「モチーフ」の意味と使い方!分野ごとの例文や類語との違いも解説

芸術分野で使われることの多い「モチーフ」ですが、日本語で説明しようとすると、うまく表現できない言葉です。さらに「モチーフ」と「テーマ」や「コンセプト」との違いも曖昧ではないでしょうか。

よく使う言葉でありながら説明が難しい言葉「モチーフ」について、分野ごとの例文もあわせて解説しますので、参考にしてください。

「モチーフ」の意味と語源

「モチーフ」はどこから来た言葉なのかをまず確認してみましょう。

「モチーフ」の意味は「芸術表現をする動機や着想」

「モチーフ」の意味は、「芸術表現をする動機や着想」「音楽を形作る最小単位」です。「装飾芸術における模様を構成する単位や繰り返されるパターン」という意味もあり、分野によってさまざまな意味を持つ言葉です。

また芸術や創作分野の他にも、ビジネスの企画についての議論などで構成要素の意味で「モチーフ」という場合があります。

フランス語「motif」が語源

「モチーフ」の語源はフランス語の「motif」です。「芸術表現などの中心となる思想や動機」「装飾模様を構成する単位」という意味です。ラテン語の「動き」の意味を語源としています。

同じ語源を持つ英語の「motive」は「動機」の意味ですが、芸術作品などの主題を表す時は、フランス語の「motif」が使われます。

分野によって違う「モチーフ」の意味と使い方

分野ごとに異なる「モチーフ」の意味と使い方を例文とともに紹介します。

「美術・文学」における意味と使い方

絵画や彫刻などの芸術作品や文学作品においては、表現や創作の動機となった中心的な思想や、作品を構成する個別の要素のことを指します。あるいは、その作品の主題(テーマ)そのものを指すこともあります。

  • 水玉がモチーフの作家といえば草間彌生である
  • ミケランジェロはモチーフに裸体を見出した
  • ゴッホの作品のモチーフにはひまわりがよく登場する
  • 村上春樹は作品に同じモチーフをくり返し登場させている

「装飾芸術・デザイン」における意味と使い方

装飾やデザインでのモチーフは、模様を構成する単位や、くり返し用いるパターンのことを指します。

  • 幾何学モチーフのアクセサリー
  • 草花や樹木をモチーフとしたウィリアム・モリスの壁紙

「ファッション」における意味と使い方

ファッションでは、デザインの中心を構成する象徴や、模様のことをモチーフといいます。

  • アニマルモチーフのドレスを発表する
  • 蝶をモチーフに使い続けるブランド

「音楽」における意味と使い方

音楽におけるモチーフとは楽曲を構成する最小単位の音のことを指し、「動機」とも呼ばれます。この最小単位の音が集合・反復することで楽曲の旋律が形作られます。

  • モチーフを展開して作曲する
  • モチーフを組み合わせてフレーズを作る

「編み物」における意味と使い方

編み物でモチーフという時は、個々に小さく編んだもののことを指し、それを繋げて作品を作る手法のことを「モチーフ繋ぎ」や「モチーフ編み」と呼びます。

  • モチーフ繋ぎでひざ掛けを編む
  • モチーフ編みのバッグ

「モチーフ」の類語

美術・文学では「題材」「主題」

日本語で説明することが難しい「モチーフ」ですが、分野ごとに共有された概念でもあるため、「モチーフ」を包括して類する言葉は適当なものがありません。しかし、美術・文学においては、「題材」や「主題(テーマ)」が類語になります。

次に「テーマ」と「モチーフ」の意味の違いを説明しますので、ニュアンスの違いを参考にしてください。

「モチーフ」と「テーマ」との違い

作品の主題を語ったり、議論したりするとき、「モチーフ」とともに「テーマ」の言葉が使われることが多くあります。どのように使い分けるべきものなのでしょうか。

「テーマ」の意味は「創作や行動の基調をなす考え」

「テーマ」の意味は「創作や行動の基調をなす考え」「議論の中心的意図」のことです。「主題」とも訳されます。

「日本の美をテーマに写真を撮る」、「この小説のテーマは天使と悪魔です」などと使います。

また、「我が社の今後のテーマは〇〇だ」、「研究開発のテーマを決定する」というように、ビジネスでも使われる言葉です。

「モチーフ」は作品の個々の単位で、「テーマ」は全体を貫く主題のこと

「モチーフ」と「テーマ」の使い分けを具体的に示してみましょう。

  • 「四季折々の風景をモチーフとして、日本の美をテーマに写真を撮る」
  • 「この小説は天使と悪魔をテーマとし、ヨーロッパ中世の風俗をモチーフとして取り入れています」

このように、ある事柄の本質を議論するときには、モチーフは作品を形成する個々の単位のことで、テーマは作品やものごとの全体を貫く主題として語られることが多いといえます。

「モチーフ」と「コンセプト」の違い

それでは「モチーフ」と「コンセプト」の違いはどうでしょうか?

「コンセプト」の意味は「概念」

「コンセプト」の意味は「概念」と訳されますが、ビジネスシーンでは「ものごとの根底にある考え方や視点」という意味で使われます。

「モチーフ」は具体的、「コンセプト」は抽象的

モチーフは形を形成する要素のことで具体的なものですが、コンセプトは作品やものごとの根底を流れる視点という抽象的な概念であるといえます。

次のような言い方ができます。

  • 「「四季折々の風景」をモチーフとして、「日本の美」をテーマに写真を撮っています。コンセプトは「移り変わり」です」
  • 「プロジェクトのコンセプトを共有した上で、必要なモチーフを決定する」

まとめ

「モチーフ」は「表現などの中心となる思想や動機」や「構成する単位」という意味で使われ、芸術や文学においては、テーマと同じ意味で使われることもある言葉です。

ビジネスシーンにおいても、ものごとの本質を議論する時に使われることがある表現です。「モチーフ」を「テーマ」や「コンセプト」といった言葉とあわせて使いこなし、表現力を磨いていきましょう。