「一子相伝」という四字熟語を知っていますか?主に学問や技術などを自分の子供に教える時に使われますが、どのような状況で使えばよいのか、よくわからないという人もいると思います。
ここでは「一子相伝」の意味を中心に、使い方の例文や類語、英語フレーズを紹介します。
「一子相伝」の意味とは?
「一子相伝」の意味は”奥義を自分の子供の一人に伝える”
「一子相伝(いっしそうでん)」の意味は、“学問や技術、知識や知恵などの奥義を、自身の子供の中の一人だけに教え伝えること”です。
「一子相伝」とは、自分の子供である一人に、これから代々引き継いでもらうことを視野に「秘密」として伝えることです。そのため、他人には教えず「内緒」にするのが「一子相伝」の意味するところでもあります。
「一子相伝」は家伝の秘密ともいえる
「一子相伝」とは、言い換えれば「家伝の秘」とも言い換えることができます。
たとえば、家伝は他の家族や周囲にもらさないように、大切に秘密を厳守するのが一般的です。そして、他に真似されたり盗まれることなく、代々として後世に受け継いでいくのです。「一子相伝」もそれに似たプロセスと目的があると言えるでしょう。
「一子相伝」の使い方と例文とは?
「一子相伝」は自分の子供以外も対象になる
「一子相伝」が基本的に意味するところは”自分の血がつながった子供の一人に、学問や知識などの奥義を伝えること”です。しかし、広義では自分の部下や教え子など、自分の子供のような存在である人に対しても使われることがあります。つまり、比喩的な意味で「一子相伝」を使う場合です。
たとえば、実験や研究などが日々行われているラボでは、教授にとって同じチームの研究者は子供のような存在でしょう。また、職場では上司にとって部下も、実質的には子供に近い存在の場合もあります。
このように、たとえ血のつながっていなくても、実質的には親子のような関係である場合に「一子相伝」を比喩的な感覚で使うことがあります。心から信頼する「一人」に奥義を伝え、後世につなげてもらうという意図がある場合は「一子相伝」に相当すると言えます。
四字熟語「一子相伝」を使った例文
四字熟語「一子相伝」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 酒造りのプロセスは一子相伝なので、教えることはできません。
- この麺は一子相伝の製法によって作られる。
- 大学の研究所で得た学問は、一子相伝に匹敵する内容だ。
- 営業トップの部長が、その秘訣を一子相伝として部下の私に伝授してくれた。
- 一子相伝とは言わないが、私が築き上げたDIYの技術は、息子に教えておこうと思う。
「一子相伝」四字熟語の類語とは?
類語①「一家相伝」とは”特別な技術や学問を伝えること”
「一家相伝(いっかそうでん)」とは”特別な技法や学問などの奥義を代々伝えていくこと”を意味します。家伝を秘伝の技術や知恵などが一代で絶えないように、大切に後世へと受け継いでいくことを表しています。
「一子相伝」は基本的に”子の一人に伝えること”を意味しますが、「一家相伝」は”一家に伝えること”となります。そのため、家伝や家柄などの「家系」を意識した事柄を、後世に伝えていくというニュアンスが強くなります。
類語②「父子相伝」とは”父が子だけに受け継ぐこと”
「父子相伝(ふしそうでん)」とは、”父が子供に学問や知識などの真髄や極意などを伝えること”を意味します。ここでは「父と子」が対象になるのが特徴ですが、奥義を伝授し、代々受け継ぐことを意図とする点では「一子相伝」と同じです。
空手道場の師範である父から教わった技術や勝利のコツは、まさに父子相伝である。
類語③「奥義秘伝」とは”特別な人だけに伝える秘密や技法のこと”
「奥義秘伝(おうぎひでん)」とは、”特別な人だけに伝える秘密や技法などのこと”を意味します。ごく少数で限られた人だけに伝えるノウハウを表し、簡単に人には教えないような、最も特別で重大な事柄や秘技などを指す言葉です。
経営における奥義秘伝を、世界の成功者から多く学んでいる。
「一子相伝」の英語表現とは?
「一子相伝」は英語で”Skills passed down from parent to child”
「一子相伝」は日本語が持つユニークな言い回しです。そのため、英語でそれに匹敵するフレーズはありませんが、純粋に「Skills passed down from parent to child」または「father to son」「mother to daughter」とすれば、基本的には意味は伝わります。
「秘密のレシピ」という意味の”family recipe”
その他、英語でよく使うフレーズに「family recipe(ファミリーレシピ)」があります。一般的には、家族に代々伝わる秘伝の料理やソースなど「誰にも教えたくない秘密のレシピ」というニュアンスで使われますが、食べ物に限らず技術や手法、また学問に対しても使われます。こちらの方が英語圏では意味が通じやすいかもしれません。
「一子相伝」を使った英語例文
「一子相伝」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。
- このパスタは一子相伝の製法で作られたものです。
This pasta is made by based on skills passed down from father to son. - 一子相伝なので、その工程はあまり教えたくないな。
It’s family recipe, so I really don’t want to tell you how it’s done.
まとめ
「一子相伝」とは”自分の子供の一人に奥義を言い伝えること”を表し、後世に代々として受け継いでもらうために、家伝の秘として教えることを意味する四字熟語となります。
「一子相伝」の類語には「一家相伝」や「父子相伝」などがありますが、どちらも他人には教えない秘密や、極めて特別な事柄を指す時に使われます。
身近な例を挙げれば、ラーメンのスープやそば打ちの技術などは、長年の経験から生み出された極めて特別な知恵や技術がぎっしりとつまっています。そのため「一子相伝なので、教えられません」と言われても、致し方ないのかもしれません。
我が家は100年以上も続く酒蔵ですが、酒造りの技と知恵は一家相伝です。