イギリスのビザは種類が多くて、どのビザを取得するべきなのかわかりにくいことも。今回はイギリスで発行されるビザの中でも、特に関心の高い留学、結婚、就労に関するビザの特徴や申請方法、滞在資金の証明方法などを解説します。
※この記事の担当:Light1(海外在住20年。イギリス在住経験あり。イギリスのビネガー味のフライドポテトが好き)
イギリスのビザの種類とは?
入国目的に合わせて数々のビザがある
イギリスのビザは、入国者の目的に合わせてさまざまなタイプのビザが発行されています。「ビザ」とはある国に入国するときにその入国者が正当な理由があって入国することを確認するための裏書証明です。
- 訪問者ビザ(Visitors):主に6ヶ月以内でイギリスに滞在する人のためのビザ。滞在目的により「一般訪問者」「スタンダード訪問者ビザ」「結婚訪問者ビザ」「子供ビザの保護者」「ビジネス訪問者」等に分類される。
- 学生ビザ(Tier4):6ヶ月以上の留学生に発行されるビザ。「一般学生ビザ」「短期学生ビザ」「チャイルド学生ビザ」等に分類される。
- 就労ビザ(Tier2):労働目的で入国する人のためのビザ。「一般」「部署移動」「宗教」「スポーツ」等に分類される。
- ハイ・バリュー移民ビザ(Tier1):ある分野でのスペシャリストに対して発行されるビザ。「投資家」「(科学や芸術などにおける)特殊な才能」に分類される。
- ワーキングホリデービザ(Tier5):ワーホリで入国する人のためのビザ。
- 家族ビザ(Family Visa):イギリスで一緒に生活をする人に合わせて発行されるビザ。 婚姻関係にある人、子供、扶養家族などで分類される。
観光目的で6ヶ月以内の滞在ならビザはいらない
日本人はビザが免除されているため、観光目的で6ヶ月以上以内の滞在ならビザは必要ありません。イギリスへの旅行の前には、パスポートの残存期間が日本に帰国するまで有効かどうかを確認しておきましょう。
留学のためのビザとは?
留学のためのビザは滞在期間や留学目的などから主に「短期学生ビザ」「学生ビザ」「チャイルド学生ビザ」があります。申請方法はそれぞれ違いますので、その概要を紹介します。
「短期学生ビザ」は入国時に発行
「短期学生ビザ(Short-term Study Visa)」は、6ヶ月以内の留学または11ヶ月までの英語コースで英語を学ぶための留学のために発行されるビザです。事前にビザの申請手続きは必要なく、イギリスの飛行場で行われる入国審査のときに発行されます。そのビザはパスポートにスタンプが押される簡単なものですが、ビザとして公的な効力があります。
短期学生ビザ発行のための必要書類は、語学学校や大学等の入学許可書、イギリスで生活するために十分な資金があることを証明する銀行発行の残高証明書、帰国を証明するための帰りの航空券などです。
「学生ビザ」はビザセンターで事前申請が必要
「学生ビザ(Study visa)」は16歳以上で6ヶ月以上滞在し、高校、大学、専門学校またはそれ以上のレベルの教育機関に留学する場合に発行されます。出国前に東京と大阪にあるビザセンターで申請します。
申請に必要な主な書類はパスポート、入学許可書に掲載されている入学許可番号、現在の英語力を示すために語学試験IELTSの試験結果、銀行発行の残高証明書などです。
ビザの発行には約3週間かかり、本人または代理人がビザセンターで受け取ります。
「チャイルド学生ビザ」は17歳以下の子供が対象
「チャイルド学生ビザ(Child Student visa)」は4歳から17歳までの人が対象で、特に15歳までは私立学校に留学する場合にのみ発行されるビザです。学生ビザのように、「チャイルド学生ビザ」も出国前にビザセンターで申請を行います。
残高証明書で証明する資金は1,265ポンド/月が目安
ビザの発行に十分な残高はイギリスでの生活ができる程度の金額です。目安として9カ月未満の滞在ならロンドン市内在住で1,265ポンド/月、ロンドン市外なら1,015ポンド/月です。
また残高証明書は銀行で英文により発行してもらうか、翻訳会社に頼んで翻訳証明を出してもらいましょう。
結婚によりイギリスに入国するためのビザとは?
