷が続く中で「桑原」という場所にだけ落雷がなかったため、おまじないになったと考えられています。なお、この落雷は罠にはめられて失意のうちに亡くなった菅原道真の祟りだとされ、学問の神として祀(まつ)ることで怒りを静めたと言われています。
由来の他の説は「雷神は桑が嫌い・人に助けられた雷神が今後は桑原に落ちないと約束した・かいこの餌である桑畑に雷が落ちないように」などです。
「くわばらくわばら」の使い方と注意点とは?
「くわばらくわばら」は雷や災難を避けるために使う
「くわばらくわばら」は、雷や災難を避けたいときに唱えるおまじないです。誰かに怒られるような、日常的で小さな災難にも使用されます。
- 雷が怖いと言うと、おばあちゃんが「くわばらくわばら」と唱えるといいと教えてくれた。
- 今日の課長、なんだかイライラしてるな。八つ当たりされないといいけど。くわばらくわばら。
- 最近、近所で事故が多くて怖いな。くわばらくわばら。
「くわばらくわばら」を死語だと避ける必要はない
「くわばらくわばら」は死語だと感じる人もいるようです。インターネット上でも「少し古い言葉・年配の方が使う」という意見がありました。ただ、SNSで検索すると使用している人が多くヒットするため”意味が通じない人が多い”とは言えません。気にせず使用して問題ないでしょう。
死語とは「現在は使われなくなった言葉」です。言語そのものに使われることもありますが、一般的には”一時期に人気だった流行語が廃れた”という意味で使われます。
「くわばらくわばら」の類語とは?
「くわばらくわばら」の類語は「つるかめつるかめ」
「くわばらくわばら」と同じように、繰り返して唱えるおまじないがあります。縁起直しのおまじないが“つるかめつるかめ”です。漢字で書くと「鶴亀鶴亀」です。不吉なことがあった後や、縁起の悪いことを口にしてしまった際に、打ち消すために唱えていました。
- 帰りが遅いけど、事故にでもあってるんじゃ……なんて、縁起でもないな。つるかめつるかめ。
地震避けのおまじないは「まんざいらくまんざいらく」
地震避けのおまじないは“まんざいらくまんざいらく”です。漢字では「万歳楽万歳楽」とされます。地域によっては「まじゃらくまじゃらく」と唱えることもあるようです。
- 余震に怯える息子を慰めようと、いっしょに「まんざいらくまんざいらく」と唱えた。
「くわばらくわばら」の英語版は?
英語圏の厄除けのおまじないは「knock on wood」
英語圏で「くわばらくわばら」と同じように使われるおまじないが「knock on wood」です。
呪文として唱えたり、木でできたもの(テーブル、イスなど)をトントンと叩いたりします。良いことはずっと続くように、悪いことは続かないように、と願うおまじないです。また、自慢話や悪口を言った後に、罰が当たらないように唱えることもあるようです。
木に宿る精霊に、ノックして自分の存在を知らせると幸運になるという考えが由来だとされます。特にアイルランドでは精霊信仰が強く根付いているそうです。
まとめ
「くわばらくわばら」とは、雷や災難を避けるためのおまじないです。他にも「つるかめつるかめ」など、昔から伝わるおまじないがいくつか残っています。
効果のない迷信だと思う人もいるでしょう。しかし、心が励まされるだけでも、無駄ではないと言えるかもしれません。不安になったときのために「くわばらくわばら」を覚えておいてください。