確定申告や年末調整のときに保険の控除証明書を添付しますが、「国民健康保険の控除証明書が見つからない」と言って焦ったことはありませんか。それもそのはずで、国民健康保険の控除証明書はありません。それではどのように申告すればいいのでしょうか。
今回は、国民健康保険の控除の申告方法などについて解説します。
国民健康保険の控除証明書は確定申告に必要か?
そもそも国民健康保険に控除証明書はない
生命保険料の控除を受けるために、確定申告や年末調整において、年間に支払った保険料の総額を証明するための「控除証明書」を添付します。
国民健康保険も保険のひとつなので控除証明書を添付しなくてはいけないと考えてしまいがちますが、国民健康保険には控除証明書はありません。またその代わりとなる書類もなく、国民健康保険の納付額を証明するために添付する書類はありません。
確定申告には国民健康保険の納付証明書で納付額を確認
確定申告の際に国民健康保険の年間の納付額を証明するための書類はなく、確定申告の申告書に年間の納付額を記入するだけです。
国民県保健の納付額を確かめるためには、国民健康保険の「納付証明書」を参考にするのが便利です。納付証明書は1年間に納付した国民健康保険料の合計額を証明する書類で、自治体から送付されます。
他の控除証明書は確定申告の際に添付書類台紙に添付して提出しますが、国民健康保険の納付証明書は添付する必要はありません。
国民健康保険の納付証明書は1月~2月頃に送付される
国民健康保険の納付証明書ははがきで、自治体より1月~2月頃送付されます。また証明書の表題は「お支払い済み額のお知らせ」や「年間納付額のお知らせ」など自治体によって異なります。
一方、自治体によっては納付証明書を送付しませんので、納付書がない場合には確定申告で納付額を記入する場合は領収書や口座振替から納付額を計算します。
納付証明書は大切に保管
国民健康保険の納付証明書のなど保険関連の書類に決まった保管期間はありません。しかし年金の受理までは保管しておいた方がいいとされていますので、長期間になりますが大切に保管しておきましょう。
納付証明書の再発行は行政に依頼
もしも納付証明書を失くしてしまっても、管轄する行政の国民健康保険課など国保を扱う課で再発行してもらえます。再発行の申請の手続きは、窓口や郵送、行政によっては電子申請ができるところもあります。
国民健康保険と似ている?国民年金の控除証明書とは
確定申告に国民年金の控除証明書は必要
確定申告の際に国民健康保険の証明書が必要だと勘違いしやすい理由に、確定申告で添付する書類のひとつに国民年金の控除証明書があるからのようです。
控除証明書は各種保険料を支払えば発行される書類で、国民年金もその例外ではありません。しかし国民年金と国民健康保険が混合されてしまい、国民健康保険にも控除証明書があるかのように思い込んでしまうために、確定申告前に「国民健康保険の控除証明書がない」と慌ててしまうことが多いようです。
国民健康保険には控除証明書はなく、納付証明書があっても確定申告の際に添付する必要はないことを覚えておきましょう。
国民健康保険の控除とは?
国民健康保険は公的医療保険のひとつ
国民健康保険は公的医療保険のひとつで、自治体によって運営されています。もう一つの公的医療保険に社会保険がありますが、国民健康保険は社会保険に加入していない人や加入できない人が加入できる保険です。
主な加入者は自営業者や無職の人などで、医療費の自己負担は通常3割ですが、3歳未満の人は2割、70歳以上は1割です。
国民健康保険料は社会保険料控除として申告できる
確定申告をして国民健康保険料を申告すると、収入から保険料額を差し引かれます。この収入から保険料が差し引かれることを「社会保険料控除」と言い、社会保険料が控除されることで収入が目減りして、それをもとに所得税や住民税が計算されるので控除前よりも税額が低くなります。
国民健康保険以外にも、国民年金保険料や厚生年金保険料、介護保険料なども社会保険料控除として申告できます。
年末調整でも国民健康保険の控除ができる
国民健康保険の控除を受けるために確定申告をしなくてもいいケースがあります。それは、勤め先が年末調整で国民健康保険料を社会保険料控除として申告する場合です。
ただし申告できるのは実際に国民健康保険料を支払った人です。納付義務が世帯主だったとしても国民健康保険をその配偶者や子供が支払った場合には、国民健康保険料を支払った人が申告できます。
その支払った人が勤務先で年末調整ををしてもらえるならば確定申告は必要ありません。しかし年末調整をしなければ、本人が確定申告をして国民健康保険の控除を受けられます。
まとめ
国民健康保険に控除証明書はなく、確定申告や年末調整では申告書類に納付した年間の国民健康保険料を記入します。また保険料の証明書類として提出する書類もありません。一方、国民年金などの他の保険では、支払った保険料の証明として控除証明書を添付する必要があります。