最近、若い層の人を中心に、「なので」を文頭の接続詞として使う人が増えています。また、ビジネスメールで「なので、~です」と「なので」を使うことも増えています。
年代によっては昨今の「なので」の使い方に違和感を覚える人も多いようです。「なので」の正しい使い方について紹介しますので、参考にしてください。
「なので」の敬語表現や意味は?
そもそも「なので」とはどのような意味なのでしょうか?
「なので」の敬語は「ですから」「ですので」
「なので」の敬語表現は、「ですから」「ですので」です。
「なので」には丁寧な表現が含まれていないため、敬語で使う場合は「ですから」や「ですので」に言い換えて丁寧語にします。のちほど例文とともに具体例を紹介します。
「なので」は「だから」と同じ意味
「なので」の意味は、「あとに述べる事がらが結果・結論となることを示す」です。接続詞「だから」と同じ意味です。
古くは「なので」は、断定の助動詞「だ」+接続助詞「ので」の2つの語が連結した「連語」とされており、接続詞としては認められていませんでした。連語とは、2つ以上の単語が連なり、1つの単語と似たような働きをもつ単語のことです。
「なので」は次のように用います。
- 「私は地方出身なので、標準語が苦手です。」
- 「野菜は栄養が豊富なので、毎日食べるようにしましょう。」
「なので」は接続詞ではないが使用は問題ない
従来の文法では「なので」は接続詞とされていませんでしたが、近年は接続詞の現代用法として、辞書などで解説される事例も出てきました。次のような使い方です。
- 「昨日は遅くまで残業をした。なので、今朝は寝坊をしてしまった。」
- 「デスクワークは運動不足になりがちです。なので駅まで歩くようにしましょう。」
ある程度の年代以上の層では、文頭に「なので」がくる使い方は違和感を覚える人が多いのですが、一般に広まってきたことから、言葉の使い方の定義が変わってきているものと考えられます。
また、新しい用法として紹介されてはいるものの、好ましくないとされている場合もあるため、文頭に接続しとして使う「なので」は、用法が定まるまでは、話す相手や状況によって考慮が必要な言葉だといえるでしょう。
「なので」はビジネスで使える?
「なので」はビジネスで使わない
「なので」を敬語で使うには「ですので」に言い換える必要があり、さらに「なので」はカジュアルな口語表現であるため、ビジネスシーンにはふさわしくありません。のちほど説明する言い換えの表現を参考にしてください。
「なので」は履歴書でも使用しない
また履歴書や職務経歴書などでも説明文に「なので」を入れてしまいがちですが、口語表現である上にカジュアルな表現であるため、ふさわしくありません。次の例文のように「そのため」を使うことをおすすめします。
留学経験者なので、英語は得意です。 ⇒ 海外留学経験があります。そのため英語は得意です。
「なので」の文語での言い換え方
ビジネスシーンの書き言葉で使える言い換えの表現を紹介します。
文語での言い換え表現①「したがいまして」
- 座席は自由なので、好きなところをお取りください。 ⇒ 座席指定はございません。したがいまして、自由に席をお取りいただけます。
文語での言い換え表現②「そのため」
- 必須項目が無記載なので、無効となります。 ⇒ 必須項目の記載がありません。そのため無効とさせていただきます。
「なので」の口語での言い換え方
ビジネスシーンの話し言葉で使える言い換えの表現を紹介します。
口語での言い換え①「ですので」
- 会議の開始時間なので急いでください。 ⇒ 会議の開始時間ですので、お急ぎくださいませ。
口語での言い換え②「ですから」
お疲れのようなので、休憩時間を取ります。 ⇒ お疲れのようですから、休憩時間を取りたいと存じます。
「ですので」と「ですから」の違い
敬語で使うには「なので」を「ですので」や「ですから」に言い換えると説明しましたが、これらの言葉にはニュアンスの違いがあります。状況によって適切な表現ができるよう、例文とともに説明します。
「ですので」は柔らかい状況説明
「他の方にご迷惑ですので、喫煙はお控えください」と言う時は、他の方に迷惑がかかる状況を曖昧に表現しているといえます。
「明日は休日です。ですので、出勤はできません」という自分の状況説明についても、「ですので」を使うことによって柔らかい表現にすることができます。
「ですから」はその理由が断定的
「隣の方にご迷惑ですから、喫煙はお控えください」と言う時は、迷惑をかけていることを明確に指摘する表現となります。
「明日は休日です。ですから、出勤はできません」とすると、曖昧さが無くなり、断固として出勤しません、というかたくなな表現となります。明確に意思を伝えたい場合に用いるとよいでしょう。
まとめ
「なので」は、カジュアルな口語表現として「だから」と同じ意味で用いられる言葉です。文頭に使う用法はのぞましくないものの、間違いではないという見解も出ています。
また、ビジネスシーンや履歴書などでの文語表現では、他の表現に言い換え、さらに状況に応じて、言い換え方の配慮も必要でした。
普段、何気なく使っている言葉でも、受け取る側によって印象が大きく変わることがあります。あれ?と思う経験があったら、ぜひその言葉の使い方を点検してみることをおすすめします。