結婚目的の入国なら「結婚ビザ」
結婚をするためにイギリスに入国するためのビザは「結婚ビザ(Marriage visitor visa)」があります。このビザはあくまでも結婚が目的のためのビザで、移住する予定がない場合に発行されます。「結婚ビザ」による最長の滞在期間は6ヶ月です。
結婚して移住する目的なら「家族ビザ」
結婚後、イギリスに6ヶ月以上住む予定ならば「家族ビザ(Family visa)」を取得できます。家族ビザは一緒に暮らす相手によってビザの名称が変わります。
- 「フィアンセビザ」:婚約相手と暮らす。
- 「配偶者ビザ」:結婚相手と暮らす。
- 「パートナービザ」:事実婚のパートナーと暮らす。
結婚して家族ビザから永住権に切り替える
家族ビザを日本で取得した場合には、27ヶ月後には永住権を申請する資格ができます。その条件として二人の関係が継続していること、経済的に安定していることと、英語力が規定の基準に達していることです。
また結婚前に二人の付き合いが4年以上あり英語力を満たしていれば、結婚してすぐに永住権を申請することもできます。
労働目的のためのビザとは?
ワーホリのビザなら2年間滞在できる
「ワーキングホリデー(通称「ワーホリ」)」とは18歳から30歳までの人が学びながら労働することも許可されている制度です。イギリス以外にもオーストラリアやカナダ、ドイツ、フランスなどで実施されています。
イギリスで発行されるワーホリのためのビザは「Youth mobility scheme visa」と呼ばれ、最長2年間滞在できます。
就労ビザは労働内容によって細かく分かれる
就労ビザは労働内容によって細かく分かれています。ここでは就労ビザの中から代表的なものを紹介します。
- 「一時就労ビザ(a temporary worker visa)」(Tier5)
2年以内でイギリスの企業で働くためのビザ。主に慈善団体や芸術、スポーツなどで人材交流を目的としている場合に発行される。 - 「一般就労ビザ(general work visa)」(Tier2)
国内の労働不足を補う目的で作られたビザで、現地採用で働くときのビザです。最長5年14日間まで滞在できます。主な申請の条件として、採用する会社がライセンスを保有していること、また年収は159,600ポンド以上などがあります。 - 「部署移動ビザ(inter-company transfer visa)」(Tier2)
日本の会社からイギリスの支社に駐在として配属される方のためのビザで、1年以上の滞在でイギリスでの年収は73,900ポンドが必要です。最長の滞在期間は年収が120,000ポンド以上なら9年間、120,000ポンド以下なら5年と1カ月まで可能です。
他にも興味深い就労が許可されているビザがあるのでその一部を紹介します。
- 「スポーツマンのビザ(Sportsperson visa)」:イギリスのスポーツ分野で貢献できるスポーツ選手やコーチのためのビザ。
- 「高い価値の就労者のビザ(High Value worker visa)」:投資家やアート・科学分野のリーダーなどが対象。
- 「起業家ビザ(Innovator visa)」:新しいビジネスを立ち上げる人たちのためのビザ。
- 「イギリス祖先ビザ(UK ancestry visa)」:祖父母のうち一人がイギリス生まれの人が取得できるビザで就労ができる。
- 「個人世帯の家事労働者ビザ(Domestic workers in a private household visa)」:家事のために個人に雇われた人のビザ。
- 「聖職者のためのビザ(Minister of Religion visa)」など。
労働目的でもビザがいらないケース
イギリスへの入国目的がビジネスでもビザを必要としないケースがあります。それは次の通りです。
- 1ヵ月以内の滞在で、自分が専門とする専門職に関して大学などで講義をしたり、スポーツやアートなどのイベントに参加したりする場合。
- 6ヶ月以内の滞在で、コンファレンスやトレーニング、会議への出席や、スポーツ大会やアートイベントに出席する場合。
まとめ
イギリスのビザは種類も多く申請時には迷うこともあるでしょう。また申請条件も急に変更されることもありますので、イギリスの渡航前には必ず適切なビザとその条件をイギリス領事館や旅行会社等で確認してから申請しましょう。