「立つ鳥跡を濁さず」の意味と由来を例文で解説!類語や対義語も

誰かがその場所を放れる時、人は「立つ鳥跡を濁さず」という言葉を放つことがあります。一体、どのような意味が込められているのでしょうか?

ここでは「立つ鳥跡を濁さず」の意味と使い方を中心に、類語と反対語、言葉の由来について解説をしています。鳥から学ぶ人生の秩序についても紹介します。

「立つ鳥跡を濁さず」の意味・読み方・由来は?

社会一般的に使われる頻度の高いことわざの一つが「立つ鳥跡を濁さず」です。まず、意味とことわざの由来から見ていきましょう。

「立つ鳥跡を濁さず」の意味は「後始末をする鳥の行動」

「立つ鳥跡を濁さず」の意味は、「後始末をする鳥の行動」です。水鳥が水辺を綺麗なままにして飛び立ったことから「ある期間を過ごした場所、また立ち寄った場所は、綺麗に残したまま去ろう」ということを指したことわざです。

読み方は「たつとりあとをにごさず」

「立つ鳥跡を濁さず」の読み方は「たつとりあとをにごさず」です。念の為「たつとり」のあとに「は」が入ったり、「にごさず」を「にごさない」と読まないようにしましょう。

「立つ鳥跡を濁さず」の由来は水鳥の秩序溢れる行動

「立つ鳥跡を濁さず」の鳥は「水鳥」のことを指しています。水鳥は池や湖に飛来し、一定期間を過ごすと次の場所へ羽ばたく習性がありますが、水鳥が去った後、草花やエサなどが散乱した形跡もなく、水辺の様子が何とも美しいかったそうです。水鳥の秩序溢れる行動こそが、ことわざの由来そのものとなっています。

「立つ鳥跡を濁さず」の類語・対義語は?

続いて「立つ鳥跡を濁さず」の類語とと似たことわざについて解説します。

類義語は「原状回復」

「立つ鳥跡を濁さず」の類語にはものごとを元の状態に戻すという意味で「原状回復」「原状復帰」「もとに戻す」「もと通りにする」などが挙げられます。

  • 荒れ放題の部品倉庫は、元通り原状回復が必要だ。
  • パーティの後はゴミ拾いを徹底して、部屋を元通りにしよう。

対義語・反対語は「後ろ足で砂をかける」

「立つ鳥跡を濁さず」は広い意味で周囲に迷惑をかけないと解釈することができます。その反対の意味を考えれば「後ろ足で砂をかける」が反対語にあたるでしょう。

  • 転職をする時は、後ろ足で砂をかけるような真似だけはするな。
  • 後ろ足で砂をかけるような行為は、ビジネスでは絶対ご法度である。

「立つ鳥跡を濁さず」の3つの状況

人生の中で「立つ鳥跡を濁さず」を実践するべきステージはいくつかあります。中でも人生の大きな部分ともなる「仕事」「退職」「恋愛」におい、て去る時にするべきことを考えてみましょう。

状況①「仕事」における転勤と転職

会社に勤めていると別の部署へ配置転換があったり、他支店に転勤ということもあるでしょう。その時は、使っていた机の整理、上司や後輩への挨拶、取引先への連絡と後任の紹介など、たくさんの業務を綺麗に片づける必要があります。やり残している仕事はないか、未提出の書類はないかなど、身辺整理をできるだけ早めに行い、周囲に迷惑をかけないように心がけることが大切です。

また、転職の場合は引き継ぎ業務や借りているパソコンや制服などの返却などを忘れないようにしましょう。新しい職場に移動した後に、やっかいなトラブルで呼び出しがかからないよう気を付けて下さい。

状況②「退職」における次の人生への旅立ち

「退職」は次の人生へとシフトをする時期です。退職においても「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、職場での身の回りの整理を少しずつ始めていきましょう。

また、退職の場合は今までお世話になった人々に改めて感謝する時です。社長はもちろん、取引先や下請けの関係者などに挨拶の言葉を告げ、新たな出発への心の準備を始めていきましょう。

状況③「恋愛」における新しい恋への出発

恋愛における「飛ぶ鳥跡を濁さず」にも深い意味が見え隠れしています。数多くの思い出をシェアしたパートナーと別れるのは、たとえどのような状況であっても容易なものではありません。しかし、新しい恋へと出発するのなら、今までお付き合いをしていた相手との思い出も綺麗に整理する必要があります。つまり、それは思い出の品を処理するということではなく「気持ちの整理をする」ということです。

気持ちを整理するということは、相手への憎しみや苦々しさをできるだけ捨て、気持ちをまっさらな状態まで持っていくということでもあります。清い気持ちで新しい恋に出会えるようにフィルター期間を置くようにするとよいでしょう。

「立つ鳥跡を濁さず」を使った例文5選

あらゆるシーンで使われる「立つ鳥跡を濁さず」の例文

あらゆるシーンの「最後の場面」であり「新たな出発」を意味する「立つ鳥跡を濁さず」の例文を見てみましょう。

  • 退職を迎えた上司の机には何も残されておらず、まさに立つ鳥跡を濁さずでだった。
  • 立つ鳥跡を濁さずのたとえに従い、公衆トイレの使い方も学ぶべきだ。
  • 新しい新居に移る姉の部屋はすっからかんで、立つ鳥跡を濁さず状態であった。
  • 立つ鳥跡を濁さずは、マナーや秩序の原点ではないか?
  • Aさんは移動が決定した途端、立つ鳥跡を濁さずとばかり身辺整理を始めた。

「立つ鳥跡を濁さず」の英語と中国語

最後に「立つ鳥跡を濁さず」の英語と中国語での表現を紹介します。

英語では「It’s an ill bird that fouls its own nest」

英語で「立つ鳥跡を濁さず」にストレートに当てはまる言葉はないかもしれません。しかし、近い言葉として「身の回りを汚すものは、愚か者である」という意味で「It’s an ill bird that fouls its own nest=悪い鳥は自分の巣を乱す」があります。

文化の違いからピッタリな英語表現はありませんが、「飛ぶ鳥跡を濁さず」が言わんとするマナーは世界共通です。

中国語では「好来不如好去」

中国語で「立つ鳥跡を濁さず」は「好来不如好去(hǎo lái bù rú hǎo qù)」です。お隣中国でもマナーや秩序を表す成語として意味を成す言葉です。

まとめ

「立つ鳥跡を濁さず」は「時間を過ごした場所や立ち寄ったら、綺麗な状態で去りましょう」という意味を持つ、人生での秩序を問うことわざでもあります。

また、人生で仕事、退職、恋愛においては去り際が肝心です。いずれのシーンでも「立つ鳥跡を濁さず」の精神を忘れず、周囲に迷惑をかけないように心がけるようにしましょう。