「稼働」とは”人や機械が働くこと”を意味する言葉です。似た表現に「稼動」や「可動」がありますが、違いが分からないという方もいるでしょう。
この記事では「稼働」の使い方や例文、「稼働率」の計算方法を解説します。くわえて「稼働」の類語・対義語や英語表現も解説しましょう。
「稼働」の意味とは?
「稼働」の意味は「働くこと」「機械を運転する・機械が仕事する」
「稼働」の意味は、“働くこと・機械を運転すること・機械が仕事をすること”です。
どちらも「働くこと」を意味していますが、1つ目は「人」が、2つ目は「機械」が働くことを表しています。たとえば「稼働人口」という使い方の場合、「稼働」は”人が働くこと”を意味します。
「稼働」の読み方は”かどう”
「稼働」の読み方は“かどう”です。「稼」はかせぐ・はたらくの意味をもつ漢字で、音読みで「カ」と読みます。「働」ははたらく・仕事をするの意味を持ち、音読みが「ドウ」です。
「稼働率」と計算方法は?
「稼働率」とは”生産能力に対する実績の割合”
「稼働」を使った言葉に「稼働率」があります。「稼働率」とは”生産能力に対する実績の割合”を意味する言葉で、どれほど効率的に生産されているのかを表します。稼働率が高ければ高いほど、同じ時間のなかで多くの製品を作っていることになります。
計算方法は「生産基準」「時間基準」の2通りある
「稼働率」の計算には”生産基準”と”時間基準”の2通りの方法があります。「生産基準」とは1日で生産する個数を基準にした計算方法です。生産基準で稼働率を算出する場合、「生産実績」を「生産能力」で割ります。
生産実績(その日に生産した数)÷生産能力(1日で生産できる上限の数)
たとえば、1日に5,000個の製品を作れる工場で、ある日の生産数が4,200個だったとしましょう。4,200を5,000で割ると0.84であるため、稼働率は84%であることが分かります。一方で「時間基準」で稼働率を算出する場合、「稼働した時間」を「稼働すべき時間」で割ります。
実際に稼働した時間÷稼働すべき時間
たとえば、1日に8時間稼働すべきところを、6時間しか稼働しなかったとしましょう。6を8で割ると0.75になるため、稼働率は75%となります。
「稼働」と「稼動」「可動」の違いとは?
「稼働」と「稼動」の意味は同じで、違いは人か機械か
「稼働」と「稼動(かどう)」の意味は同じです。どちらも”働くこと”または”機械が仕事をすること”を意味しており、人や機械が仕事をする状況で使われます。違いがあるとすれば使用する対象です。
「稼働」の”働”には「にんべん」が加えられていることから「人が働く」状況で使われ、「稼動」は”機械が働く”状況で使われます。「なにが働くのか」によって使い分けがあるものの、実際には人間と機械の両方が働いていたり、どちらが働いているか判断しづらかったりするため一般的には「稼働」が使用されます。
- 稼働…人間が働くことを表す。一般的には「稼働」を使用。
- 稼動…機械が働くことを表す。
「可動」は”動かせること”という意味
「稼働」と「可動(かどう)」は意味が異なります。「可動」とは”動かせること”や”動く仕組みになっていること”を意味する言葉です。「稼働」のように”働くこと”を意味するのではなく、「動くこと」を意味するという違いがあります。
- 稼働…働くこと。機械を運転すること。機械が仕事をすること。
- 可動…動かせること。動く仕組みになっていること。
「稼働」の使い方と例文とは?
「稼働開始」や「稼働中」のように使う
「稼働」は”稼働開始”や”稼働中”のように使います。「稼働開始」とは”働き始めること”を意味する言葉です。機械が動き始めることを表すことが多く、「システムの稼働開始日」や「工場の稼働を開始する」のように表します。
一方で「稼働中」は”働いている最中であること”を意味します。「稼働中の工場」や「現在稼働中」のように使いましょう。
- 来年の7月末に稼働開始を予定している。
- 稼働中に不具合が見つかった場合、全てのシステムが停止する。
「稼働」を使った例文
- 設備も人員も整っていないなかで、これだけ稼働しているのが不思議だった。
- 稼働率が高いほど、生産性があがって収益が増えるのだ。
- 本格稼働に向けて、微調整が行われた。
「稼働」の類語・対義語とは?
「稼働」の類語は「労働」「作動」
「稼働」と似た意味をもつ言葉(類語)には“労働”が当てはまります。「労働」とは”体を使って働くこと”を意味する言葉です。「稼働」と「労働」は”働くこと”という意味が共通しているため、類語に適しています。
ただ、「労働」は人が働くことを表すため、「稼働」のように機械に対して使用することはできません。機械が働くことを表したい場合は、”機械の運動部分が働くこと”を意味する「作動」へと言い換えてみましょう。
- 労働…体を使って働くこと。
- 作動…機械の運動部分が働くこと。
「稼働」の対義語は「休止」
「稼働」の対義語には“休止”が当てはまります。「休止」とは”休むこと・動きが止まること”を意味する言葉です。「稼働」の”働くこと”という意味と反対に、「休むこと」を表すため、対義語に適しています。
- 製造設備の稼働を、休止せよとの命令が下った。
- 休止状態になってしまっては、やることが何もない。
「稼働」の英語表現とは?
「稼働」は英語で”Operate”
「稼働」の英語表現には“Operate”が適しています。「Operate」とは”(機械などが)稼働する”や”(会社などが)活動する”ことを意味する単語です。たとえば「稼働開始」を表したい場合”Start of operation”となります。
ただ、「Operate」は”機械が動くこと”を意味するため、”人が働くこと”を表したい場合は「Work」を使いましょう。
「稼働率」は”Operation rate”と表す
「稼働率」の英語表現には“Operation rate”が適しています。「稼働」を意味する「Operation」に”比率・割合”を意味する「Rate」を加えることで「稼働率」を表せます。
- Below average operation rate.
意味:平均稼働率を下回る。
まとめ
「稼働」とは”働くこと”や”機械が仕事をすること”を意味する言葉です。「稼働」と「稼動」の意味に違いはないものの、「稼働」と「可動」は意味や使い方が異なるため注意が必要です。
「稼働」以外の表現を使いたい場合は、類語の「労働」や「作動」へと言い換えてみましょう。
稼働