就職活動をしたり、新しい会社で働き始めたときに聞く言葉が「社会保険」です。加入すると社会保険料もかかりますので、加入する義務があるのかどうか気になる人もいるのではないでしょうか。社会保険の加入については、年々範囲が拡大されており、注意しなければいけない点も多いです。
今回は社会保険には加入義務があるのかどうか、また、加入しなければならない人とはどのような人なのかを解説します。
社会保険の加入義務がある人って?
日本は国民皆保険制度といって、すべての人が保険に加入する制度があります。加入する保険は人によって異なりますが、基本的にはその人の仕事によって決まります。ここでは仕事と社会保険の加入義務について紹介します。
「正社員」の場合は強制加入
社会保険の加入義務がある人は、基本的には「正社員」です。会社に正社員として雇用されている場合は、会社経由で社会保険に加入しなければいけません。会社が社員を加入しなければならない義務を負っています。
試用期間は社会保険に加入できないとしている会社もありますが、基本的には試用期間でも加入義務がありますので、法律違反になります。
「パート・アルバイト」は働く時間など加入条件がある
パートやアルバイトの場合は働く時間によって社会保険に加入しなければなりません。社会保険に加入しなければならない条件は2種類あります。
1つ目は1週間の労働時間と1ヶ月の労働日数が正社員の4分の3以上あることです。正社員が週40時間働いている場合、週30時間以上働いているパートやアルバイトの方は社会保険に加入しなければいけません。
1つ目に当てはまらなかった人でも、以下の条件すべてに該当する人は社会保険に加入しなければなりません。
- 従業員501人以上の大企業で勤務
- 1週間に20時間以上働く
- 月額賃金が8.8万円以上
- 勤務期間1年以上またはその見込みがある
- 学生ではない
「役員」でも加入義務はある
会社の役員の人は、会社から報酬をもらっている場合には、会社経由で社会保険に加入しなければなりません。ただし、無報酬で役員という肩書きのみという場合は、会社での加入義務はありません。
「個人事業主」は条件によって加入する保険が変わる
個人事業主は、一部の業種を除いて、従業員を5人以上雇用している場合には、「健康保険」と「厚生年金」に加入することになります。
会社の場合は会社経由で手続きをしましたが、個人事業主の方はご自分で手続きをすることになります。雇用している従業員の手続きも個人事業主の方がすることになります。
従業員を5人以上雇用していない個人事業主の方は、市役所で「国民健康保険」と「国民年金」に加入しなければなりません。
加入したくない人でも断れない
日本は、すべての人が社会保険に加入しなければなりません。加入したくない人でも断ることができません。会社経由で加入する方は「健康保険」と「厚生年金」に加入します。
夫や妻の扶養に入っている方は夫や妻の加入している社会保険に加入し、公務員の方は「共済組合」という社会保険に加入しなければなりません。どこにも加入できない方は、市役所で「国民健康保険」と「国民年金」に加入する義務があります。
「社会保険」ってそもそも何?
「社会保険」とは健康保険と年金のこと
「社会保険」とは、「労災保険」「雇用保険」「医療保険」「年金保険」の4つのことを指しているか、もしくは「医療保険」と「年金保険」の2つのことを指しています。日本にはいろいろな保険がありますが、実は「社会保険」という保険は存在しません。
紛らわしいですが、「社会保険」という言葉には、「広い意味での社会保険」と「狭い意味での社会保険」があります。広い意味では4つの保険のことを指し、狭い意味では「医療保険」と「年金保険」の2つを指します。
会社員の場合、「医療保険」は「健康保険」であり、「年金保険」とは「厚生年金」です。一般的な会話で「社会保険」と言われている場合には「健康保険」と「厚生年金」を指していることが多いでしょう。
社会保険はいつから加入しなければならない?
雇用された日から加入しないと法律違反
社会保険は、雇用された日から加入しなければなりません。試用期間であっても加入する義務があります。ただし、臨時で少しの期間だけ働き、絶対に契約更新する予定がない人は加入しなくてもよいことになっています。少しの期間がどのくらいかは、雇用される状況によって異なります。
働く期間が2ヶ月だと加入しなくてよいこともある
加入しなくてもよいことになっている「少しの期間」とはどのくらいでしょうか。法律では以下の4つとなっています。
- 日々雇い入れられる人
- 2ヵ月以内の期間を定めて使用される人
- 季節的業務(4ヵ月以内)に使用される人
- 臨時的事業の事業所(6ヵ月以内)に使用される人
季節的業務とは、例えば、雪が多く積もる地域で冬の間だけ除雪作業を行うために雇用するなどの特殊な雇用方法です。臨時的事業とは、例えば橋を作る建設事業で橋が出来上がったら事業そのものがなくなるような場合です。
これらに該当しない人は、雇用された日から加入になります。
法人と個人事業主で社会保険は違う?
法人は強制適用事業所、個人事業主は条件がある
健康保険と厚生年金は、事業所ごとに加入しなければならないと法律で決まっています。強制加入の事業所のことを「強制適用事業所」と呼びます。法人はすべて「強制適用事業所」となります。
個人事業主は一部の業種を除いて、従業員が5人以上いる場合に強制適用事業所になります。それ以外は強制加入にはなりませんが、従業員の半数が同意し、事業主が申請すれば、加入することが可能です。
まとめ
社会保険にはいくつかの種類がありますが、すべての人がどれかに加入する義務があります。会社員の方は入社すると会社が手続きをしてくれるので、知らないうちに加入していることもあるかもしれません。毎月の給料から社会保険料がひかれていますので、この機会に自分の加入している社会保険を確認してみましょう。