ドイツ料理と言えば「ソーセージ」を思い浮かべる方も多いでしょう。でもドイツ料理には「シュバインヘクセ」や「シュニッツェル」などソーセージ以外にも食べ応えのある料理がたくさんあります。
今回はドイツ料理の特徴に続き、有名なドイツ料理や定番料理、さらにドイツらしいジャガイモ料理も併せて紹介します。
※この記事の担当:Light1(ドイツ在住歴12年。ドイツの長い夏とドイツワインが好き)
ドイツ料理の特徴とは?
ボリュームたっぷりの肉料理がメイン
ドイツ料理の特徴を一言で表すのなら「ボリュームたっぷりの肉料理」ではないでしょうか。ドイツ人は元来、食に関してあまり高い関心がなかったため、料理の繊細さを追求するよりも素朴ながらにお腹いっぱいになれる料理が伝統的な料理になりました。肉料理が中心で、中でも豚肉を使った料理が多いのも特徴の一つです。
保存の効く料理が多い
長くて寒い冬でも食料に困らないために、ドイツでは保存の効く食材が好まれました。酢漬けや燻製といった調理法で野菜や肉を長期保存します。またドイツ料理も煮込み料理などの保存が効く料理も好まれています。
1950年代からバリエーションが広がる
1950年代になると移民の流入も含めたグローバリズムの拡大が、ドイツの食文化にも影響を与えたと言われています。素朴なドイツ料理のイメージとはかけ離れた繊細で創作的な料理が生まれ、テレビなどでレシピを紹介する料理番組も増えていき、一般の人の食への関心が強くなっていきました。
有名なドイツの伝統料理とは?
「シュバインへクセ」のボリュームにびっくり
「シュバインヘクセ(Schweinshaxe)」はドイツ南部バイエルン地方の伝統料理で、豚すね肉をオーブンで焼き上げています。その太い骨と周りに付いた肉のボリューム感に圧倒されながらも、香ばしい皮とジューシーな肉を口に運べば食欲がどんどん湧いてくるかのようです。ビールとの相性もピッタリです。
ドイツの首都ベルリンにも同じ豚すね肉を調理した「アイスバイン(Eisbein)」も有名です。こちらは煮込み料理で肉のやわらかさを楽しめます。
「シュバインブラーテン」はドイツ南部の名物料理
「シュバインブラーテン(Schweinbraten)」は豚肉の背中や肩部分のブロック肉をじっくりの煮込んだ料理で、ドイツ南部やオーストリアでも有名な料理です。伝統的には肉から取ったブイヨンと黒ビールを煮詰めたソースをかけていただきます。
「マウルタッシェ」はドイツ版ラビオリ
「マウルタッシェ(Maultasche)」はパスタ風の生地に挽肉やホウレン草などの野菜を詰めて茹でた料理です。イタリア料理のラビオリと似ていますが、ラビオリに比べると生地はずっと厚く、一つのマウルタッシェの大きさも10㎝角ほどで、小食の方なら2つか3つほどでお腹いっぱいになるでしょう。
「ザワークラウト」は温かいキャベツの酢漬け
千切りにしたキャベツを発酵させて作られる「ザワークラウト」は、温かい肉料理の付け合わせとしてよく添えられます。こってりした肉料理にさっぱりとしたザワークラウトとの相性は食べ慣れると格別です。
「ヴァイスブルスト」は白いソーセージ
1500種類以上あると言われるドイツのソーセージですが、ドイツ国内でもその独特な存在として有名なソーセージがベイエルン地方で食べられる「ヴァイスヴルスト(Weisswurst)」です。「白ソーセージ」と呼ばれるそのソーセージは白く、ふと眼で短めのソーセージです。ヴァイスヴルストの食べ方は、皿の上でソーセージの皮をはいで中の身だけを食べます。辛みのない甘い粒マスタードをつけながら食べるのが伝統で、やわらかい食感で優しい味が特徴的です。
「カレーヴルスト」はファーストフードの代名詞
ソーセージの食べ方でもファーストフードとして名高いのが「カレーヴルスト」です。焼いたソーセージを輪切りにしてケチャップとカレー粉を振りかけていただきます。
定番のドイツ料理とは?
