「憂い」の意味とは?「愁い」との使い方の違いや類語・対義語も

「憂い」は気分的にすぐれず、物事や状況をいたわしく思う時に使われる言葉です。あまり気の進まないような感情を示す言葉ですが、意味においては多岐にわたるため、正しいニュアンスを理解していおく必要があります。

ここでは「憂い」の意味と読み方、「愁い」との違いを含めて、使い方や類語・対義語をご紹介します。

「憂い」の4つの意味と読み方とは?

「憂い」の意味1:「せつなく悩ましいこと」

「憂い」の意味は、“感情的にせつない気持ちにあふれ、悩ましいこと”です。たとえば別れや辛いことがあった時に、気持ちのやり場がなく、心が痛んで悲しくなるような様子を表します。「憂い」には笑顔や快活といった表情はほとんど見受けることはありません。

「憂い」の意味2:「つれなく冷たいこと」

「憂い」の意味は、“人がつれなく冷たいこと”です。テンポの良いコミュニケーションがとりにくく、そっけない態度を表します。「憂い」は人の冷然たる態度や気の無い様子、つまり「けんもほろろ」であることを示す言葉でもあります。

「憂い」の意味3:「辛く苦しい気持ち」

「憂い」の意味は、“物事や状況が思い通りにならないために、辛く苦しく思うこと”です。状態をいとわしく不愉快い、あまり気が進まないことを表します。気分にわずらわしさがあり、気持ちの上で前向きになれないことを示すのが「憂い」です。

「憂い」の意味4:「事態に対する心配や気遣い」

「憂い」の意味は、“事態を心配したり、深く気遣うこと”です。これから予期されるネガティブな事態に対して憂鬱な気持ちになることを表します。

「憂い」の読み方は”うれい”と”うい”の二つ

「憂い」の読み方は、“うれい”“うい”の2通りあります。

「憂い(うれい)」は「憂う(うれう)」を名詞的に変形させたものです。一方「憂い」は、すぐれないという意味の「憂(う)」にそのような気配があるという意味の「い」を付けることで「憂い(うい)」と読むケースとなります。ちなみに「憂い(うい)」としての意味は「心配・不安」です。

「憂い」と「愁い」の使い方の違いとは?

「愁い」は寂しく物思いにふける意味合いが強い

「憂い」と同じ読み方を持つ言葉に「愁い(うれい)」があります。「憂愁」という言葉が存在するように「憂い」も「愁い」も、気持ちが沈み憂鬱になるような状況を表す時に使われますが、それぞれ多少異なるニュアンスを持っています。

それぞれの意味
  • 憂い:これから悪いことが起きるかもしれないという不安や心配、恐れで悩むこと
  • 愁い:物思いにふけったり、寂しい気持ちを表情や態度に現れていること

つまり、「憂い」は心配や恐れに対して落ち込み思い悩むようなこと、「愁い」は窓越しに外を見ながら思案に暮れるようなことを意味します。微妙なニュアンスの違いを理解して使いましょう。

「憂い」を使った例文

「憂い」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 地方に転勤が決まった同僚は、新天地での生活について憂いが脱ぎきれないようだ。
  • 彼女が憂いのある表情を見せるのは、僕との交際を両親に反対されているからである。
  • 失業が3か月も続き、憂いと不安が隠せない。

「愁い」を使った例文

「愁い」を使った例文をご紹介しましょう。

  • いつも元気な彼女だが、この頃は愁いを伴う表情が目立つようになった。
  • 何となく愁いが見え隠れするのは、最近になって彼と別れたからだろう。
  • 元気と笑顔がトレードマークの私。だから愁いのある顔は周囲に見せたくない。

「憂い」の類語・対義語とは?

「憂い」の類語は”物案じ・愁思・メランコリー”など

「憂い」と言い換えができる類語には“物案じ・愁思(しゅうし)”、カタカナ語では“メランコリー・センチメンタル”など多数あります。どれも不幸な出来事を心配したり、思い悩んだりする不快感を表す言葉です。

  • 物案じ:物事を心配・思案すること
  • 秋思:思い煩うこと
  • メランコリー:晴れ晴れしない気持ちのこと。英語でmelancholy 
  • センチメンタル:感傷的で上にもろいこと。省略してセンチともいう。英語でsentimental

その他「懸念・心もとなさ・気がかかり・苦悶」など、別の言葉に置き換える時は文脈にしっくりとくる類語を選びましょう。

下記で類語への言い換えをした比較分を挙げてみます。

言い換えの例文
  • 彼女の表情は憂いに満ちている。
  • 彼女の表情は物案じに満ちている。
  • 彼女の表情は秋思に満ちている。
  • 彼女の表情はメランコリーに満ちている。
  • 彼女の表情は心もとなさに満ちている。

「憂い」の対義語は”爽快・さっぱり・晴朗”など

「憂い」と反対の意味を持つ対義語には、気持ちが晴れ晴れとして、ネガティブな感情を伴わない“爽快・さっぱり・晴朗”などが挙げられます。その他、「清々しい・麗らか」なども「憂い」の対義語となりますが、どれも心にわだかまりや陰りがなく、スッキリと晴れやかな気持ちを表現する言葉です。

対義語の例文
  • 今日の気分は爽快だ。
  • 今日の気分はさっぱりしている。
  • 今日の気分は晴朗だ。
  • 今日の気分は麗らかだ。

まとめ

「憂い(うれい)」は「憂う(うれう)」を名詞的に変形させた言葉で、”せつなく悩ましい・辛く悲しい・冷たくつれない・これから起こるネガティブなことに対して不安や心配をする”などの意味を持ち合わせています。

同じ読み方をする言葉に「愁い(うれい)」がありますが、ニュアンスが多種異なります。物事への心配や不安が強い場合は「憂い」、寂しく物思いにふけるような状況には「愁い」を使いましょう。