「転ばぬ先の杖」の意味と使い方は?類語と反対語も例文つきで説明

現役で仕事をしていても、「転ばぬ先の杖」として別のエリアで資格やスキルを修得している人もいるのではないでしょうか?

ここでは「転ばぬ先の杖」ということわざを取り上げて、意味と使い方、類語や反対語をわかりやすい例文を使って説明しています。日本人の習慣をも表す言葉「転ばぬ先の杖」を深堀してみましょう。

「転ばぬ先の杖」とは?

子供から大人まで親しみのあることわざが「転ばぬ先の杖」です。正しい意味と使い方を改めて確認してみましょう。

意味は「万が一のための準備のこと」

「転ばぬ先の杖」の意味は、「万が一のために準備をしておくこと」です。失敗をしないように、前もって用心をすることを例えたことわざです。険しい山道を行く登山者でも、足元の先を行く「杖」があれば、たとえ転んでしまっても自分を支え立ち上がることができます。逆を言えば、転んでから杖を探しても意味がないということでしょう。

このことわざから学べべきこと、それは「事前に準備をしておくことの重要性」です。人生には大小に限らず「危険」はどこにでも潜んでいるもので、回避するためには「事前準備」「対処方法」を明確にしておくことが大切であるということなのです。

ビジネスでも役立つ「転ばぬ先の杖」

「転ばぬ先の杖」という例えは、ビジネスにおいても重要な概念です。たとえば、準備をしっかり行ってから取引先を訪問するのと、取引先についてからバタバタと準備を始めるのでは雲泥の差があります。

ビジネスで成功をしたいなら「失敗をしないようにすること」は大前提です。もちろん、失敗を恐れていては何もできないという意気込みは必要になりますが、下調べを入念に行ったり、関係データを事前に収集したりなど「事前に準備すること」は成功につながる大きな要素として外すことはできないでしょう。

「転ばぬ先の杖」を実践していくことで失敗の回数が減れば、おのずと成功の数が増えてきます。どのような職種で業務であれ、心に留めておきたい心得が「転ばぬ先の杖」なのかもしれません。

「転ばぬ先の杖」の類語と反対語

続いて「転ばぬ先の杖」の類語と反対語について紹介します。

類語は「注意を払う」「気に留める」

「転ばぬ先の杖」つまり「ものごとに対し気を払う」の意義を持つ類語は「注意を払う」「気に留める」「留意する」「用心する」「警戒する」「心がける」などです。どれも同じような意味を持ちますが、状況に応じて使い分けると、ささいな違いを表現することができます。

  • 用心をすることに、越したことはない。
  • 念のため、再三の戸締りを心がけよう。

似た意味のことわざは「濡れぬ先の傘」

「転ばぬ先の杖」と同じような意味を持つことわざには「濡れぬ先の傘」「石橋を叩いて渡る」」「念にな念を入れよ」「石橋を叩いて渡る」「用心に怪我なし」などがあります。

「転ばぬ先の杖」に最も近い意味で使われるのが「濡れぬ先の傘」でしょう。たとえ晴れの日でも傘があれば、突然のにわか雨はでも濡れることはありません。「石橋を叩いて渡る」は固く丈夫な石橋でさもえ叩いて渡ることです。途中で落ちることのないよう念押しをしているのです。

ちなみに「注の意を払う」「気を付ける」という意味のことわざが日本に多いのは、物事に注意深い日本の国民性にあると言われています。

反対語のことわざは「渇して井を穿つ」

「転ばぬ先の杖」の反対語は「渇して井を穿(うが)つ」「盗人を見て縄を綯(な)う」「敵を見て矢を矧(は)ぐ」などがあります。

それぞれの意味は「渇して井を穿つ=喉が渇いてから井戸を掘りあてても遅いということ」、「盗人を見て縄を綯う=泥棒を捕まえた後で縄を綯っても意味がないということ」「敵を見て矢を矧(は)ぐ=敵を確認してから矢に矢場をつけても、その間に敵は逃げてしまうということ」です。

どの反対語も準備をしていないがために、失敗に終わるさまを表しています。時すでに遅しです。

「転ばぶ先の杖」を英語で表現すると?

英語でコミュニケーションをする時は、ぜひとも「ことわざ」を取り入れてみましょう。

「Look before you leap」の定型文で表現

英語で「転ばぬ先の杖」は定型文「Look before you leap」です。「leap」は「跳ぶ」「ホップする」の意味で、「前方を確認せず、跳ばないこと」「飛ぶ前に、前を見なさい」を意味する言い回しです。他に「Prevention is better than cure=予防は治療に勝る」も同じ意味で使われています。

ことわざ全体としては「何かを始める時は、事前に準備を怠らないこと」というニュアンスが強いです。英語圏でも両親が子供に対して告げたり、上司が部下に釘を指すシーンで使われることが多いですが、一般的には「よく注意するように」という概念で放たれる言葉でもあります。

職場で使える英会話例

同僚や仲間を思うからこそ伝えたい心得が「Look before you leap」です。職場でも使ってみましょう。

  • I know you have no fear, but you should look before you leap.
    怖いもの知らずなのは分かっているけど、転ばぬ先の杖と言うではないか。
  • Remember? Look before you leap when you start arguing with the client, you stay calm.
    転ばぬ先の杖だよ。クライアントと言い合いになったら心を落ち着かせるように。(心の準備をしておこう、という意味)

 まとめ

「転ばぬ先の杖」は「失敗をしないように、事前に用心をしておくこと」という意味のことわざです。類語には「濡れぬ先の傘」「石橋を叩いて渡る」などがあり、言葉を告げる相手や状況によって言い換えもできるでしょう。

また、職場においては会議の資料を参加人数より多めに準備しておいたり、現行の取扱商品に代わる新アイテムを早めに探しておくことも「転ばぬ先の杖」だと言えます。ぜひ、抜かりのないビジネスパーソンとして「転ばぬ先の杖」を実践してみましょう。