「シュニッツェル」はドイツ版とんかつ
「シュニッツェル(Schnitzel)」はドイツ版の「とんかつ」で、ドイツ料理のレストランならメニューに載っていないことはないと言えるほどの定番料理です。「とんかつ」との違いは、「シュニッツェル」は豚肉を叩いて1センチほどに伸ばしてから揚げられていて、お皿一杯に広がるほどの大きさです。
「焼きソーセージ」または「茹でソーセージ」
家庭料理として、また「インビス」と呼ばれる駅前などにある軽食スタンドでも定番なのはソーセージです。自分の好みで焼くか茹でるかを決めるのではなく、ソーセージの種類によって調理法が決められます。
ハンバーグなどの豚ひき肉を使った家庭料理
「ハックブラーテン(Hackbraten)」や「フリーダデレ(Frikadelle)」などと呼ばれるドイツ版ハンバーグも定番料理のひとつです。ただ日本のハンバーグに比べると固く引き締まった焼き上がりで、ハンバーグにかけるようなソースはありません。お好みでケチャップかマスタードをつけて食べます。
スープの定番「グラーシュ」
「グラーシュ(Gulasch)」とは、パプリカパウダーやキャラウェイなどのスパイスと一緒に牛肉とトマトを煮込んだスープです。ハンガリーから伝わった料理で日本のビーフシチューのようなスープですが、具材は小さく切られているためスプーンひとつで食べます。
冬場のドイツではスープは定番料理で、昼食に具材をたっぷり入れたスープを食事の代わりにすることもあります。
ドイツ料理で忘れられないジャガイモを使った料理
ドイツ料理に欠かせない「ジャガイモ」の歴史
肥沃とは言えないドイツの土地でもよく育つジャガイモは、ドイツ料理に欠かせない食材のひとつです。中世では豚の餌としてジャガイモは扱われていましたが、16~18世紀のヨーロッパ全土に起こった食糧危機がきっかけにジャガイモを食べるようになり、世界大戦中の食糧難もジャガイモにより救われました。
日本ではあまり見かけないドイツ風ジャガイモ料理
長い歴史を持つジャガイモはドイツの食卓では主食、副菜問わずよく登場する食材です。ここではジャガイモを使った料理の中から、日本では珍しいと思われるジャガイモ料理を中心に紹介します。
まとめ
ドイツ料理のメインにはボリュームたっぷりの肉料理が多いのですが、こうした料理は週末などのゆっくりと食事を楽しむときに食べられる料理です。一般家庭の平日の夕食では、パンにハムやチーズなどを乗せて食べる「冷たい食事」が定番です。
ジャガイモをくし切り、または輪切りにしてたっぷりのオリーブオイルと塩で焼く「ジャガイモのオーブン焼き」。ローズマリーを添えて一緒に焼くことで、台所中にハーブの香りで満たされます。外食ではフライドポテトは人気の料理ですが、家庭では手間のかかる揚げ物よりもオーブン料理が多いです。
「カートフェルンプッファー(Kartoffelnpuffer)」と呼ばれる細切りにしたジャガイモを卵や小麦と一緒に煉り合せて揚げた料理です。リンゴのムースと合わせていただきます。塩気があるカートフェルンプファーとリンゴの甘酸っぱさの相性が絶妙です。
ポテトサラダの味付けは大きく分けて二種類あります。一つは日本で食べられているポテトサラダのようにマヨネーズベース、もう一つはオイルとビネガーベースのさっぱりとした味付けです。冷たくするだけでなく、温めて食べることもあるのがドイツスタイルです。