「パラダイム」の意味とは?使い方・例文とパラダイムシフトも解説

ビジネス書などで「パラダイム」という言葉を目にしませんか?あるいは会議で「パラダイムシフト(転換)が必要だ!」と議論するのを聞いたことがあるかもしれません。

よく聞く言葉だけれど、わかるようでわからない「パラダイム」について、聞いて意味がすっとわかるように、言葉の起源や背景もあわせて丁寧に解説します。

「パラダイム」とは?

「パラダイム」にはいくつかの意味があります。まず初めにビジネス用語として使われる「パラダイム」の意味と、次にその語源である英語の「paradigm」の意味を説明します。

意味は「ある一つの時代の人々の考え方を根本的に支える概念」

「パラダイム」の意味は、「ある一つの時代の人々の考え方を根本的に支える概念」です。一般的にビジネス用語として使われます。

企業内で一つのパラダイムを思考の前提としたり、共有のイメージとしたりして議論を行ったりします。問題の解決や新しい動きへの意思決定の議論の場では、「パラダイムシフト」という言葉がよく使われます。

パラダイムシフトとは、その共通認識を「革命的に」転換することを意味します。詳しくはのちほど説明します。

パラダイムの起源は「トーマス・クーンの概念」

その概念の起源は、科学史家のトーマス・クーンの書籍『科学革命の構造』にあります。科学理論の歴史的な発展経緯を分析するために考えた概念のことを「パラダイム」としたことが大きく広がりをみせ、のちに一般化されて欧米にその概念が定着しました。

日本でも、自然科学の他に人文科学や社会科学にも大きな影響を及ぼし、現在はビジネス用語としても定着しています。

語源の「paradigm」の意味は別の意味

その語源となった「paradigm」の意味は、「模範・典型」です。日本語で「パラダイム」と言う時は一般的にこの意味では用いられません。

日本語に相当する言葉はない

パラダイムとは「ある一つの時代の人々の考え方を根本的に支える」という意味の概念です。また、科学分野で用いられていた概念が、その後、一般的な意味として広まったものであることや、発想の転換を説明するときに古い発想のことを指してパラダイムと言ったりする解釈が広まったことなど、幅広い意味に対応する言葉でもあります。

そのような理由から、一言で日本語に翻訳することが難しいため、パラダイムに相当する日本語はないといえます。

「パラダイムシフト」とは?

パラダイムシフトの意味は「共通認識が転換すること」

パラダイムシフトとは、その時代に当然とされていた考え方や価値観などが、革命的に変化することをいいます。

パラダイムシフトは英語で「 paradigm shift」と書き、「パラダイム転換」と言う場合もあります。また、パラダイムチェンジも同じ意味で使われます。

トーマス・クーンがパラダイムの概念を定義したとき、「突破は古い考えの否定に始まる」としたことから、パラダイムシフトは「革命的に」「劇的に」変化するという文脈で語られるようになりました。

ビジネスシーンでは、「斬新なアイディアによって市場構造を劇的に変化させる」とか、「発想の転換によって価値観を覆す」などの意味で「パラダイムシフト」の言葉が使われます。

狭義では、「古い考え方を一新する」、「固定観念を捨てる」などの意味でも用いられ、問題を解決するために考え方を変えなければならないことを表現するときなどに、さまざまな解釈で使われています。

問題は引き起こした時と同じ考えでは解決することができない

『問題は引き起こした時と同じ考えでは解決することができない』というアインシュタインの有名な言葉があります。この言葉で示されていることの解決方法が、「パラダイムシフト」であるといえるでしょう。

パラダイムシフトは問題解決のための思考法としてもビジネス分野で紹介されたり、心理学やコーチングなどでも用いられる応用範囲の広い多義的な言葉です。

パラダイムシフトの例文

パラダイムシフトの広義の概念は、「共通認識を「革命的に」転換すること」です。次のような事例を指します。

  • 数千百年もの間常識とされていた天動説に対し、コペルニクスが地動説を唱えた
  • 江戸幕府から明治政府への転換となった明治維新
  • 産業革命によって、労働環境が大きく変化した

「パラダイム」を使った例文

例文3選

次に実際の使われ方を例文で紹介します。

  • 大量消費社会のパラダイムを転換し、持続可能な社会を実現することが必要だ
  • 敗戦によって日本人は軍国主義からのパラダイムシフトを体験した
  • 人工知能(AI)技術の普及によって、社会生活にパラダイムシフトが起こるだろう

まとめ

「パラダイム」とは、原語の英語の意味から離れ、「ある一つの時代の人々の考え方を根本的に支える概念」として欧米に広がった考え方です。その後日本にもその概念が取り入れられ、ビジネスで使われる言葉として一般的に用いられるようになりました。

近年は狭義の意味として、「ものの見方」や「考え方」のことを指し、「パラダイムシフト」=「ものの見方の転換」という概念でさまざまな分野で用いられています。山積する問題解決のために「パラダイムシフト」を活用してゆきたいものです。