「断末魔」とは「死ぬ間際」を意味する言葉で、苦しみを伴う死に対して使われます。「断末魔の叫び」や「断末魔の苦しみ」のように表す「断末魔」の、由来を知りたいという方もいるでしょう。
この記事では「断末魔」の由来や使い方の例文、類語の「臨終」を解説します。くわえて「断末魔」の英語表現も解説しましょう。
「断末魔」の意味・読み方・由来とは?
「断末魔」の意味は”死ぬ間際”
「断末魔」の意味は、“死ぬ間際(まぎわ)”のことです。安らかに死んでいく様子を表すのではなく、苦しみながら死ぬ様子を表します。人や動物が死ぬ瞬間に、苦しんでいる状況で使用しましょう。
「断末魔」の読み方は”だんまつま”
「断末魔」の読み方は“だんまつま”です。漢字では「断末摩」と表すこともありますが、一般的には「断末魔」の方が多く使用されます。
由来は仏教用語の「末摩」にある
「断末魔」は仏教用語の「末摩」に由来しています。「末摩」とは体内にあるとされる人体の急所で、末摩に傷をつけると激痛が走ったのちに死ぬと言われています。末摩を断つと死んでしまうことから「断末魔」と表されるようになり、激痛が走る様子から「苦しみながら死ぬ」状況で使われるようになったのです。
「断末魔」の使い方と例文とは?
苦しみながら死ぬ状況で使う
「断末魔」は死ぬ間際に苦しんだり、痛がったりする状況で使われます。息を引きとる瞬間に使われることが多いですが、比喩表現として「断末魔のような」と表すことで、死んでいない相手へも使用できます。
「断末魔の叫び」「断末魔の苦しみ」のように表す
「断末魔」のよくある使い方が「断末魔の叫び」や「断末魔の苦しみ」です。「断末魔の叫び」とは”死ぬ間際に、苦しみや痛みから叫び声をあげること”を、「断末魔の苦しみ」は”死ぬ間際の苦しみ”をそれぞれ意味します。
どちらも死ぬ間際の苦しみや痛みを表す状況で使用しましょう。
- 遠くの方で逃げ遅れた人々の、断末魔の叫びが聞こえる。
- 廃屋から夜な夜な、断末魔の叫びが聞こえるという。
- 断末魔の苦しみに苛まれるなか、意外にも冷静な自分に驚いた。
- 断末魔の苦しみにもがき、足をからませ川に落ちたそうだ。
「断末魔をあげる」は誤用のため注意
「断末魔をあげる」という表現は本来であれば誤用であり、正しくは「断末魔の叫びをあげる」になります。「断末魔」が”死ぬ間際の叫び声”を意味するという誤用から、「断末魔をあげる」という使い方が広まりました。
「断末魔をあげる」で”死ぬ間際に叫び声をあげること”という意味が通じる場合もありますが、人によっては「死ぬ間際をあげる」と捉えてしまうため注意しましょう。
- 断末魔の叫びをあげると、そのまま前へ倒れて絶命してしまった。
- 断末魔の叫びをあげた怪物は、灰になって消えてしまった。
「断末魔」を使った例文
「断末魔」を使った例文をご紹介しましょう。
- 野太く長い断末魔の悲鳴を耳にし、これから起こる出来事に身をすくめた。
- 中から友人の断末魔の声が聞こえ、扉をなかなか開けられないでいた。
- 断末魔の叫びが響きわたり、驚いた住民が何事かと飛び出してきた。
- 絞りだしたかのような断末魔の悲鳴が、頭から離れない。
「断末魔」の類語・英語表現とは?
「断末魔」の類語は”臨終”
「断末魔」の類語には”臨終(りんじゅう)”や「往生際(おうじょうぎわ)」が当てはまります。「臨終」は”人が死ぬ間際”を、「往生際」は”死に際”をそれぞれ意味します。「断末魔」と「臨終・往生際」はどちらも「人が死ぬ寸前」を表しているため、類語に当てはまるのです。
ただ、「往生際」は”往生際が悪い”と使われるように、「追い詰められているときの、判断力や態度」という意味もあります。「断末魔」や「臨終」には、そのような意味はないため注意しましょう。
- 友人の臨終を見届けようと、わたし達は病院へと急いだ。
- 臨終に立ち会いたかったが、彼女の希望でそれは叶わなかった。
- どんな形であっても、人の往生際を笑ってはいけないよ。
- 警察に囲まれた犯人は、往生際悪く無実を主張しはじめた。
「断末魔」は英語で”Death agony”
「断末魔」の英語表現に適しているのが“Death agony”です。「Death agony」とは”死ぬ間際の苦しみ”を意味する表現で、「Death」が”死”を、「Agony」が”苦しみ”をそれぞれ意味しています。
また、他にも”最後の喘ぎ(あえぎ)”を意味する「Last gasp」や、”死の叫び”を意味する「Death cry」など、「断末魔」を表す英語表現は複数あります。
まとめ
「断末魔」とは”死ぬ間際”を意味する言葉で、苦しみや痛みを感じながら死ぬ状況で使われます。「断末魔の叫び」や「断末魔の苦しみ」のように表しますが、「断末魔をあげる」は通じない場合もあるため注意しましょう。
木々を揺らす風の音が、断末魔の悲鳴のように聞こえた。
意味:木々を揺らす風の音が、死ぬ間際の悲鳴のように聞こえた。