「タブー」の意味や類語とは?使い方・由来や日本での例も紹介

「タブー」というカタカナ語を知っている人は多いでしょう。日常会話や映画・楽曲のタイトルによく使われています。しかし、本来の意味や由来を把握している人は少ないのではないでしょうか。タブーの意味や類語、日本における代表例をご紹介します。

「タブー」の意味とは?

「タブー」の意味とは”善悪などを区別し接触を禁ずる概念”

「タブー」の意味は、“神聖なものと不浄なもの・善いものと悪いものなどを区別し、触れたりかかわったりすることを禁止する概念”のことです。タブーを破ると神や精霊などの神秘的なものから制裁を受ける場合もあります。

「悪いもの・悪い行動なので禁止する」という意味しかないと誤解されることが多いようです。しかし「タブー」は区別する概念ですので、対象は悪いものとは限りません。「神聖な動物なので、人が食べることは禁止されている」のように、善いものを対象にすることも「タブー」に含まれます。

日常的に用いられる「タブー」の意味は”習慣的に避けること”

日常的に使われる「タブー」の意味は“法律などによる制限はないが、習慣的に避けたり禁止したりすること”です。「部長の前で髪の話はタブーだ」のように、日常的な事柄にも使用されています。本来の意味とは違っていますが、辞書にも掲載される意味のため、使用を避ける必要はありません。

「タブー」の由来はポリネシア語の”tapu”

「タブー」の由来はポリネシア語の”tapu(タブ、またはタプ)”だと言われています。ポリネシア語は、オセアニアにあるポリネシアで使われる言語です。

「tapu」が英語圏に持ち込まれた際、似た概念の単語がなかったことから意味が変化していったと考えられています。なお、英語の場合、タブーのスペルは「taboo」です。会話の中でも「禁止されていること・行ってはいけない発言」に使われているようです。

「タブー」の使い方や特徴とは?

「タブー」は神話・言い伝えで禁止されたことに使う

「タブー」は、神話や言い伝えなどで、古くから禁止されている事柄に使われます。例えば、宗教施設への立ち入りや、飲食の内容を制限されるなどのタブーがあります。地域や信仰によって大きく差があるため、知らない土地へ旅行する際は注意が必要です。

例文
  • 清浄さを維持するため、儀式を済ませた人以外は聖域へ近寄ってはいけないというタブーがある。
  • たとえ観光客であろうと、タブーを破ることは許されない。

特定の集団だけで習慣的に避けていることも表現する

神話や言い伝えとは関係なく、習慣的に避けることも「タブー」で表現されます。会社や家族などの小さい集団内だけの事柄にも使えます。

例文
  • 3年前に退職したAの話は、今でもタブーのままだ。
  • 結婚式のスピーチを考えていたのだが、タブーの表現が多いせいで、なかなか完成せず困っている。

日本での代表的な「タブー」とは?

縁起の悪い言葉・数字を「タブー」として避ける

日本では縁起の悪い言葉・数字を一部の場面で使うことが「タブー」だとされています。縁起が悪い言葉を表すのが「忌み言葉(いみことば)」、数字を表すのが「忌み数(いみかず)」です。

特定の場面でのみタブーだとされる言葉もあるため注意が必要です。例えば「度々」は、繰り返すことを避けたい場面(結婚式など)では、忌み言葉だとされます。

忌み言葉・忌み数の例
  • 結婚式の例
    切れる、短い、分ける (離婚を連想するため)
  • 葬式の例
    ご生存中、4 (生死に関わる表現のため)
    ますます、またまた (繰り返される印象があるため)

タトゥー(入れ墨)をタブーに感じる人が多い

日本で根強いタブーとして避けられているのが「タトゥー(入れ墨)」です。法律で禁止されてはいませんが、多くの温泉やプールで利用が断られます。犯罪者を連想して怖いと思う人が多いのが理由だとされています。

海外からの観光客は、日本でタトゥーを否定されてとまどうことがあるようです。ファッションや伝統文化として、タトゥーをポジティブに捉えることが広まりつつあるためです。世界的なスポーツの大会などで観光客が増えることが予想されるため、タトゥーに対する考え方の違いが事件やトラブルにつながる可能性もあります。

「タブー」は人々の考えが変わると変化する

長い年月は必要ですが、一度浸透した「タブー」は人々の考えに合わせて変化することがあります。そのため「以前調べたから大丈夫」ではなく、定期的に調べ直す必要があるでしょう。

先ほどご説明したタトゥーをタブーだとする考えも、海外と比べると遅れているものの、少しずつ軟化しつつあるようです。他にも、人権や個性に対する考え方の変化に伴って、タブーも変化しています。

「タブー」の類語とは?

「タブー」の類語は”禁忌・禁句”

「タブー」の類語は“禁忌・禁句”です。「禁忌(きんき)」の意味は”習慣的に禁止したり、嫌って避けること”です。「タブー」の日本語訳に使われることもあります。

「禁句(きんく)」は”使用を避ける言葉や話題”という意味です。相手の気持ちに配慮して避ける際に使われます。

まとめ

「タブー」の本来の意味は、神聖なものや不浄なものなどを区別し、接触を禁ずることです。しかし、日常的にはもっと気軽に、習慣的に禁止されることにも使われます。

国や地域によって「タブー」の内容は変わります。詳しくない場所へ旅行や出張に行く際は、現地のタブーを破らないよう注意しましょう。