「ハニートラップ」という言葉を聞いたことがありますか?直訳すると「ハチミツの罠」となりますが、実際はどのような意味なのか、よくわからない人もいると思います。
「ハニートラップ」は政治家はもちろん、一般的な企業に勤める人も注意したい「罠」ですが、ここでは意味をはじめ、実際にあった事例や類語などについてご紹介します。
「ハニートラップ」とは?
「ハニートラップ」の意味は”色仕掛けの甘い罠”
「ハニートラップ」の意味は、“色仕掛けで相手に迫る甘い罠”のことです。相手の秘密や機密情報など、通常の会話では入手できない情報を聞き出すために、色仕掛けで相手を誘惑することを表します。
「ハニートラップ」は、主に女性が男性を色気を使って気を緩ませ、情報を入手する時に使われますが、その逆のパターンも存在します。
「ハニートラップ」は政治家や軍関係者がターゲット
「ハニートラップ」は政治家や軍の関係者をはじめ、企業での有力者、技術開発者などに対して実行されることが多いと言われています。言ってみれば「スパイ活動」で使われる「色気をふんだんに使った甘い罠」を指します。
つまり、色仕掛けで相手の意思を狂わせ、ガードを緩めさせるのが「ハニートラップ」の目的です。また、それ以上に相手の弱みを握ることで、自分や自分のチーム(グループ)の立場を優位に立たせたりことが「ハニートラップ」の最終的なゴールとなります。
「ハニートラップ」は英語の”honey trap”
「ハニートラップ」とは、英語の”honey trap”を語源に持ちます。英語の「honey trap」も、”甘い罠”と意味で、日本語と同じようなニュアンスで使われています。
英語圏でも、突如として目を疑うような美しい女性が目の前に現れたり、出会って間もないのに交際を迫られたりした時にに「ハニートラップだから危険だ」「ハニートラップに注意した方がいい」と言った言い回しで使われます。下記で英語例文を挙げてみます。
- It must be a dangerous honey trap : 危険なハニートラップに違いない。
- Watch out. It’s just a honey trap : 気を付けて。それは単なるハニートラップだよ。
「ハニートラップ」の事例とは?
「ハニートラップ」の事例は一般企業でも見られる
「ハニートラップ」の事例は、政治や軍事の世界だけではなく、芸能界や一般企業でも見受けられます。一般企業で実際に起こっている「ハニートラップ」は、「出世」や「社内派閥」が絡んでいるケースが多いです。
また、あえて妻帯者を狙ったり、公認の恋人がいる人を選んだりします。相手の弱みを握って、自分を優位に立たせるために、色気を使って甘い罠へと導いていきます。
「ハニートラップ」で退職に追い込まれる
たとえば、こんな事例があります。
社内で対立している部署に所属する女性が、敵対関係にある部署の課長に「相談があるから聞いて欲しい」と個人的なメールを使ってお願いをしたそうです。その女性は社内でも縒り抜きの美人で、誰もが憧れるような存在だったと言います。
「二人きりで話がしたい」というため、洒落た店を選んで待ち合わせをしたそうです。その後、お酒を飲みたいという彼女のためにバーへと足を運び、話を聞いてから解散しました。
「ハニートラップ」で偽の証拠が拡散
翌日の社内メールに送られてきたのは、二人が寄り添い楽しそうに食事をしている写真でした。しかも、コメント欄には「二人の熱い夜」と書き込まれていたのです。
妻帯者であるその男性は血相を変えて事情を説明しましたが、その女性が「強引に誘われた」と言い張りました。結局、ことの真実が告げられぬまま、その男性は退職へと追いやられてしまったそうです。愛妻家で知られる男性としても、居心地が悪くなってしまったのでしょう。
「ハニートラップ」はどう対策する?
「ハニートラップ」の対策は”近づき過ぎない”に限る
「ハニートラップ」の最も効果的な対策は「近づき過ぎない」ことです。いくら、手の届かないような女性が現れても、また真剣な交際を迫られても、現れて間もない女性には、まず距離を置くべきでしょう。二人きりで会ったりするのは避け、個人的に感情を輸入するのもグッとこらえるべきです。
しかし、「ハニートラップ」は、よく知る女性に対しても同様の注意が必要です。幾分、心を許しがちですが、ほどよい距離を置きながら、心地よい人間関係を上手に保っていくようにしましょう。
とにもかくにも「ハニートラップ」の弱点は、あまりにも甘い密に自分を忘れて夢中になってしまうことです。色仕掛けで迫る女性に我を失ってしまうため、自己コントロールができなくなる可能性があります。
「ハニートラップ」の原因をもとから作らない
「ハニートラップ」の最大の対策は「相手と近付きすぎない」、つまり、その原因をもとから作らないことです。普段は口を堅く結んでいても、色仕掛けに負けて何でも話してしまっては相手の思うつぼとなってしまいます。
たとえ「冷たい人」と思われても、一線を越えないことが大切です。一般企業で「ハニートラップ」にかかってしまうほど、厄介なトラブルはありません。
「ハニートラップ」の類語とは?
類語①「美人局」とは男女が共謀して脅かすこと
「美人局(つつもたせ)」とは、夫婦や内縁などの男女が相手を恐喝する「詐欺的な行為」のことを意味します。たとえば、男性が恋人や妻に頼んで、他の男性を誘惑させ、それを理由にゆすることを指します。
つまり、内縁の男女や夫婦でグルになって、別の男性や女性を恐喝することを「美人局」と言います。ペアである男女が互いに悪事を示し合わせ、相手を陥れるために片棒を担ぐことを意味するため、あまり良い言葉とは言えません。もちろん、内容によっては詐欺罪や恐喝罪にあたることもあるため注意が必要です。
- 社内で既婚者の女性社員に迫られた。美人局かもしれないから気を付けたい。
- 美人局と疑ってしまうほど、受付の女性は魅力的で艶やかである。
類語②「諜報活動」とは機密情報を得る活動
「諜報活動(ちょうほうかつどう)」とは、重要な軍事・政治用語の一つで、他国の機密情報を入手しようとする活動のことを指します。スパイや工作員などを使って相手国の動きに影響を与えたり、また自国から秘密が漏れないよう防ぐ活動など総称して「諜報活動」と言います。
「諜報活動」でも、いわゆる「ハニートラップ」を仕掛けて、女性が男性を誘惑する場合もありますが、必ずしも全てがそうであるとは限りません。「諜報活動」の場合は、長い期間を設けて相手の内部に潜入し、最終的に求める機密情報を獲得することが目的となります。
- 外国関係が悪化する中、依然として自国への諜報活動は行なわれているようだ。
- 話題の映画で、諜報活動で美しい女性スパイを使うシーンに圧巻した。
まとめ
「ハニートラップ」とは英語の”honey trap”のことで、「色仕掛けで相手をそそのかし、機密情報を入手したり、弱みを握ること」を意味します。言葉そのものが説明するように、異性が相手の色気や艶やかさに負けて陥ってしまう甘い罠こそが「ハニートラップ」です。
「ハニートラップ」は政治家や軍事関係者など、秘密や機密的な情報を持つ人物に対して「色気」を使って実行される落とし穴のことです。しかし、ターゲットとなった人物はそれに気付いていないことがほとんどでしょう。
ハチミツのように甘い蜜を吸っているうちに、うっかりと落ちてしまうのが「ハニートラップ」です。一般的な企業でも、「ハニートラップ」が仕掛けられているかもしれません。ライバルや重要なポジションに身を置く人は、ぜひ注意しましょう。